口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

口腔内のメラノーマの治癒率

年齢 性別 相談日
50代 男性 2013年10月1日

【相談者】2013年10月1日  G

質問1

口腔内のメラノーマは予後不良と言われておいますが、仮に6~7ミリ程度のメラノーマが発見されても、皮膚にできるメラノーマと違い予後不良となるのでしょうか?治癒率はどのくらいなのでしょうか?

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

メラノーマ即ち悪性黒色腫は、皮膚や粘膜のメラノサイトという色素産生細胞がガン化した悪性腫瘍です。皮膚の悪性黒色腫であれば、6~7mmの大きさといえばかなり進行した病変となります。この大きさの口腔内の悪性黒色腫が皮膚のそれと比べて予後不良(治らないことが多い)かどうかについては、簡単に言及できません。

国際対がん連合(UICC)が皮膚の悪性黒色腫の進行度をTNM分類やステージ分類で区分する方法を定めています。ところが、口腔粘膜に関してはTNM分類もステージ分類も定めていません。そのため、皮膚と口腔粘膜の悪性黒色腫の予後を比較するデータが存在しないのです。UICCが粘膜の悪性黒色腫のTNM分類を定めているのは、結膜、虹移、毛様体、脈絡膜の3ケ所のいずれも眼の粘膜だけなのです。

口腔粘膜の悪性黒色腫のTNM分数が定められていない理由は、比較的稀な病気だからでしょう。過去の報告をみても、多くて20~30例の治療結果をまとめたものしかありません。この程度の症例数では進行度の程度に分けて予後を追跡するには少な過ぎて、実態を把握することが難しいのです。

ManolidとDonaldが1997年に報告したレビュー論文があります。過去の報告例を多数集計して分析した論文で、この研究では口腔・咽頭の悪性黒色腫445例と鼻・副鼻腔の悪性黒色腫328例の併せて773例を集めています。

集計の結果、粘膜に病変が限局しているのは全体の75.3%、リンパ節転移があるものは18.1%、遠隔転移のあるものは6.6%という分布を示していました。肝心の予後ですが、5年生存率が17.1%、10年生存率が4.8%で、皮膚の悪性黒色腫よりやはり悪い印象です。治癒率については生存率より低い数字となるはずですが、そのようなデータは恐らく存在しないでしょう。

【相談者】2013年10月3日  G

質問2

有難う御座いました。ご回答頂きました内容で、再度質問させて下さい。内容は粘膜に病変が限局しているのは全体の75.3%とあるのに5年生存率が17.1%とかなり低くくなっています。皮膚の場合、生存率は80%程度と記載されていますが、やはり口腔内のメラノーマは早期に発見しても、予後が相当悪いものととなる訳でしょうか!

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

皮膚に病変が限局しリンパ節転移などがない場合は、生存率がかなり高いようです。やはり、口腔内の悪性黒色腫は皮膚と比べて予後が悪いようです。