口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

抜歯窩が上顎洞と交通している

年齢 性別 相談日
20代 女性T 2013年8月10日

【相談者】2013年8月10日  女性T

質問1

右上完全埋伏智歯を抜歯後、上顎洞に交通したと説明があり、抜歯後に綿密に縫合したとのことで、注意事項を守りつつ、経過を見ている状況です。

空気が抜けたり、水が鼻から出たり…といった明らかな症状は無いものの、口をゆすいだ時に、時折鼻に水が入ったような、鼻の奥がツンとすることがあったり、息を吸うと鼻が軽く痛む感覚があったりします。

抜糸時に傷はきれいに完全に塞がっているので様子を見ましょうと主治医からは言われていますが、完全埋伏智歯でしたので抜歯後の大きな穴は見えず、歯茎の傷が塞がっていても、抜歯窩が上顎洞と交通している場合は、切開した歯茎が塞がっていて蓋がある状態でも水が鼻に入るような症状が出るのでしょうか?また、どういう治療過程となるのでしょうか?どうぞよろしくお願いいたします

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

上顎の臼歯の上方には上顎洞という空洞があり、鼻の周辺に幾つかある副鼻腔の一つとして上顎骨の大部分を占めています。上顎埋伏智歯は上顎洞と接近しているケースがあるため、抜歯の際に上顎洞と貫通したのでしょう。このように口と上顎洞がつながった状態を「上顎洞穿孔」といいます。

抜歯によって上顎洞穿孔が生じた場合でも、上顎洞との交通部分が狭ければ自然に閉鎖します。また、口腔粘膜から上顎洞までの距離が長ければ同様に閉鎖します。ただし交通部分が広く上顎洞までの距離が短い場合は閉鎖せず、「口腔上顎洞瘻孔」が形成されることになります。瘻孔が残ると口から摂取した飲食物が上顎洞に流れ込んで痛みや感染が起こるため、瘻孔が形成された場合は「瘻孔閉鎖術」が必要となるのです。

さて、上顎埋伏智歯抜歯後の抜歯窩は閉鎖されているように見えるとのお話ですが、水や空気が時折通過することから、わずかな通り道は残っているのでしょう。ただし、抜歯窩が治るにつれて自然消滅することが予想されます。

どうしても症状がなくならない場合には、瘻孔閉鎖術を受けるかどうか検討すべきですが、当分の間は自然治癒を待たれることをお勧めします。

【相談者】2013年8月22日  女性T

質問2

先日は詳細にご回答をいただき、ありがとうございました。お礼が遅くなりまして、申し訳ございません。

さて、現在は抜歯後4週間弱となりますが、未だ水を飲む際に、稀に鼻に上がるような感覚があります。空気の抜ける感覚はなくなりました。抜歯窩は歯茎で覆われているので穴が空いているわけではないですがを鏡で見たところ、歯茎を縫い合わせたところに小さな隙間が見えるようでした。

抜歯窩の治療と共になくなる、また、当分の間は自然に塞がるかどうか様子見…とのことでしたが、その期間というのは、1か月以上も違和感が続くようでしたら担当医に見ていただいた方がよいのでしょうか?

担当医からは、抜糸後は特に通院の必要なし、とのことでしたので、どのくらいの期間で判断すればよいのかわからず・・・再度の質問となり恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

一カ月以上違和感が続いているということですが、いつまで期待して待つべきかの明確な目安はありません。

今すぐにでも改善を求められる場合は、早々に受診し瘻孔閉鎖術の希望を伝えられるとよいでしょう。逆に、早急な治療を求めるほどではない場合は当分の間様子を見ていかれてもよいと思います。

抜歯後1か月であれば、一度状態を診てもらうことをお勧めします。