口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

硬化性骨髄炎のため掻爬術をうけました

年齢 性別 相談日
60代 女性 2017年3月28日

【相談者】2017年3月28日 Y

質問1

よろしくお願いします。4年前に硬化性骨髄炎のため右下顎骨骨髄炎の掻爬術をうけました。今も、時々鈍痛が続いています。そこで、今年、術後の経過をMRIでみていただいたのですが、右下顎8辺りにSTIRで高信号、T1で低信号を示し、脂肪髄の消失を認める、軟組織への炎症の波及はない、とコメントをいただきました。

担当医からは脂肪髄の消失は問題ない、骨髄炎はない、と説明をうけました。ですが、帰宅後ネットを見ておりますと、あまりよい状態ではないように書かれていました。一旦は安心したものの、コメントを見ているうちに不安になってきました。脂肪髄の消失というのは問題ないものなのでしょうか。

もう一つお尋ねしたいのですが、4年前の手術後に骨髄炎は全部は取り切れなかったと医師よりうかがいました。残った骨髄炎は自然治癒するのでしょうか。お忙しところ申し訳ありませんがよろしくお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

骨髄炎は虫歯や歯周病、骨折、腫瘍などで細菌感染し、骨の内部に細菌が棲みつくことによって生じます。即ち細菌感染により炎症が生じ、痛みや腫れ、発熱が引き起こされる病気で、骨髄が硬い皮質骨のようになったり腐骨が生じるなど、骨自体にも変化が現れます。

脂肪髄とは大人の骨髄を指し、骨髄炎の多くでのケースで脂肪髄が減少しますが、抗生物質や手術などにより細菌感染がなくなると治癒します。ただし、治癒しても脂肪髄が減少し皮質骨化した骨は元に戻りません。従って、骨髄炎が消失しているなら脂肪髄の減少は仕方がないともいえるでしょう。

骨髄炎の部分とそれ以外の正常な部分は通常明確に区別できないため、骨髄炎周辺の骨が骨髄炎に罹患しているか否かについては判断できません。これら疑わしい部分まで手術で取り除くとなると、かなり広範囲で骨がなくなることになり、機能的にも審美的にも大きな後遺症が残ります。そのため手術で切除する範囲を骨髄炎が確定した部分に留めたのではないでしょうか。

「骨髄炎はない」と説明されているのですから、症状やエックス線所見に骨髄炎を疑わせる要素がないと推察します。

ときどき起こる鈍痛については、骨髄の治療後にしばしば見られるものです。検査では確認不可能な細菌感染が残っているのかもしれませんし、骨髄炎や手術により神経が損傷して痛みが続く神経障害性疼痛の疑いもあります。また、長引いた治療によるストレスでも痛みが生じる場合があります。

【相談者】2017年4月1日 Y

質問2

お忙しい中、早速のお返事ありがとうございます。見ず知らずの私のぶしつけな質問に丁寧にわかりやすくご説明いただきありがとうございました。

術後に痛みも痺れも続いていたうえに、「全部は取り切れなかった」、と言われたことが気がかりで、いくつかの施設で受診したところ、「骨髄炎がある」と診断される病院と、「骨髄炎はない」と言われる病院が半々だったのでずっと不安に思っていましたが、疑問に思っていたことがよくわかりました。ありがとうございました。