口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

セメント質骨形成性線維腫

年齢 性別 相談日
20代 女性 2008年2月2日

【相談者】2008年2月2日 20代 女性  MM

質問1

去年、左下顎骨セメント質骨形成性線維腫と診断された20代の女です。先月、顎骨腫瘍摘出術を受けました。当初の手術の計画では、将来的にはインプラントをしたかったので、皮質骨を除去し、左下の歯を奥3本抜き、腫瘍を摘出後、金属のプレートで固定し、皮質骨を戻す方法でしたが、実際に開いてみたところ、腫瘍が大きくて皮質骨が戻せなかったこと、そのためもしインプラントをするには骨移植をしなくてはいけないと言われました。

そこでお聞きしたいのですが、骨移植は全額実費になってしまいますよね?もし、腫瘍摘出術と同時に骨移植もすれば、健康保険適用になるのに、なぜこのときにしてくれなかったのでしょうか?主治医が信じられなくなってきました。インプラントは実費で構わないのですが、骨移植くらい保険でカバーする方法はないのでしょうか?教えてください。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

顎骨腫瘍を摘出した後は骨に欠損部が残ってしまうため、外傷によって骨折する可能性があります。また骨がないため、義歯を使用することも困難となります。そのため、腫瘍摘出時あるいは摘出後に骨移植を行うことにより、顎骨を補強して義歯の使用を可能にすることができます。

ただし、これらの治療には保険が適応されますが、保険適応外であるインプラント治療を引き続き行う場合には、骨移植も同様に保険適応外となってしまいます。手術と同時に骨移植を行うか否かは手術時の感染状態、また局所や全身の状況による判断となりますので、術者である主治医の判断が適切であったかどうかをお答えすることは困難といえます。

【相談者】2008年2月12日 20代 女性  MM

質問2

お返事ありがとうございます。親切に、かつ丁寧にありがとうございました。もう1点、ご質問があります。手術を受けた今さら聞いても仕方のないことなのですが、どうしても主治医に聞けなくて、ここで教えていただけたらと思います。

知り合いの医者(耳鼻咽喉科と病理専門医)に「セメント質骨形成線維腫」の病気のことを相談したところ、この場合の腫瘍は良性だし、顎の骨は丈夫だから折れにくいし、手術を受けるほうがリスクがあるのではないか、と言われました。さらに、この病気は非常に稀なので、手術をすることで症例発表になるから、大学病院の先生は手術をしたがっているだけなのではないか、とも言われました。

今回の場合、手術を受けたほうが良かったのでしょうか?(年齢は20代で、腫瘍の大きさは左下奥の歯3本分です。)

術後は骨移植も必要になってきて、さらに再発の可能性もゼロでもないとも言われ、これだったら手術を受けないほうが良かったのではと思っています。主治医の言われるがままに、手術をしてしまったことを後悔しています。

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

一方、腫瘍が比較的小さく症状のない場合や、歯の治療時のレントゲン写真で偶然に腫瘍が見つかったような場合です。これらの場合には腫瘍が今後大きくなっていくのか、あるいはあまり変化しないかを経過観察しても悪くはありません。

ただし実際のところは、腫瘍は徐々に大きくなる性質があることから、心配なので取ってほしいと希望される場合が多いものです。手術の実績を増やしたいという大学側や医師の都合も関与しているかもしれませんが。

手術の是非については、レントゲン写真などを見ないと判断できないというのが正直なところです。皮質骨が残らなかったということから腫瘍はある程度大きく、骨折や感染の可能性もあったのではないかと想像しますが。

またひとつの方法として、入れ歯を作る前提で手術を受けた病院で骨移植を受け、別の歯科でインプラントの治療を受けることは可能だと思います。ただし骨移植を受ける際には、そのことを内密にしておいた方が余計なトラブルを避けられるかもしれません。