口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

慢性GVHDによるドライマウス

年齢 性別 相談日
60代 女性 2016年8月22日

【相談者】2016年8月22日  IT

質問

樋口先生殿はじめまして。私の母のことで相談させてください。母は平成23年に骨髄異形成症候群と診断されその年に移植をしました。その後入院中も特に問題なく退院をしました。が、退院後2か月後ぐらいに風邪をひき熱発しました。それからです。慢性GVHDとなり今なお闘っています。

はじめは皮膚が黒ずむ症状から始まりドライアイ、ドライマウス・・年々ひどくなる経過をたどっています。相談させて頂きたい内容としましては、1年程前からほぼ固形物の摂取が困難です。本人も食べたいから食べてみてはいますが、口を開けることもままならないほど痛みがひどいため一口程度で終わります。

あとはやはりドロドロにしたおかず、おかゆを食べています。なかなか栄養をとることも難しくなっていますので介護食なども取り入れています。が、介護食は、唾液が出るようにか酸味、辛みが強くあまり進みません。今の状態は、とにかく口を開けることが難しいのと、口の中の痛み、口の中の腫れが主訴です。

オペして頂いた病院の口腔外科で処置もして頂いてるようですが、虫歯にも気を付けないと!と家の近くの歯科に通い始めましたがそのような患者をあまり扱ったことがないのか口の中を思いっきり開けたようで筋状に裂けたような痛みがしてその後食事をとるのが困難でした。

口腔外科ではキシロ入りの軟膏をもらいそれも塗布していますが、とても頻回です。どうしたらいいものかとても悩んでいます。少しでも痛みなく食事がとれるようにしてあげたいです。(母の年齢は67歳です)

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

骨髄異形成症候群に対する根本治療として、放射線照射後に同種造血幹細胞移植をされたのでしょう。他人から移植した造血幹細胞がお母様の体を異物として攻撃すると、慢性GVHDが生じます。GVHDの程度は人それぞれですが、お母様の場合は皮膚、唾液腺、涙腺が攻撃されて慢性的な炎症が生じているようです。

現在GVHD由来のドライマウスでお困りのようですが、唾液腺の炎症が続くと徐々に唾液腺が委縮して機能が低下し、唾液が出にくくなります。残念ながらこの状況を根本的に解決する方法はありません。少しでも痛みを和らげ、お口の中の潤いを保つために、小さな氷の塊を口の中に入れておくことをお勧めします。

顔面、頸部や口腔内の唾液腺に対してはマッサージを続けると唾液が出やすくなりますし、ドライマウス用の保湿剤が入ったジェルも市販されています。

また、カンジダ菌というカビにより粘膜が赤く腫れて痛む場合には、抗真菌剤の塗布やうがいが効果的です。