口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

顎関節症

年齢 性別 相談日
30代 女性 2008年5月16日

【相談者】2008年5月16日 30代 女性  M

以前から顎関節症を持っています。症状はそれほどひどくなく、1年に1度くらいの頻度です。今回も1週間ほど前から、特に食事をして物を噛む時に痛みを感じます。いつもは痛む方を避けて反対側で噛むことでなんとかなっていたのですが、今回は痛む方で噛んで食べた方が痛みません。今までと違う症状ですが、やはり顎関節症と考えて良いのでしょうか?

顎の癌や骨肉腫などだったらと思うと不安でたまりません。歯科口腔外科や歯科にはよくお世話になっており、昨年9月にX線のパノラマ写真を撮っています。またのどの違和感が続いていた昨年11月に鼻から下のCTを、脳神経外科で頭部CTを同じく11月に撮りました。

一番最近では3月に耳鼻科で副鼻腔炎の検査のために顔面のX線写真を撮っていますが、これらの検査は現在悪性腫瘍や骨肉腫を否定できる材料になりますか?受診する科が違えば診断も不可能なのでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

顎関節症に関して:現状から考えて、顎関節症の症状との矛盾はないと思います。顎関節は左右の関節が連結されているため、痛みが生じる側のみに問題があるとは限りません。

顎関節症は開口時の顎関節頭の前方滑走が制限される場合が多いため、顎関節が可動性を保っている反対側が制限側に牽引され、通常の顎関節頭運道路とズレてしまう結果、痛みが生じる場合があります。つまり、痛みを感じる側の顎関節だけが悪いとは限らないということです。従って、専門医の受診をお勧めします。

顎の腫瘍に関して:

顎骨に発生する悪性腫瘍では、急速な腫瘍増大のために骨が吸収されてしまいます。また、骨肉腫では特徴的なレントゲン写真を呈します。いずれにしても、癌の場合には粘膜から腫瘍が発生するため、ある程度病状が進行しないと骨の変化は起こらず、進行した場合には骨の異常な吸収像として認められます。

また、顎骨はPanoramaレントゲンである程度の評価ができます。以上の理由から、頭部単純レントゲンは悪性腫瘍の診断に重要な検査となりますが、撮影の方向によっては十分に反映されない場合もあります。一方、CT検査は診断には優れていますが、被爆量は多くなります。

副鼻腔や顎骨の腫瘍は口腔外科、耳鼻咽喉科、形成外科などの診療科が担当しますが、診断に至る検査の方法に大差はないと考えられます。喉の違和感のために腫瘍がご心配とのことであれば、耳鼻咽喉科でファイバー検査を受けられることをお勧めします。