年齢 | 性別 | 相談日 |
---|---|---|
女性 | 2017年9月11日 |
【相談者】2017年9月11日
質問1
初めまして宜しくお願いします。去年右上奥2,3番目の歯を根管治療し奥2番目は歯の根を切る手術もしましたが良くならず(根の奥まで詰め物が入っていなかった)今年2月から精密根幹治療(マイクロスコープ・ラバーバム・MTAセメント)をしましたが、治療した歯茎辺りから膿のような液体(液体を出すと白っぽい色なので唾液ではないと思います。)が出てきています。
MRIを撮ったところ「右上上顎洞炎で第二大臼歯の後方~硬口蓋の辺縁にかけて両側ですが右側優位に液体貯留があり歯根部の病変のようにも見えますが何らかの炎症が疑われます。右下顎骨体部にSTIRで高信号域が見られ骨髄炎等も否定はできません。」という結果でした。
あまりに口の中に膿のような液体が出てくるので気持ちが悪くなり総合病院の口腔外科に行きレントゲンを撮ったところ「根管治療はうまくできているし異常はない。」でした。
もしかしたら味覚障害でその症状があるのかもということでハリゾンシロップを服用しています。先日は3か月位前から微熱が続いていた怠いので内科を受診した先で紹介してもらった歯医者に行ったところ金属アレルギーだといわれました。いったいどうすれば良いのでしょうか?
- 根管治療はうまくできているのか?それを調べることは出来るのか?
- 根管治療の失敗だったとしたら一度歯の根を切る手術をしているがまた出来るのか?
- 根管治療が成功だとしたら時間が経てば口の中に出てくる膿のような液体は出なくなるのか?
- MTAセメントでアレルギーになるのか?
- どんな病院に行けばいいのか?
数多くの質問で申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
治療した歯の歯肉から何らかの液体が出ているようですが、この液体は歯肉溝かフィステルから出てきていると推察します。
口の中に出てくる液体には唾液、歯肉溝浸出液、血液、リンパ液、炎症性浸出液、膿、皮脂があります。最初の2つは生理的なもので、残りは病的な状態から出てきます。
この中で歯肉を押して出てくる可能性が高いのは炎症性浸出液か血液、膿といったものです。これらの液体が出る理由として考えられるのは、何らかの細菌感染による炎症が持続している状態です。細菌感染の場所は根管内の可能性が高く、根尖部や歯根周囲の歯槽骨内に感染がある可能性もあります。
エックス線写真では根管治療に問題がないように見えるということは、根尖病変や明らかな破折はなく、やはり根管内に感染が残っている可能性が高いでしょう。
エックス線写真でうまく根管治療ができているように見えても、実は根管内に問題が残っているケースもあります。それだけ根管の走行は複雑で、最新の治療を行っても完全に感染源を取り除くことは難しいのです。
根管治療がうまくいっているかどうかを調べる方法はエックス線写真のみですが、CTを撮っていない場合はCTで隠れていた問題が見つかるかもしれません。あとは症状が治まるかどうか、経過をみていく以外に検査の方法はありません。
既に述べた通り根管の形態は複雑で、これが根管治療の難しい点です。特に根尖付近の治療が一番難しく、この部分に問題が残りやすいのです。症状が消失しない理由として根管壁の穿孔、マイクロクラック、歯根の外部吸収、セメント管剥離が生じている可能性も考えられるため、粘膜を切開して根面を露出させ、これらの問題に対応することで症状が消去する可能性はあります。
根管治療が成功しなかった場合、次の治療法として歯根端切除術があります。これは根尖の3mmを削り取り、切断面に露出した根管を形成して逆根管充填するという方法で、根管治療の一番難しい部分を取り除くことができ、さらに切断した根尖を封鎖することで根管内の問題が骨尖周囲に波及することを防止します。
ただし、歯根端切除術には歯根が短くなるという欠点があります。従って、歯根が短い歯にこの治療を行うと噛む力に耐えられなくなる恐れがあります。
根管治療が成功すれば、膿や炎症性浸出液は出てこなくなります。終了して日が経っているのであれば、現在出ている液体が今後出なくなることは期待できないでしょう。
一方、MTAセメントでアレルギーが生じるかどうかについては不明ですが、そのような例は珍しいといえるでしょう。
今後の治療については、再度の根管治療、歯痕端切除術、意図的再植術、トライセクション(抜根)を検討することになります。歯科保存学会や歯内療法学会の専門医に相談されることをお勧めします。
また、「気になる」ことが日常生活の障害となる側面もあるため、状況を改善するため薬物療法や心理療法を検討されてはいかがでしょうか。心療内科、精神科、カウンセリングルームで相談することができます。
昨年から治療を受けているのに問題が残っているという点から、そろそろ諦めて抜歯するというのが唯一の解決策かもしれません。
【相談者】2017年9月15日
質問2
詳しい説明をありがとうございます。早速専門医に相談に行ってきます。最悪、抜歯も覚悟ができました。