口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

上唇のしこり

年齢 性別 相談日
10歳未満 女性 2009年8月28日

【相談者】2009年8月28日 10歳未満 女性 RA

はじめまして。5歳の娘の症状についてご相談します。

初めて気がついたのは8月の初めだったと思います。上唇の中心から少し右側にこりこりしたしこりのようなものができていました。娘に言われて初めて気がついたのですが、痛みなどが無く、大きくなる様子もないので様子をみていましたが、なくならないのが気になり、別件で小児科にかかった時に相談しました。

その後医大病院を紹介され診察の結果、「はっきりとは分からないが粘膜腫のようなもので、見た感じでは悪いものではなさそう。ただしこのまま残しておいて必ずなくなるとは言えないし、大きくなる前に切除するケースが多い。」と言われました。

大きさは6ミリ弱ぐらいですが、切除して唇の形が変わったり、傷が残ったりしないか気になります。このようなケースはやはり手術で取り除くパターンが多いのでしょうか?

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

大学病院では上唇の良性腫瘍、あるいはそれに類似する疾患(化膿性肉芽腫、粘液のう胞など)との見解で、悪性腫瘍(ガン)を疑わせる要素にも乏しく、すぐに切除して正体を調べるという必要もないようですね。

良性腫瘍であればどんどん大きくなることはなく、大きさが変化しないか、徐々に大きくなるかのいずれかで、通常は放置しておいて自然に小さくなることはありません。そのため、摘出して治してしまうのが基本的な考え方ですが、「手術が嫌だ」「こわい」ということであれば、そのまま様子を見ることも可能です。

ただし、その場合に留意すべき点が2つあります。1つは大きくなっていく場合に、どの時点で摘出するかという点です。そして、もう1つは小さくても見た目が悪かったり、食事や発音などの機能に障害が出る場合には、早めに摘出した方がよいという点です。ただ大きさが6mm弱ということから、機能的な問題が起こる可能性は低いといえます。

また、腫瘍があることによる見た目の問題や術後の変形、キズの問題については腫瘍が存在する位置によって異なります。つまり口唇の皮下、筋肉内、粘膜下のどの位置に腫瘍があるのかが問題です。皮下にある場合は唇が膨らんできて目立ち、皮膚を切開すると傷跡が見えます。一方、筋肉内や粘膜下に腫瘍がある場合は見た目の問題は生じにくいものです。

手術がためらわれるということなので、これらの点を念頭に置いて様子を見られてはいかがでしょうか。