年齢 | 性別 | 相談日 |
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40代 | 女性 | 2010年9月21日 |
【相談者】2010年9月21日 40代 女性 HK
質問1
もう10年近く前になるのですが、唾石症のため、口腔外科で顎下腺の摘出手術をして以来、舌の右半分の痺れが治らず苦しんでいます。手術後、2年ほど通院しましたが、医師は、「回復するまでには時間がかかる」と言うだけで、手の施しようがない様子のため、通院もやめてしまいましたが、結局10年近くたった今でも痺れは回復しません。
手術前に、こんな後遺症がでることなど聞いていませんでしたが、こんなことはよくあることなのでしょうか。正直、10年近くにわたる痺れの不快感によるストレスは大変なもので、(具体的に書くと長くなりますので省きますが)この症状がこのまま一生続くのかと思うと耐えられない思いです。
痺れを改善する方法は、やはりないのでしょうか?また、これは医療ミスとはいえないのでしょうか?一生逃れられそうにない苦痛を思うと、何らかの責任をとって欲しい思いはあるのですが・・・宜しくお願いいたします。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
顎下腺の摘出の際、右の舌神経が損傷を受けたと推測します。少々の損傷であれば時間の経過と共に回復するのですが、10年近くたっても痺れたままということから、神経が切断されてしまった可能性があります。
当然のことながら、手術では神経や血管を傷つけないように注意するものですが、それでも損傷してしまう場合があります。神経の走行には一定のパターンがあるのですが、中にはパターン外の部分を走っている場合もあります。また顎下腺の炎症が慢性化し、周囲の組織と癒着している場合は傷つきやすくなります。
ところで、神経の損傷が医療ミスなのか、それとも不可抗力によるアクシデントなのかをメール上で判断することは不可能です。ただし、手術前の説明には不備があったといえるかもしれません。原則として、手術前には起こり得る問題について担当医が一通り説明し、その上で手術を行うか否かを相談し、最終的に決定する必要があります。そのような説明がなかったとしたら、その点に関しては問題があるといえるかもしれません。
残念ながら、これから麻痺を回復させることは難しいでしょう。傷ついた神経をつなぐ「神経縫合術」や、足などから神経を採取して移植する「神経移植術」を行うことが、残された手段であると思います。従って、神経に関する手術の経験が豊富な口腔外科、あるいは形成外科の病院で相談されることをお勧めします。
【相談者】2010年9月22日 40代 女性 HK
質問2
樋口先生。お忙しい中、早々に、またご丁寧なお返事、本当に感謝いたします。今まで、心の中で悶々としながらも、どこに相談してよいのかもわからずにおりましたが、先生のお答えをいただき、大分気持ちがすっきりいたしました。
今度、経験豊富な口腔外科か形成外科を探して受診してみようと思います。本当にありがとうございました。お体に気をつけて、先生のさらなるご活躍をお祈り申し上げます。
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
早期のご回復を心よりお祈り申し上げます。