年齢 | 性別 | 相談日 |
---|---|---|
30代 | 女性 |
2019年3月8日 |
質問
来月で2歳半になる娘の事で相談させて頂きます。数ヶ月前に、定期的にフッ素を塗ってもらっている歯科で下唇の裏に粘液嚢胞があると診断されました。本人は全く気にする様子はありませんが、歯科医には局所麻酔をかけて取ることを勧めらています。定期検診だけでも大泣きで抑えるのがやっとなのと、局所麻酔とは言え2歳の子に麻酔をしてまで取るべきなのか決めかねております。
上記を踏まえ、やはり歯科医のおっしゃる通り取った方がいいのかアドバイス頂ければ幸いです。また、今月末親族の結婚式参列の為、渡米するのではじめて飛行機に乗るのですが、気圧の関係で粘液嚢胞が変化等があるのか合わせてお教え頂ければ助かります。お返事お待ちしております。どうぞよろしくお願い致します。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
下唇の粘液嚢胞は粘膜に多数存在する「口唇腺」という小さな唾液腺から唾液が漏れ出すことで生じます。口唇腺本体や口唇腺から産出された唾液は、口の中に出てくる通り道である導管から粘膜下に漏れ出します。唾液が漏れ出すのは唇を誤って噛むなど、口唇腺や導管が傷ついた結果ですが、唾液が溜まることにより下唇の粘膜が半球状に膨らみます。
粘液嚢胞の表面は薄い膜なので噛んだ拍子に破れて唾液が流れ出し、潰れてなくなることがよくあります。しかし唾液の流れは続いているため、しばらくするとまた元のように嚢胞ができてしまいます。
従って、粘液嚢胞をつぶすことが根本的な治療ではありません。嚢胞とともに壊れた口唇腺や導管に唾液を供給する口唇腺を取り除く必要があります。この手術は比較的簡単で成人の患者さんであれば10分程度で終了しますが、2歳のお子さんには難しいでしょう。
身動きしないようにおさえつけたり、全身麻酔下で手術をするという選択肢もあります。しかし命にかかわるような問題ではなく、本人が気にならなければ手術する必要はありません。
飛行機に乗ると気圧が低下して粘液嚢胞も多少は膨らむはずですが、それが問題となることはないでしょう。もし、つぶれたとしても何らかの問題につながることはありません。
謝辞 2019年3月11日
おはようございます。大変、丁寧で詳しいご説明とお返事をありがとうございました。短時間の手術とはいえ、娘がじっとしていられるとは到底思えませんので、やはり手術は見送ろうと思います。専門のお医者様にお返事頂け、とても参考になると同時に安心致しました。お忙しい中、お時間を頂き本当にありがとうございました。