口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

一年半前から舌、上顎に痛みがあります

年齢 性別 相談日
40代 女性 2016年4月10日

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【相談者】2016年4月10日  ひら

質問

一年半前から舌、上顎に痛みがありますが原因がわからずに困っています。現在、「口腔内灼熱症候群」と診断されて口腔外科、精神科、漢方内科に通院しています。しかしMRIでは左の耳下腺が詰まっていて「この治療をすればよくなりませんか?」と口腔外科の先生に言っても「他の唾液腺が正常なので耳下腺を治してもよくならない。」といわれました。

薬は精神科から精神安定剤(リボトリール)とうつ病の薬(リフレックス)、漢方内科から血液の循環をよくしたり、不安を和らげる作用の煎じ薬が処方されていますが全く改善しません。口が痛くなった時に何か大きなストレスを感じる環境にいたわけでもなく、痛みの原因は心因的なものと言われても納得できません。

唾液分泌量検査では量は少なく、口が乾く感じもあります。本当に耳下腺の詰まりは関係ないのでしょうか。ちなみに血液検査、CT、シェーグレン、亜鉛・ビタミン不足、ホルモンバランス、ヨウレン菌、金属アレルギー、帯状疱疹、糖尿病などの検査では異常はみつかりませんでした。ガムを噛むとやや痛みが落ち着くことがあります。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

口腔灼熱症候群は粘膜の問題ではなく、神経が誤って脳に痛みを伝える病気であるとされています。多くの検査によりこの診断名が付いた場合は、痛みの主な原因はドライマウスではないと判断されたのでしょう。従って、左耳下腺の詰まりを何らかの方法によって改善できたとしても、残念ながら痛みが完全に消失する可能性は低いといえます。

ガムを噛むとやや痛みが落ち着くという点に関しては、幾つかの原因が考えられます。

まずは、ガムを噛むことにより唾液の分泌が促進されて口の中が潤い、結果として痛みが軽減したケースです。ドライマウスは痛みの主な原因でないとはいえ、多少は痛みに関与しているのかもしれません。そうであれば、口の中の潤いを保つためのケアが有効となります。

次に食いしばりを抑え、舌に対する刺激が軽減したケースです。食いしばりにより舌が歯に強く押し付けられるため、舌の痛みにも関与する場合がありますが、ガムを噛むことで舌への刺激が軽くなるのです。食いしばりの問題であれば、食いしばらないように注意することにより改善が期待できます。夜間の歯ぎしりに対しては、ナイトガードというマウスピースのような装置を作成することで対応できます。

また、カンジダ菌というカビの検査を行っていないようですが、カンジダ症が痛みに関係している可能性もあるため、一度調べてみる必要があります。

最初に述べた通り、口腔灼熱症候群は神経の異常により生じるとされ、治療法として抗うつ薬や抗けいれん薬が有効です。既にこれらの薬を使用されているようですが、組み合わせや量を再度検討されることをお勧めします。