口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

埋伏している犬歯に対する治療法

年齢 性別 相談日
40代 女性 2014年10月10日

【相談者】2014年10月10日  I

17歳の息子の上顎左犬歯が埋伏歯で、右犬歯は欠損です。よって、左右ともに上顎犬歯は乳歯のままです。埋伏歯は左上2番の歯根に頭を突っ込んでおり、そのせいか2番は少し捻転しています。埋伏歯は1番の歯根にももう少しであたりそうです。歯茎の上のほうを触ると埋伏歯があるのがわかるようです。埋伏歯の根っこは左副鼻腔に近接していてほぼ水平埋伏歯です。

大学病院の口腔外科と個人の矯正歯科で診察していただいて、埋伏歯の抜歯と矯正(開窓・牽引)のそれぞれのリスクと本人の意向を踏まえて12月に抜歯することになりました。しかし、私も本人もこれが本当に本人にとってより良い選択なのかまだ迷っています。

一般的にはまず矯正(開窓・牽引)を試みて、それがだめならば抜歯に踏み切るものなのでしょうか。いきなり抜歯を選択するのは安易な判断でしょうか。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

犬歯はもっとも長く丈夫で、噛み合わせのキーとなる重要な歯といえます。また目立つ位置にあるため、埋伏していると審美的にも問題があります。

埋伏している犬歯に対しては粘膜を切開し、その深部の骨も削除して歯冠部を露出させ、そこに矯正器具を接着して牽引した上で、正しい位置に萌出させるという治療法があります。

ただし、この治療法はどんなタイプの埋伏歯にも適応できるわけではなく、周囲の歯の根に引っかかっていたり、根が大きく湾曲していると牽引できない場合もあります。従って、犬歯が埋伏している場合はまず牽引できるかどうかを検討し、不可能と判断された場合にのみ抜歯をするか、あるいはこのまま放置するか、いずれが適当であるかを慎重に検討することになります。

恐らく今回もこのような検討の結果、矯正(開窓、牽引)より抜歯という選択になったのでしょう。従って、現時点で安易な判断であると断言することはできません。