口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

歯根嚢胞は歯の神経が生きている場合は歯根嚢胞ではないのですか

年齢 性別 相談日
I 2013年11月21日

【相談者】2013年11月21日  I

歯根嚢胞は歯の神経が生きている場合は歯根嚢胞ではないのですか?神経が死んだら歯根嚢胞ですか?

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

歯根嚢胞は歯の根の先端部分(根尖部)に風船のような嚢胞が生じ、増大していく病気です。嚢胞が増大すると根尖部の歯槽骨が圧迫されて溶け、骨に空洞ができます。

歯根嚢胞ができるためには、細菌感染と歯槽骨内の上皮が必要となります。まず虫歯ができて進行し、歯の神経(歯髄)に細菌感染による炎症が生じることから始まり、この炎症が持続すると歯の中から歯の外の根尖周囲組織に炎症が拡がります。

根尖周囲組織は歯槽骨という骨からできており、実際は骨しかない「マラッセの上皮遺残」という所に上皮組織の断片が残っている場合があります。この上皮に炎症が及ぶと膨らみ、内部は変性融解して粘液が貯まります。このようにして、内部に水分が貯まった風船のような病変である歯根嚢胞が発症するのです。

マラッセの上皮遺残とは、歯が顎の骨の中でできる際に歯にならずに残った(余った)粘膜組織です。歯ができる際には歯胚という蕾状の組織ができ、歯胚の外側にはエナメル上皮という膜があり、その内部で歯の組織が順々に形成されていきます。エナメル上皮は最終的に消えてなくなりますが、一部の断片が骨の中に残ることがあり、これがマラッセの上皮遺残となります。

さて質問ですが、歯根嚢胞が生じる前には歯髄に細菌感染による歯髄炎が生じていて、やがて死んでいきます。従って、歯の神経が問題を起こさずに元気に生きている場合は歯根嚢胞はできません。

歯髄が細菌感染によって死んでも(壊死しても)、歯根嚢胞ができるとは限りません。骨の中に上皮がない場合、嚢胞は生じないのです。このように、根尖周囲組織に炎症があっても歯根嚢胞ができない場合は根尖性歯根膜炎、根尖膿瘍、歯痕肉芽胞のいずれかの病態となります。