口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

歯肉切開後の上唇の痺れ

年齢 性別 相談日
30代 女性 2010年4月21日

【相談者】2010年4月21日 30代 女性 MK

左上4番目の根っこに膿が見つかったので5年ぶりに銀歯を外して根の再治療を行いました。5日前に根管治療の1回目を行ったら左頬が凄く腫れて痛みも出ました。しかし、妊娠の可能性があったので抗生物質と痛み止めを飲めませんでした。

3日経っても腫れと痛みが引かないので2日前に麻酔をして歯茎を切開し、左頬を手でしながら膿を出してもらいました。すると通常は2~3時間で麻酔が切れるのに翌日になっても唇が痺れたままです。先生が手で押した部分の左頬もジンジン痺れてましたが徐々に和らぎ5日程で良くなりました。また、薬を飲めるようになったので歯茎を切開した翌日に抗生物質を飲んだら左頬の腫れも引きました。

しかし、上唇の痺れが2ヶ月以上経過しましたが残ったままです。先生もこんな症例は初めてだそうで首をかしげています。私も今まで歯茎に麻酔を散々打ってきましたがこんなことは初めてで戸惑っています。

一体何が原因なのでしょうか?また治るのにどのくらいの期間がかかりますか?治療法はありますか?

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

左下4番の根尖部に膿が溜まり、根尖膿瘍が生じたようですね。膿瘍が消失することなく痛みも続いたため、根尖付近の粘膜を切開して膿を出したのだと推測します。ところで、眼の下の皮下には眼窩下神経があり、下に向かって歯や歯肉、上唇まで伸びています。そのため粘膜を切開する際、その神経あるいは枝を傷つけた可能性が考えられます。

神経が傷ついた場合でも、傷が浅ければ徐々に回復していくものです。また、完全に切れている場合は治らないものの、反対側の眼窩下神経など周囲の神経が伸びてきて徐々に痺れの範囲は小さくなっていきます。

前者の場合は数週~数ヶ月で改善が見られますが、後者の場合は回復まで何年間も要します。治療法としてはビタミン剤やATP製剤の内服、量状神経節、ブロック、マッサージ、はり治療などがありますが、早急に治療を開始した方がよくなる可能性が高いといえるでしょう。

【相談者】2010年4月22日 30代 女性 MK

早々にお返事を下さってありがとうございました。やはり神経が通っているのですね!!! 樋口先生にご相談して良かったです。

現在通院している先生は、「下の歯と違って上の歯はそういった(?)神経が通ってないので傷つけるようなことはないのですが・・・日にちが経つのを待つしかありませんね。」と おっしゃっていました。樋口先生のような口腔外科の先生ではないので神経のことは知らなかったのでしょうか?また、治療は総合病院内にある口腔外科に通えばよろしいのでしょうか? 神経が完全に切れているかどうか調べることは可能でしょうか? 現在妊娠を考えていますが治療することはできますか?

色々ご質問して申し訳ございませんがよろしくお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

確かに下顎から下唇に出てくるオトガイ神経と比べると、眼窩下神経は細かく枝分かれしているため、太い神経を傷つける可能性は少ないといえるでしょう。また、細かい枝であればたとえ切断されていても周囲の神経が伸びてきて、いずれは回復すると考えられます。

ただし、神経が切れているかどうかを確実に調べる方法はありません。麻痺している範囲を調べることは可能ですが、神経が完全に切れているのか、あるいは一部が傷ついているだけなのかを区別することはできません。しばらくして感覚が戻ってくれば、結果的に切れていなかったと判明することになります。

また、治療方法としては神経をつないだり移植をする手術がありますが、それは大きな神経や機械的に重要な神経が切れた場合に行うもので、現状では手術の対象にならないと推測します。従って、薬物療法や理学療法などが一般的な治療法であるといえるでしょう。