口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

複合性局所疼痛症候群Ⅱ型

年齢 性別 相談日
30代 男性 2010年11月28日

【相談者】2010年11月28日  30代 男性 M

初めて相談させていただきます。3年ほど前に歯医者で左下6番に虫歯が見つかったので大部分を削り、神経を抜いて銀歯を埋めて治療が終了しました。その後すぐに左下6番延長上の左頬下が痛み出し、その部分を手で軽く叩くと左頬下周辺がビリビリと痺れるような症状が出始めました。

10日程度続いた後痺れは治まりましたが、現在も時折左頬下や左口腔内、首の左側に圧迫感を感じたり左耳から首にかけてビリビリと痙攣したりします。この虫歯の処置後の痺れとこれらの症状は関連性がある可能性はあるのでしょうか?

これ以外にも2年半ほど前より原因不明の嚥下障害が続いていて、内科、耳鼻科、消化器科、神経内科で内視鏡、CT、 MRIなどさまざまな検査もしましたが異常が見つかりませんでした。少しずつ、前述した圧迫感が強くなってきているため、この口腔内の症状と嚥下障害が何か関係があるのではと気になっています。ご回答よろしくお願いいたします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

治療以後その周辺にいくつかの症状が続いているということですが、まず確認すべき点は「歯の治療が成功したか否か」ということです。歯の神経を抜く治療が思わしくできなかったり、歯が割れてしまった場合や、顎の骨に病変がある場合は、何らかの症状が続いても不思議ではありません。しかし、この点については歯科で確認したうえ、問題がないということですね。

歯やその周囲の組織に明らかな異常が見当たらないにもかかわらず、症状が長く続く原因として、歯の神経を抜いたことによる末梢神経の損傷から引き起こされる病気(複合性局所疼痛症候群Ⅱ型、英語表記はcomplex regional pain syndromeで、CRPSと略します)が疑われます。

歯の神経を抜くと、歯の根の先端部分で一度神経は切断されますが、通常は時間が経てば治るものです。ところが、切断部付近の神経が異常な興奮を起こし、それが持続して周辺にある交感神経まで影響が及ぶケースがあります。これがCRPSⅡ型の病態であり、痛みやピリピリ感、痙攣、脱力、感覚異常やその他さまざまな症状が出現するのです。

CRPSⅡ型の治療方法としては、星状神経節ブロックやトリガーポイントブロック、あるいは抗うつ薬や抗痙攣薬、抗不安薬などを服用する薬物療法があります。

他に、顎関節症でもこのような耳の症状が生じる場合がありますが、口腔外科や歯科ではこの点について何といわれましたか。ただし、どんなに検査しても異常が見当たらないケースであっても、生活上のストレスや不安感から、このような症状が起こる可能性はあります。その場合はまず、症状の改善を主眼とした治療を進めていくことになります。