口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

断続的に生じる右下顎の激痛

年齢 性別 相談日
女性 2016年9月4日

【相談者】2016年9月4日  YM

質問

私の母なのですが、今年6月より右下7番の根管治療をしており後は薬を詰めるところまでいったのですが痛みが取れず、痛みが落ち着いてから薬を詰めようとなっておりました。しかし、やはり右下の激痛が取れないため7/8に診察してもらったところ右下親知らずが炎症ということで親知らずを抜歯しました。

その後、ドライソケットとなり激痛と戦う事1ヶ月(治りは少し遅いようでしたが、それでも骨の目立った炎症もなく薄い歯茎は張っていたため、これほど激痛が続くのはこの時点でも少しおかしいなと思っておりました)、その間はトラムセット1日6.7錠、ボルタレンサポなどかなりの鎮痛剤を服用していました。

7月末には一旦痛み止めを服用しなくてよい日が2.3日あり、これでやっと治癒にむかっていると思った矢先、7/31よりまた激痛が出始めたため、ドライソケットの治療として専門の歯科に高周波治療などしてもらい痛みは治まったり出たりを繰り返しておりました。その時の痛みはまだボルタレン25mg1錠などでも少したつと効いている状態でした。

8月中旬より激痛が出る日、治まる日がほぼ1日置きにあり、激痛は寝る前に出てくるため睡眠が取れず、さらにその激痛はトラムセットもボルタレンサポもロキソニンも何も効かない状態です。夜から出始め次の日の昼過ぎにいつも治まり、その日は睡眠不足からか寝れるのですが、またその翌日の夜から激痛が出始めるとの状態です。

8/26頃からは舌の付け根や軟口蓋にも激痛を感じるようになりました。関連痛なのか神経性障害なのか不明ですが、非定型歯痛顔面痛の可能性も考えなくてはと思っています。9/4現在も同じように親知らず抜歯跡や舌の付け根に激痛が出てきています。

母も6月の根管治療時からの長期の激痛で、精神的にもかなりまいっており激痛がくると本当に死にたいと言っています。最近は治まっている時も、激痛の恐怖からか両足のしびれ、背中の硬直があり睡眠が取れない日が続いています。

現在は8/16より歯学部付属病院に通っており、1.2週間たっても痛みに変化がないため治療方針としては来週よりリリカを試してみようとなっています。それでも変化がない場合、ペインクリニック科と連携して痛みを何とか緩和するようしていこうとなっています。レントゲン、CT、MRI、血液検査、全てに異常はありませんでした。

根管治療中の歯も1ヶ月ごとに見て頂いてはいますが、特に問題はないと言われています。現在、抜歯窩はまだ穴は空いておりCTでも骨は大きな穴が空いている状態ではあります。

ここからが質問なのですが、私としましては、この治療方針でいいのか、それともこの時点で非定型歯痛を疑い、抗うつ薬での治療を早期に進めた方がいいのか、、悩んでいます。また、この症状(1日置きに長時間くる激痛、治まったり出たりを繰り返している)は非定型歯痛として考えられるのでしょうか。他に原因がないというところで非定型歯痛ではないかと思っています。

また歯痛からくる両足のしびれ、背中の硬直と痛みはどういったところへ受診すればいいでしょうか。読みにくくわかりにくい長文で申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

激痛が繰り返し生じ、さぞかしお辛いことでしょう。痛みを和らげるためには、まずは痛みの原因がどこにあるのかを調べる必要があります。親知らずの抜歯後にドライソケットが生じたということですが、その後の経過はいかがでしょうか。

ドライソケットは骨がむき出しとなり、水や冷気が当たるだけで強い痛みが生じるのが特徴で、専門家が診れば簡単に判断できます。文面からはドライソケットの治療は終了し、抜歯窩の骨面は粘膜に覆われて治ってきているように推測されます。

右下の親知らずは既に抜き、ドライソケットも治っているとすれば、痛みの原因は何でしょうか。右下7番の根管治療後も痛みが続いていたようですが、現時点ではこの歯に問題はないようですね。CTやMRIの結果では、顎骨にも骨髄炎や腫瘍などの問題はないようです。

このような場合は非定型歯痛が疑われます。あるいは、右下7番の神経か親知らずを抜いた際に生じた神経障害性疼痛、筋・筋膜炎疼痛性障害などの可能性もあります。脳腫瘍や脳梗塞による痛みの可能性もありますが、CTやMRIでは頭蓋内まで調べたのでしょうか。

両足のしびれ、背中の硬直と痛みについては右下顎の痛みと直接関係しているかどうかは不明です。両足や背中に別の問題が潜んでいる可能性もありますし、ストレスや不安が両足や背中、右下顎に痛みを引き起こしているのかもしれません。脳腫瘍や脳梗塞の問題と併せて、両足のしびれ、背中の硬直と痛みについても神経内科で診てもらうことをお勧めします。

また、カンジダ菌というカビにより粘膜が赤く腫れて痛む場合には、抗真菌剤の塗布やうがいが効果的です。