年齢 | 性別 | 相談日 |
---|---|---|
40代 |
女性 |
2014年6月5日 |
質問1
2012年に左下唇の下の小さな唾液腺腫を取りました。その後麻痺が出現しました。しかしその冬感覚は戻ってきましたが、一部に感覚の異常な場所がありその部分に触れるのがつらく口腔外科に相談すると思うような回答が得られず。以前より自律神経失調症で通っていた心療内科に相談すると、リリカとトレドミンが処方され静養の為入院となりました。
そこで薬の副作用の口が動く、大きな不安に襲われる。などが起き精神科に紹介入院となりました。そこではデパケン、レメロン、ソラナックスが処方され口の動きは回復しましたが、大きなショックは残り「不安神経症」と診断を受けましたが、現在薬があまり効かなくなってきたのか左口唇の神経症状がつらく。レメロンが増量になりました。現在左唇が緊張したりすると左に寄る苦痛、神経違和感があまり改善しない状態にあります。
精神科と口腔外科は同じ病院でこの前口腔外科を受診しましたが、精神科に治療全部を任せとなりました。「口腔科」の医師はあと4年薬を飲めば治ると言いその根拠までは聞くことはできませんでした。症状が軽減せず困ってます。どうかよいご指導お願いします。
回答1
口唇の唾液腺腫瘍を摘出する際に麻痺が生じ、現在まで違和感が続いているということですね。腫瘍を摘出する手術をすれば必ず周辺の神経が傷つき麻痺が生じます。日にちがたてば麻痺は徐々に治っていくものです。
しかしながら一定の割合で麻痺がうまく治らず、痛みや違和感が生じることがあります。このような症状は難治性であり、いつまでも改善しない場合もあります。神経損傷に伴う痛みや違和感に対しては抗けいれん薬や抗うつ薬が有効です。そのため、抗けいれん薬であるリリカや抗うつ薬であるトレドミンが処方されたのでしょう。
抗けいれん薬や抗うつ薬はさまざまな副作用を引き起こすことがあります。口が勝手に動き続けるオーラルジスキネジアや、不安感といった副作用もあり、そのため中止されたのでしょう。
現在服用されているデパケンは抗けいれん薬、レメロンは抗うつ薬、ソラナックスは抗不安薬です。これらの薬も神経損傷による違和感を改善する働きがあります。レメロンを増量するなど精神科の先生は改善できる薬の組み合わせを模索されているのだと思います。
あと4年で治るかどうかはわかりませんが、担当の先生が試行錯誤される中でよい治療法に辿り着く日を待つ必要があると思います。不安神経症に対しても違和感に対しても薬だけでなく心理療法が有効な場合があります。この点についても精神科の先生と相談されたらよいと思います。
質問2
丁寧なお返事ありがとうございます。手術をしてからもう2年近くもたち、その間に薬の副作用など精神的にかなりダメージもあり、抑うつ的な状態になっています。子供も小さく、家事は実家の母におんぶにだっこ状態。精神科の薬は飲むものの、副作用が強くだるく、眠くしかたありません。また口腔症状も思うように改善されず、疲れ果てています。鍼灸やマッサージにも通ってみました。どうにかこの状態から抜け出したいのですが、思うようにいきません。
質問ですが
① リリカはかなり効果的でしたがトレドミンとの併用で副作用出ました。その為精神科の医師は今後使用しないと事でした。今後パキシルなど試すかもと言われていましたが、先生が効果的であると思われる薬があったら教えていただきたいです。私としては副作用がなければリリカを使いたいです。
② 私はもともと自律神経失調症がありますが、健康な方が私のような症例になった場合薬なしで過ごす場合の方が多いのでしょうか?
③ ネット上の知識ですがペインクリニックでブロックする治療はもう私には遅すぎるでしょうか?
④ 心理療法に適応するのかと思いますがカウンセリングは受けています。何かあと良いとおもわれる治療があれば教えて頂きたいです。
長くなりすみません。口腔外科も協力的ではなく先が見えず困っています。何度も質問して申しわけなく思いますが先生のお力をお借りできたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
回答2
口唇の唾液腺腫瘍を摘出する際に麻痺が生じ、現在まで違和感が続いているということですね。腫瘍を摘出する手術をすれば必ず周辺の神経が傷つき麻痺が生じます。日にちがたてば麻痺は徐々に治っていくものです。
①神経損傷後に生じる違和感に対しては抗うつ剤や抗けいれん剤が用いられます。抗うつ剤としてセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるトレドミンやノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)であるレメロンが処方されていますね。他の抗うつ薬として三環系抗うつ薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)があります。これらを試してみる価値があります。
②術後の違和感を我慢できる方が一定の割合でいると思います。我慢できない方が来院されるため、我慢できる方がどの程度いるかはわかりません。どちらが多いのかもわかりません。
③神経損傷後の直後であれば星状神経ブロックにより下唇の血行がよくなることで快復が促進されます。しかし、既に2年間たっていることから、その効果は期待しにくいと思います。
④心理療法の一種としてカウンセリング療法があります。その治療でうまくいかないのであれば他の治療法も検討されたらよいと思います。認知行動力療法や森田療法、漸進的筋弛緩法、自律訓練法、ブリーフセラピーなどの心理療法もあるので、担当の先生と相談してみてください。
質問3
親身なご指導ありがとうございます。今後どうなるか分かりませんが良くなる事を祈りながら治療。また心理療法に臨んでいきたいと思います。本当にありがとうございました