口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

水平埋伏した上顎の親知らずの抜歯の必要性

年齢 性別 相談日
50代 女性 2010年6月11日

【相談者】2010年6月11日 50代 女性 F

相談させて下さい。上の7番の根っこを8の歯冠部が斜め45度位の角度で押しています。7はこれまで2~3回大きく腫れたことがあります。今年3月に10日ほど痛みが出て膿が落ちる様に出ていたように思います。今は痛みは無いですが、小さな腫れを繰り返しています。

8を抜くのがいいのでしょうが、8を抜いても7が助かるかは分からないそうです。この親知らずは抜くのにリスクが高い上に抜く事によって7がぐらぐらになってしまうかもしれないと言われています。口腔外科の先生はいきなり7を抜くのはもったいないから、まず8を抜いてダメなら7を抜いてはどうかと言います。7は虫歯でも無くもったいないです。しかし、7が助からない可能性が高いのであれば、恐ろしい8の抜歯はしたくありません。59歳です。どうか宜しくお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

対処法は、上顎8番(親知らず)の埋まり具合によって分かれると思います。この箇所に数回にわたって感染が起こり、腫れている状態であるということから、比較的浅い位置に親知らずが埋まっているために感染しやすいのではないかと推測します。

このような場合の抜歯は容易で、術後のダメージも軽いと予想されます。また、親知らずがなくなったあとにできる骨の空洞は徐々に新しい骨で満たされるため、たとえ7番が一時的に不安定になったとしても、半年程度でしっかりと骨で支えられるようになります。従って、親知らずを抜くことはそれほど恐ろしいことではなく、リスクも高くないということです。

一方で、親知らずが隣りの7番の根尖付近に奥深く埋伏している場合は、通常感染を起こす可能性は低いといえますが、運悪く感染を繰り返しているのかもしれません。その場合の抜歯はとても困難となり、粘膜を大きく切開して骨を多量に削る必要があります。また、7番を傷つける可能性があり、骨の支えも少なくなってしまいます。

このケースでは親知らずを抜くのではなく、7番を抜いた方が得策であると考えられます。なぜなら、7番を抜けば感染を繰り返さなくなる可能性が高くなることに加え、その箇所に親知らずが生えてきて、歯並びの回復が期待できるからです。 実際に診ているわけではないので的確にはお答えできていないかと思いますが、上記の点を踏まえて相談されることをお勧めします。

【相談者】2010年6月15日  50代 女性 F

先生、昨日はありがとうございました。メール相談だけでなく 私の歯を直接診て頂きたかったのです。すみませんがまた教えて下さい。

歯のお掃除を丁寧にしてもらったのですが、これは歯根膜も取れてしまったという事ですか?以前にも(もう少し浅かったですが)した事があります。両刃の刃なんですか?私は親知らずを抜くのが恐くてイヤでした。でももし今から親知らずの抜歯をする方を選んだとしたら、7を残せる可能性は有ると思われますか?

直接お会いして いろいろお尋ねしようと思っていたのに上手く言えませんでした。またこうしてメールさせてもらってすみません。どうか宜しくお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

昨日実施した歯の掃除を「ルートプレーニング」といいます。検査によって判明した深い歯周ポケットの歯根膜は歯根面に付着していないため、ルートプレーニングが原因で歯根膜が取れてしまうことはありません。むしろ、きれいになった歯根面に歯根膜が付く「再付着」「上皮付着」などの現象が生じやすくなるため、歯周ポケットが深くなることが期待できます。さらにうまくいって歯槽骨をも再生し、「新付着」「結合織性付着」という現象が生じた場合には、親知らずの部分が腫れて痛んだり、抜歯を迫られることもなくなるでしょう。

親知らずを抜いて上顎第2大臼歯(7)を残すことは、可能であると考えます。ただし骨の欠損が大きく、歯髄も傷つく恐れがあることから、問題が残る可能性が高いと思われます。

【相談者】2010年6月17日  50代 女性 F

先生お忙しい中すみません。良かったです よく分かりました。有難うございました。"