口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

前歯のかぶせ物の破折と咬筋肥大

年齢 性別 相談日
30代 女性 2013年6月11日

【相談者】2013年6月11日  U

前歯を3本、7年前に差し歯にしています。メタルコアで、中央の2本はくっついている義歯です。もともと噛みしめる力が強い、と言われたので今の義歯は、裏が金属のものです。

去年の4月に前歯の根本が痛み、小さな個人医院にてのう胞除去の切開手術をしましたが、半年後にはまたのう胞が。大學病院付属の歯学部を受診した際再切開手術は無理、義歯を壊しメタルコアを外して根治療、両サイドの義歯も含め作り直し、患部の根をまたぐようなブリッジ状の差し歯にするとのこと。

ここ1年半ほど、特に強いストレスがかかり、急に顔の印象が変わる程に咬筋が肥大。今入っている前歯の義歯も、半年ほど前に欠けました。これを機会に口腔内の金属の被せ物や詰め物もセラミックに、前歯義歯も裏が金属でないものにしたいです。義歯の処理のみならず、この、ストレスからきている咬筋肥大もどうにかしたいです。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

まず前歯の根については、のう胞摘出術に根の先まで感染が及んで病気が拡がっている場合に、原因である根の先も含めて病気の部分を除去します。現状を確認しないと正確なことは言えませんが、根の先を除去しても短期間で再びのう胞ができたなら、残存する根の中に原因があると推察されるため、切開手術で根の先や周囲を治療するより根の中の治療が必要でしょう。また、根の先を繰り返し切除すると歯を支える根が短くなり、噛む力に耐えられなくなってしまいます。

上記のような事情から、根の治療を行ってブリッジにすることが最善であると判断されたのではないでしょうか。

次にストレスによる咬筋肥大についてですが、強いストレスにさらされると歯ぎしりや食いしばりをしてしまうケースが多く見られ、中には無意識の場合もあります。ただし、これが癖になってしまうと顎や歯に強い力が加わり続けることになり、咬筋など顎の筋肉の疲れや肥大、また歯の痛みやすり減り、欠損の原因にもなります。

近年、このようなトラブルを抱える方が増える一方ですが、最も有効な対策はストレスを取り除くことです。現代社会ではストレスは当たり前と軽視しがちですが、身体に異常が発症している以上、何らかの対応は必要でしょう。ストレスを完全に取り除くことは困難であっても、薬で軽減できる場合もあるため、ぜひ専門医に相談されることをお勧めします。

今すぐストレスをゼロにして顎や歯に余計な負担がかからないようにするよりも、例えば夜に歯ぎしりをする癖がある場合は、ナイトガードと呼ばれる装置を付けて顎や歯にかかる力を軽減するなどの対処を行うとよいでしょう。

一方、詰め物や被せ物については、少なくとも強い力が顎や歯にかかっている現状では金属をお勧めします。セラミックは陶器の一種で硬い材料ではありますが、食事など一般的な歯の機能の範囲を超える強い力がかかってしまうと、割れたり欠けたりする可能性があります。

実際に咬筋肥大や差し歯が欠けるという症状が出現している以上、遠からず破損する可能性が高いといえます。ただし、セラミックは保険が適用されません。従って、費用をかけて自費診療を繰り返すよりも、まずはストレスへの対策と顎や歯にかかっている過剰な負担を軽減する治療を受け、歯にかかる力をある程度コントロールできるようになってから、詰め物や被せ物の治療に移行されるのが望ましいでしょう。