親知らず(智歯)は前歯から数えて8番目にあたる歯のことで、10代後半から20代前半にかけて上下左右の一番奥に萌出します。この4本をもって32本の歯が生え揃うことになるのですが、実は親知らずが正しく生えてくるケースは意外と少なく、そのほとんどが横向きに生えたり半分しか生えない(半埋状状態)、あるいは埋まったまま出てこない(埋状状態)ものです。
ところが、親知らずが埋まっていると歯周病と同様に歯と歯茎の境目が深くなるため、歯茎が赤く腫れて痛む場合があります(智歯周囲炎)。また、十分な歯磨きができないため歯垢がたまってむし歯や歯周病にかかりやすくなります。さらに、最悪のケースでは炎症がアゴの骨にまで広がり、骨が破壊されてしまうのです。こうなると、原因である親知らずをすぐに抜くことさえできなくなります。
親知らずで最も多い痛みは、周りの歯茎が腫れて起こる前述の智歯周囲炎です。この場合は自覚症状がほとんどなく、体調が悪いときや疲労・ストレスがたまっているときに痛むのが特徴です。また、親知らずが生えてくるときやむし歯になったときにも痛みは生じます。従って、気になる症状があらわれたら早めに口腔外科を受診することが肝心です。
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