年齢 | 性別 | 相談日 |
---|---|---|
30代 | 女性 | 2018年3月13日 |
【相談者】2018年3月13日 P
質問1
上の歯茎の外側に大きな骨隆起があり、見た目の問題から手術したいと思っています。近くの口腔外科2箇所で診て頂いたのですが、よく分からない点がありお聞きしたいです。1つ目の病院では、術後に歯茎の後退の可能性があるとのことでした。
歯根に近い骨を削った場合は根が露出してしまう可能性があるとか。2つ目の病院でこれについて尋ねたところ、歯茎が後退しないような上のほうを切開をします、とのことでした。矛盾を感じているのは下記の点です。
最初の病院の先生が仰っているのは歯茎を切開するから云々ではなく、骨を削る過程で歯根が露出してしまうリスクのことのように受け取りましたが、2番目の先生が仰っているのは切開する場所、つまり開く場所のようです。専門的なことが分からないのですが、両先生の見解はそもそもの趣旨が違うような気がして、決めかねています。
歯茎の後退というと歯周病で歯茎が下がってしまうイメージがあるのですが、骨隆起の手術でそれが生じる可能性があるのはなぜなのでしょうか。きちんと理解した上で治療に望みたいと思いご相談させて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
骨隆起は下顎小臼歯部の舌側や口蓋正中部に生じやすい骨の膨らみです。食いしばりや歯ぎしりによって歯に持続的な強い力が加わると、歯を守ろうと骨が増殖して生じます。上顎歯肉の外側(頬側)に骨隆起が生じたようですが、確かに骨隆起が生じやすい部分であるといえます。
骨隆起自体はそのまま放置しておいても問題はありませんが、「見た目が悪い」「歯が磨きにくい」「入れ歯を作るのに邪魔になる」といった場合は除去することになります。手術法は骨隆起の表面の粘膜を切開し、骨をラウンドバーや骨ノミなどで削除した後で縫合します。
一方、歯肉退縮は歯周病が進行することにより骨が溶けてなくなると、次第に歯肉も退縮します。癌以外にも歯磨きの力が強すぎて傷つけてしまったり、歯ぎしりや食いしばりがあると生じます。
骨隆起除去術のために歯肉退縮が生じることはないでしょう。歯周病の際に歯肉退縮が生じるのは骨がなくなるためで、歯のすぐ近くまで骨隆起があるなら歯肉退縮は生じません。歯磨きや食いしばりによる歯肉退縮は、歯の周囲の骨が薄い部分に生じやすいものですが、分厚い骨隆起があればその心配はありません。
【相談者】2018年3月15日 P
質問2
とても分かりやすいご説明ありがとうございました。最後に一つだけ伺ってもよろしいでしょうか。
骨隆起は上顎の歯茎に沿ってかなり大きく範囲も広いです。(口を閉じていても盛り上がりが分かる程です)親不知の抜歯で少し骨を削っただけでも痛みが強かったのを考えると、その量を削れば痛みもかなり大きくなるのかなと思っています。
1つめの医院のほうでは、自費でピエゾサージェリーでの手術が選択できると言われました。通常の処置より痛みや腫れがかなり軽減されるとのことで気になっています。一般的な手法で削るのと比べてピエゾサージェリーは痛みや腫れは格段にちがうのでしょうか?
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
親知らず抜歯後の痛みは、骨を削ったことにより生じたものではありません。抜歯後の痛みは骨削除以外にもいろいろな要因が関与しており、骨削除そのものは術後の痛みにそれほど影響しないと推察します。
ピエゾサージェリー は超音波を用いて骨を繊細に削ることができる方法です。ラウンドバーを用いてドリルで骨を削る通常の方法と比べ、痛みは軽減されそうですが、腫れが軽くなるとは限りません。また「格段にちがう」か否かについては、感じ方に個人差があるでしょう。