口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

口を大きく開けるとカクンとなります

年齢 性別 相談日

40代

女性

2019年11月4日

質問1

以前から口を大きく開けるとカクンとなります。昨夜から痛みが出てきました。食事は、普通にできます。どのような病気の疑いがありますか?よろしくお願いします

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

耳の穴のすぐ前に顎関節があり、下顎の骨(下顎骨)と頭蓋骨(の一部の側頭骨)のつなぎ目になっています。この関節の内部の骨と骨の間に「関節円板」という靭帯組織があり、クッションのような役割を果たしています。

歯ぎしりや食いしばりがあると、この関節円板が前にずれて(前方転位)、カクンという音がするようになります。この現象を「クリッキング」といいます。クリッキング自体は多くの人に見られ、音がするだけであれば治療の必要はありませんが、口を開け閉めする際に痛みが生じる場合は治療が必要となります。これが顎関節症です。

カクンという音はクリッキングである可能性が高いと推察しますが、他の理由から生じているのかもしれません。顎関節を作る下顎骨の先端部分を下顎突起といい、前方に下顎骨の筋突起があります。この筋突起が大きくなり過ぎると(筋突起過成長、筋突起過形成)、開口時に胸骨とぶつかって音が鳴ることがあります。ぶつかる衝撃や開きにくいのに無理に開けようとすることで痛みが出ることもあります。下顎突起やその周辺部が骨折した場合は、折れた骨同士がこすれて音がして痛みます。

カクンという音はクリッキングで、痛みは別の理由で生じているのかもしれません。顎関節が細菌感染して化膿性顎関節炎や耳下腺炎、中耳炎や外耳炎が生じて可能性も考えられます。