年齢 | 性別 | 相談日 |
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30代 | 女性 | 2010年12月9日 |
【相談者】2010年12月9日 30代 女性 Y O
質問1
2007年より疼痛性障害(わき腹痛・頭痛)になり、その間に歯がかけ歯医者に行き表面を削って埋めてもらいました。そうしたところ、歯が激痛になり堪えられない痛みが何週間も続いた為、神経をぬきました。歯の痛みがなくなったと思ったら今度は歯茎が激痛になり現在もとても苦しんでいます。大学病院でCTも撮りましたが異常ありませんでした。
硬化性骨髄炎ではないか心配ですがCTで異常がなければ疑いはないのでしょうか?鎮痛剤は効きません。抗うつ剤では三環系(トリプタノール)の薬ではかなり副作用がきつく続きませんでした。SNRIトレドミンは15ミリを1日2回のんでいました。副作用はありませんでしたが効果を感じなかったので3週間でやめてしいました。
今思うと量的にMAXまで増量して効果がでるものだたのでしょうか?また、SSRIの抗うつ薬も副作用が少ないと聞いたので試してみたいと思っています。現在は、激痛の時にデパスのみでしのんでいますが、限界を感じています。
SSRIとSNRIの違いとこのような症状に合うお薬はどちらが良いのでしょうか?是非、先生のご見解をお聞きしたく宜しくお願い致します。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
大学病院でCT撮影を行って確認されていることから、歯や歯周組織、顎骨の異常ではなさそうですね。また、骨髄炎の可能性もほとんどないと考えられます。従って、今後さらに歯の治療を続けたとしても、改善する見込みは少ないでしょう。
歯が原因ではない歯の痛みで多いのは、食いしばりや歯ぎしりによる筋・筋膜痛です。対策としては、日中は食いしばらないように注意し、就寝中はオクルーザルスプリントなどを装着する方法がお勧めです。
筋・筋膜痛以外では、疼痛性障害や統合失調症、気分障害(うつ病、双極性障害など)による痛みが疑われ、抗精神病薬や抗うつ薬、気分安定薬などによる薬物療法が必要となります。
疼痛性障害には三環系抗うつ薬が有効です。トリプタノールは服用開始から2週間は副作用が出やすいとされていますが、徐々に体が慣れると副作用も軽減するため、それまでは我慢も必要です。また、トレドミンは100mg以上に増量すると効果が期待できますが、一定期間服用を継続する必要があります。
一方、SSRIとは選択的セロトニン再取り込み阻害薬、SNRIとは選択的セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬を意味し、SNRIの方が効果も副作用もより高いとされています。なお、デパスは効果が徐々に弱まるという性質があります。
【相談者】2010年12月12日 30代 女性 Y O
質問2
ご丁寧なご回答を頂き大変ありがたくお礼申し上げます。
もう少しトレドミンの量を増やしながら経過をみてみます。口腔外科では抗うつ剤は通常処方されないんですね。私が通っている大学病院の口腔外科では量的に心療内科での処方になると言われました。痛いのは、歯ぐきなので口腔外科で見て頂きたい心境です。
取り急ぎ、お礼まで。先生のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
疼痛性障害や神経障害性障害、筋・筋膜痛、その他の非定型顔面痛などにより痛みが持続し、そのため治療の効果が得にくい場合がありますが、このような状況下では3環系の抗うつ薬を中心とした薬物治療が有効です。口腔外科には慢性疼痛を訴える患者さんが日々来院されるため、日常的に薬物療法を行う一方、心療内科で口腔内の症状について詳しく診察することは困難でしょう。
抗うつ薬は少量からスタートし、効果があらわれるまで薬の量を増やしていきますが、服用量が少ないと治療が成功しないケースもあるため、自ずと薬の量が増えてしまう傾向にあります。