口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

歯原性角化のう胞

年齢 性別 相談日
50代 男性 2010年2月23日

【相談者】2010年2月23日 50代 男性 F

初めてメールをいたします。07年と09年に下の糸切り歯付近の歯茎に「歯原性角化のう胞」と診断され、摘出手術をしました。07年の術後から、下くちびるから顎にかけての神経がもどらないまま、09年の再発で現在も日常生活には支障はないのですが常に歯医者さんの麻酔後の様な感覚です。

お伺いしたいのは、担当医曰く「再発率50%で摘出手術しか方法はありません。原因、予防はありません。」との事です。しかし、何もしないで再発まで過ごすよりと思い、漢方薬、針などを試しています。「今度、再発した場合は抜歯も考えて下さい。」と言われています。再発を阻止する手立ては無いものでしょうか。宜しくお願い致します。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

歯原性角化のう胞は最近では「角化のう胞性歯腫瘍」という名に変わり、顎の骨にできる良性腫瘍とされています。この腫瘍は骨の中で風船のような袋状の病変がひとつでき徐々に大きくなっていきます。腫瘍の増大と同時に周囲の骨に浸潤して微小な病変ができるため、主病変を摘出しても周囲に病変が残ると再発するのです。

再発を防ぐために腫瘍だけでなく同時に周囲の骨も削除します。削除する骨の量を多くすればするほど再発しにくくなりますが、その分神経や歯が犠牲になることが多くなります。とにかく、再発を防ぐためには手術の際に大きく骨を削り周囲の歯を抜いてしまうことが有効です。

残念ながら手術以外の方法で再発を防ぐものはありません。悪性ではないので抗がん剤や放射線治療も役にたちません。漢方薬も再発を直接抑えることはないでしょう。結局、再発予防の有効策はないので、再発した時に確実に見つけて対処するというスタンスを取るしかありません。今後10年程度は定期的にエックス線写真を撮って監視していく必要があると思います。