年齢 | 性別 | 相談日 |
---|---|---|
40代 | 女性 | 2015年1月29日 |
【相談者】2015年1月29日 k
質問1
10日程前から上顎右側奥にポコッとした膨らみがあります。(歯磨きの時に気付いたもので出来た日はハッキリしません。)色味は周囲と同じか少しピンク色といった感じです。痛みはありません。ここ10日間の限りでは大きさは変わりません。現時点では米粒よりも小さいです。
(一応耳鼻咽喉科で診て貰ったのですが、見つけられなかったようです。)つぶれたりするような雰囲気はありません。どうぞ宜しくお願い致します。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
上顎の歯肉か歯槽粘膜、頬粘膜に膨らみがあるが、痛みはないのですね。幾つかの可能性が考えられます。上顎の歯肉にできる膨らみにエプーリスがあり、主に細菌感染が引き金となって歯肉が膨らむ病気です。エプーリスには線維腫や乳頭腫、神経線維腫などの良性腫瘍と疣贅癌と呼ばれる悪性腫瘍があります。
次に、歯槽粘膜によく生じるサイナストラクト(フィステル)は、歯の根の先に細菌感染による病巣(根尖病巣)が生じて付近の粘膜が腫れる病気です。ただし、骨や粘膜が膨らんでいるだけの骨瘤起の可能性もあります。
歯槽粘膜や頬粘膜にできる粘液のう胞は、臼歯腺や頬粘膜下の小唾液腺が傷ついて唾液が周囲に漏れ出して膨らむ病気です。他にも粘液腫や脂肪腫、多形性腺腫など良性の腫瘍が発生する場合もあります。
頬粘膜には、耳下腺乳頭と呼ばれる耳下腺から分泌された唾液の出口があります。小さな膨らみなのでその存在に気付く人はあまりいませんが、何かの拍子に気が付いて驚かれているだけかもしれません。また、歯ぎしりや食いしばりがあると頬粘膜を噛んでしまうため、膨らむ場合があります。このような膨らみを「歯痕」もしくは「歯の圧痕」といいます。
【相談者】2015年1月31日 k
質問2
こんにちは。分かりやすく丁寧なご回答ありがとうございました。ご回答を頂いた中で、こちらのサイトのサイナストラクト(症例2の左側)の状態が似ている気がしました。写真のように大きくなく(手触りで存在はハッキリ分かるのですが)パッと見は小さく分かりにくい現状です。
↑気になっている場所は上顎(口蓋)右側奥になります。骨のような固さはありません。腫瘍(多形性腺腫?)も気になりますが、サイナストラクトの違いは何でしょうか?もしどちらかだったとしても診断はハッキリつくでしょうか?腫瘍だと良性でも悪性でも切除が基本との事でとても不安です。
サイナストラクトだとしても切除になるのでしょうか?上記質問とは異なるのですが、右上の親知らずの上(歯茎)に、歯茎の色と異なる白い膨らみがあります。手触りも見た目も骨のような感じです。(左上の親知らずの上にはありません。)こちらは親知らずを抜歯すれば無くなるでしょうか?沢山の質問申し訳ございません。よろしければ、どうぞ宜しくお願い致します。
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
サイナストラクトは虫歯の進行により生じる病気です。虫歯になると最初は白く、次に黒くなってついに穴が開きます。その穴が深くなると虫歯は歯の神経(歯髄)に到達して歯髄が炎症を起こし、さらに重症化すると虫歯菌が歯の根の周囲の骨にまで達し、この部分が炎症を起こして骨が溶け根尖病変が生じます。
やがて膿が治まると周囲に膿が流れ出す通路ができ、粘膜が膨れて膿の出口が形成されますが、これがサイナストラクトなのです。前述の通り、サイナストラクトは細菌感染による炎症であり、この点が腫瘍とは異なります。腫瘍は取り除く必要がありますが、サイナストラクトは取り除く必要はありません。
サイナストラクトへの対応は、細菌感染によって汚染された部分を清潔な状態に戻すことで、特に歯の根の中の歯髄がある部分(根管)が重要です。サイナストラクトの治療の中心は根管を消毒し、最終的には根管内をしっかりと詰めて封鎖する根管治療(歯内療法)を行うことです。
親知らず上部の膨らみについては腫瘍の可能性がないとは言えませんが、骨が膨らんでいるだけで何も問題がない可能性が高いと推察します。このような骨の膨らみを骨隆起といい、口蓋側の骨隆起であれば親知らずを抜歯してもなくならないはずです。一度、歯科でエックス線撮影など詳しい検査を受けられることをお勧めします。