口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

プラリア(デノスマブ)による顎骨壊死

年齢 性別 相談日
30代 女性 2017年3月25日

【相談者】2017年3月25日 W

質問1

こんにちは。今、私は骨粗鬆症の薬でプラリアと言う半年に1度の注射薬の治療を行っております。今月の16日に2回目の注射を打ちました。注射を打ったばかりなのですが、最近 顎や歯茎の痛みがあり歯髄炎を疑っております。プラリアでの治療中でも歯髄炎の治療は可能でしょうか?抜歯等の治療は薬の副作用で顎の骨が腐れてしまう恐れがあると説明がありましたが、歯髄炎の治療も危険でしょうか?

又、顎や歯茎の痛みは既に薬の副作用の可能性もあるのでしょうか?ご意見聞かせて頂けると、ありがたいです。何卒よろしくお願い致します。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

プラリア(デノスマブ)は破骨細胞の働きを抑える抗RANKL抗体という生物学的製剤です。簡単にいうと骨がボソボソになって弱くなるのを防いでくれる薬です。骨粗鬆症に対して大変有効ですが、ときにMRONJといわれる顎骨壊死が生じる場合があります。

何らかの必要性から歯を抜いたり、外傷により歯が抜けたりした後は、骨が徐々にできて穴が塞がります。ところが、プラリアやビスフォスフォネート製剤などの骨粗鬆治療薬を使っていると骨の新陳代謝が悪くなり、骨に穴が開いた状態が続いて細菌感染も加わり、やがて骨が壊死していくのです。

顎骨壊死を防ぐためには、抜歯を必要とするような事態を避けることが肝心です。歯髄炎は早期に治療しなければなりませんし、顎骨壊死に関与する虫歯菌や歯周病が顎骨に拡がることを抑える措置も必要です。また、歯髄炎が悪化すると虫歯菌が根尖部から周囲の顎骨に拡がっていきます。この観点からも歯髄炎の治療は急ぐべきなのです。

さて、顎や歯肉の痛みの原因として歯髄炎を疑われているようですね。確かに歯髄炎があれば痛みがあってもおかしくありませんが、痛みの原因が歯髄炎とは限りません。詰め物やかぶせ物が欠けたり緩んだりして痛む場合や、歯にヒビが入って痛む場合もあります。歯ぎしりや食いしばり、歯周病により痛む場合もあります。他にも筋肉の痛みや神経損傷による痛み、ストレスなどの心理、社会的な要因による痛みもあります。

原因に応じて治療法が異なるため、一度歯科で調べてみることをお勧めします。

【相談者】2017年3月27日 W

質問2

ご返答ありがとうございます。とてもわかりやすいご説明で、助かりました。近所の歯科医が なかなか予約を取るのが難しいので、相談に対応して頂けて安心致しました。誠にありがとうございました。