口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

バードフェイス

年齢 性別 相談日
60代 男性 2010年1月29日

【相談者】2010年1月29日 40代 男性 S

6歳男子の相談です。事故で両側顎関節と下顎正中を骨折しました。担当医からはバードフェイスの可能性あり、17歳になったら手術が必要になるかもしれない。今後は専門医に経過を診てもらいなさい、と言われました。現在は元気良く、何ら異常は見られません。今後の可能性として、障害発症、その対応法、将来の様子等々をご教示下さい。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

下顎骨を3ヶ所骨折されたとのことですが、下顎正中部は金属プレートで固定する手術が比較的簡単にでくるため確実な治療ができます。「若木骨折」のように不完全に骨が折れているだけの場合は手術が不要の場合もあります。

問題なのは両側顎関節部(正確には下顎突起部)の骨折への対応についてです。顎関節の周囲には顔面神経が網の目のように走行していて、手術により神経を損傷する可能性が高いのです。神経を損傷すれば顔面の筋肉が麻痺して動きが悪くなり、人相が変わってしまいます。

このために、小児の下顎突起骨折の場合は手術せずに開口訓練などの機能訓練だけにとどめる場合が多いのです。理想的に骨折が治癒すれば骨の変形やかみ合わせのズレも生じず、正常に下顎骨が発育して顎関節の構造が完成します。

一方、骨折した部分が正しくくっつかない(骨性治癒)しないと、骨折片同士の間に繊維組織や軟骨が形成されて介在し、「偽関節」が形成されます。また、下顎骨と頭蓋骨がくっついてしまい(繊維性癒着)、口が十分に開かなくなる「顎関節強直症」に移行する場合もあります。他にも骨折した骨片が向きや位置がズレたまま骨折治癒し、開口障害が残ることもあります。

このように、不十分な治り方をすると下顎骨の発育が悪くなって下顔面が著しく小さいバードフェイスになってしまうこともあります。その場合には成長の段階を見計らいながら、顎関節形成手術、顎関節受動術、下顎骨骨切り術、下顎骨延長術などを検討することとなります。

【相談者】2010年2月 2日 40代 男性 S

早速の分かりやすく、ご丁寧なご教示を賜りお礼申し上げます。ご所見のとおり、手術はせず、しばらくの間歯の固定をしていました。両側の顎関節骨折は、レントゲンで説明を受けましたが、よく分かりませんでした。ボヤーと見える小さな丸いものが、両側とも内側に廻っているようになっているのが、骨折と説明されたように記憶しています。今は元気になんでもないように生活しています。

今はもう病院には行っていませんが、説明をされた先生はバードフェースの可能性が高いので、大学病院など専門医に診てもらいなさい。紹介状はいつでも書きますと言われています。一度大学病院に行ってきます。 また、ご相談することになると思いますが、よろしくお願い申し上げます。 ありがとうございました。