口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

歯根端切除術後に続く痛み

年齢 性別 相談日
40代 男性 2018年7月29日

質問1

先生に、相談にのって頂きたくメールします。よろしくお願いします。一カ月前に歯根端切除術をしました。術後もずっとスッキリしない痛みが続いていましたが、二日くらい前から定期的に痛み止めを飲まないといけないくらいの痛みがあり、再度歯科を受診しました。抗生物質をもらい、少しましになってきましたが、ここ一カ月ずっと抗生物質を飲んでやめてはぶり返すを繰り返しています。切開した場所の歯茎はまだ赤く腫れています。

こういった場合、担当医がお手上げな場合は総合病院の口腔外科を受診した方がよいでしょうか?私の場合は再発というよりはずっと痛いのです。抗生物質の投与でましにはなります。このまま薬を飲み続けるわけにもいかないし、心配です。よろしくお願いします。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

歯根端切除術を行ったのは、歯の根尖付近の根管内か根尖周囲の骨内に何らかの異常があったものと推察します。これらの部分が汚染されて細菌感染が続いていたため、歯根端切除により汚染した組織の除去を試みられたのでしょう。

当初の目的通りに感染部分を取り除くことができれば、痛みの消失が期待できます。しかし術後1ヶ月痛みが続き、さらに2日前から痛みが強くなったということは、まだ感染が残存して炎症が続いているのでしょう。

手術した範囲に汚染された部分が取り残されていたり、手術範囲外に問題が残っている可能性もあります。あるいは歯に亀裂が入っているのかもしれません。このような問題がある場合は再度の根管治療や歯根端切除が必要になり、場合によっては抜歯を余儀なくされる状況かもしれません。

根管治療や歯根端切除を行った歯に問題が残っている場合は、同じ治療をやり直しても成功しない可能性があります。再治療を成功させるためには、歯科用顕微鏡を用いた治療が望ましいでしょう。

元々、歯の痛みの原因が別のところにあったという可能性も考えられます。筋・筋膜痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛、ヘルペス性歯痛、片頭痛、副鼻腔炎、疼痛性障害などの可能性について調べてみることをお勧めします。その点においては、総合病院の口腔外科を受診した方がよいかもしれません。

質問2

ありがとうございます。主治医は抗生物質をのんだら感染が残っていても痛みがなくなるはずだから、感染が残っているのは考えにくいというのですが、実際赤いところがズキズキ痛みます。感染が残っている可能性の方が高いですよね?

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

症状から感染が残っている可能性が疑われます。

質問3

ありがとうございます。こういった場合は今すべき事は抗生物質を飲むことしかないですよね?試しに軽くたたいてみたら、中でズキズキます。抜歯すれば治りますか?

【回答3】口腔外科総合研究所 樋口均也

細菌感染の有無については、抗生物質が効くか否か試してみるとある程度判断できます。細菌感染の場合は抜歯で治っていきますが、神経障害性疼痛が生じていたり末梢感作している場合は抜歯しても治癒することはなく、かえって悪化することもあります。

質問4

ありがとうございます。主治医は感染による痛みならこんだけ抗生剤を飲んでいるので痛みが治まるはずだから感染による痛みではないと思う。骨の炎症による痛みだろうから今は下手に抜歯、再オペをすると余計に痛みが増す場合がある。抗生剤を途切れず飲んで様子をみましょう。との事なんです。

ただ私の場合は歯茎がまだ赤く腫れています。そこに水をつけ綿棒でさわるとなぜか痛みます、赤い歯茎の辺を押すと歯にも痛みが走る感じです。なかなか総合的な判断が難しくてどういったところに行けばいいのか迷います。

【回答4】口腔外科総合研究所 樋口均也

抗生物質内服を継続しても痛みがなくならないという点から、感染とは別の理由により痛んでいる可能性が高いと言えるでしょう。一方、歯肉が赤いという点から細菌感染による炎症が考えられます。

相談内容にこのような矛盾点が存在しています。歯肉が赤いように見えても、実は赤くなっていない場合は非炎症性の神経障害性疼痛が疑われます。歯肉に軽く触れるだけで軽く痛むという点からも、炎症ではない痛みであると考えられます。炎症がある場合は、強く押すと痛むのが普通です。一方、神経障害性疼痛の場合は軽く触れるだけで痛むアロディニアという痛みが特徴で、強く押すと逆に痛みが和らぎます。

神経障害性疼痛であれば口腔外科、ペインクリニック(麻酔科)、あるいは心療内科を受診されることをお勧めします。