口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

骨切り手術後の下顎の麻痺

年齢 性別 相談日
30代 女性 2010年5月25日

【相談者】2010年5月25日  30代 女性 RR

はじめまして。10年ほど前に神奈川の大学病院で顎変形症で骨切りの手術をした30代女性です。

手術直後に左右の下顎の麻痺がありました。1ヶ月ほどで左下顎の麻痺はすっかりなくなりましたが、右下顎の感覚が5年間ほど全く無く、その後顎の付け根をおすと右下顎全体がビリビリと痺れるような感覚が生まれ、今は何かが触っているのはわかるがその物体の温度は分からないという状態です。硬いものを食べたり歯を磨いたりすると歯茎や顎にぴりぴりとした感じを覚えることも出てきました。

少しずつ良くなってきているように思えていましたが気がつけばもう10年経っていて、この先ずっと治らないということもあるのかと不安です。手術後、プレートは取っても取らなくてもいいとお医者様から説明があったため除去手術は受けていません。プレートが神経を圧迫している、取り除けば改善されるかもしれない、という可能性はありますでしょうか?どうぞよろしくお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

上顎や下顎が大きすぎたり、左右が非対称であったりして顔貌がゆがんでいる状態を「顎変形症」といいます。下顎の手術をされたとのことですので、受け口(下顎前突症)だったのでしょうか。

下顎の形態を修正する手術のなかで最も一般的なのは「下顎枝骨切り術」といって下顎の後方を切断し、位置をずらしてプレートで再固定する手術です。骨を切断する際に下顎骨の内部を走行する下枝槽神経を傷つけることがよくあります。神経損傷による麻痺は術後徐々に回復することが多いのですが、永久に回復しないこともあります。左側は順調に回復したようですが、右側は術後10年も経っていることから治る見込みはないと考えられます。

プレートが神経圧迫をしているかどうかはエックス線検査である程度判断できると思います。神経の近くを避けてプレートをスクリューで固定するはずですので、神経を圧迫している可能性は低いと思いますが。

【相談者】2010年5月28日  30代 女性 RR

お忙しい中、とても丁寧なお返事を大変ありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、下顎前突症で下顎の骨を切り取り後方へずらす手術を受けました。

手術後の数年は全く感覚が無かったので諦めていたのですが、5年ほど前より内側から徐々に感覚が戻ってきているように思われました。一ヶ月ほど前から術後より今まで感じたことの無かったピリピリとした痺れや硬いものを噛んだ際の過敏な痛みを感じだしましたので、もし外科的な処置で回復が早まるならばと期待して質問をさせていただきましたが、その可能性は低いと言うことですね。気長に、自分の回復力への希望を持ってこの下顎と付き合っていきたいと思います。

それから、先生のクリニックのホームページを拝見いたしました。歯科医院では今までの経験から歯を削られたり神経を抜かれたりが当たり前だと思っていました。

後悔先に立たずですが子供の頃から先生に見ていただいていればもっと健康な歯が残っていたのかもと思ってしまいます。現在はシカゴ在住で大阪には通うことができませんが、家が近いからと医院を選ぶのではなく先生のような理念をお持ちの歯医者さんを見つけたいです。どうもありがとうございました。