年齢 | 性別 | 相談日 |
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60代 | 女性M | 2013年10月30日 |
【相談者】2013年10月30日 女性M
質問1
はじめまして。前歯の虫歯治療後ブリッジにしたのですが、鼻の穴辺りを押さえると痛みが出るので歯科に相談したところ、耳鼻科へと言われ診察しましたが、歯の根っこだと言われました。
歯科で伝えたところ、根幹治療では問題ないので、切開しないと分からないとのことでした。膿はレントゲンでは写らないと言われたのですが、本当ですか?切開が怖いので、セカンドオピニオン受けた方がいいのかと考えています。長々と質問すみません。回答宜しくお願い致します。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
前歯の根の先端部分、ちょうど鼻の横辺りに炎症があると押さえたら痛みます。歯の根の先に炎症が生じるのは、虫歯菌がこの部分に繁殖して感染巣を作るからです。
このような感染巣には膿が溜まりますが、歯科で説明された通り、膿はエックス線写真には写りません。ただし、炎症が持続すると根尖部の骨が溶けて根尖病変が生じ、エックス線写真上に黒く丸い影が写ります。
エックス線写真では根尖病変が確認されなかったのでしょうか。炎症が生じて間もない期間はすぐに骨が溶けてなくなる訳ではないので、病変が確認できません。フェネストレーションという根尖が骨の外側に飛び出しているケースでは、指で根尖をおさえると痛みますが、炎症ではないため特に治療の必要はありません。また、鼻の粘膜に傷や細菌感染があると痛みます。
根尖に細菌感染が生じている場合はブリッジを外して根の治療(歯内療法)を行い、歯内療法で痛みが治まらない場合やブリッジが外せない場合には、粘膜を切開して根尖部を切除する歯根端切除術を行います。
切開が恐いということですが、何らかの理由で歯内療法が行えず、切開して歯根端切除術を行う必要があるのでしょうか?それとも、ブリッジを外したくないということでしょうか?この点に関しては、他の医療機関でセカンドオピニオンを求められてもよいでしょう。
【相談者】2013年11月2日 女性M
質問2
こんにちわ。返信ありがとうございます。エックス写真では何も確認されなかったので、ブリッジは外さず切開でということらしいです。
仮歯の時、痛みには気付いておらず、本歯を付けてから痛みに気付きました。虫歯がひどかったらしいので、神経はないですが、粘膜がだいぶ痛んでいて回復に時間がかかっているのかなと勝手に思ったりもしているのですが、3ヶ月もかかるのかなぁと。
虫歯に歯肉が巻きついて、歯肉を少し焼いたそうで、そういうのは関係ないでしょうか?
切開して何もなければ閉じてというのが嫌なので、どうしたらいいものか悩んでいます。
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
エックス線写真では根尖病変や歯根破折などの所見が見当たらなかったようですが、エックス線写真で異常がなくても、歯の根の中に細菌で汚染された部分があり、炎症が続いている可能性はあります。また、角度によっては歯根に亀裂が入っていることが確認できない場合もあります。
歯の根、即ち根管内が汚染している場合は、いったんブリッジを外して根の治療(歯内療法)を行うことが必要です。
ブリッジを外さずに歯肉を切開し、根の先を切断するという治療法もありますが、まずは歯内療法を行うのが一般的な順序です。切開を嫌う場合は、なおさら歯内治療を先行するべきです。ブリッジを外して歯内療法をすることができない何らかの理由があるのか、なぜ切開する必要があるのか、担当の先生とよく相談されることをお勧めします。
【相談者】2013年11月5日 女性M
質問3
先生からすると、レントゲンでは何もなく、歯根治療したばかりなので、再度治療する必要がないということだと思います。ブリッジを外して、再度歯根治療するとなると、詰め物を削って神経に詰めているお薬を抜いてと、結構大変なのでしょうか?
切開はやはり怖いので、大学病院の口腔外科などで再度診てもらった方がいいでしょうか?
【回答3】口腔外科総合研究所 樋口均也
再度歯内療法をするとなると、確かにブリッジやその内部の土台部分(ポストコア)を外す必要があります。とりわけポストコアを外す際には歯の根が薄くなったり、ヒビ割れたりするリスクもあります。
一度歯内療法を行ったにもかかわらず、押さえると痛みが残っていることから、再治療ではなく切開を提案されたのでしょう。切開すれば歯の根に亀裂が入っているか否かがわかり、亀裂が入っている場合にはその部分を補修するという方法もあります。また、根尖部に問題がある場合は歯根端切除術によって治るかも知れません。
今後の選択肢は再度歯内療法を受ける、切開する、そのまま放置するの3つです。切開したくない場合は、歯内療法を行うかどうかでしょう。口腔外科ではなく、歯内療法が得意な先生に診てもらうことをお勧めします。
【相談者】2013年11月7日 女性M
質問4
回答ありがとうございます。土台を外すのは結構負担かかるんですねぇ。置いておいても大丈夫なのか心配です。治療が嫌なら放置しかないからでしょうか?
歯内療法が得意な先生とのことですが、難しいですよねぇ。先生のような親身で丁寧な対応して頂ける先生が近くにいらっしゃるといいのですが・・・。
【回答4】口腔外科総合研究所 樋口均也
虫歯が進行して歯の神経にまで達すると神経を抜き、その後は根に土台(ポストコア)を差し込んで上に被せ物(クラウンやブリッジ)を作ります。
ポストコアは根の奥深くまで差し込むと、治療後に外れてしまうトラブルを防ぐことができます。根の中にまで虫歯が進行している場合はその部分まで切除するため、根の中に生じる空洞が大きくなり、必然的に差し込む部分が太くて大きなポストコアを作製して装着することになります。
このように、根の中に入っている部分が長く太いポストコアは外すのが大変なので、外す際にポストコアと接する部分の歯質も一緒に削り取れてなくなり、ドーナツ状の根の厚みが薄くなって弱ります。また根にひびが入ったり、割れてしまうこともあります。
再度歯内療法を行う場合も切開して歯根端切除術を行う場合も、良い面と悪い面とがあります。また、治療を行っても必ずしも良くなるとは限らず、むしろ悪化するケースもあるため、治療しないという選択肢もあり得ます。よく相談されることをお勧めします。