年齢 | 性別 | 相談日 |
---|---|---|
60代 |
男性 |
2022年1月11日 |
質問1
昨年7月から歯の浮き感に悩まされております。一日中歯が浮いた感じがし、特に仕事などで難しい文章を解読するなどの時に気持ちを集中するとその感覚が強くなります。その時に特に歯を食いしばるようなことはありません。感覚が強い時は肩こりや頭痛と連動します。
これまでの経緯ですが、
・昨年3月から口の中の違和感(ドライマウス、ものを食べにくく舌や口の内側を噛んでしまう、など)がありました。かかりつけの歯科医(A先生)に診ていただき、自己マッサージの指導を受けドライマウスは解消しましたが、その後歯の浮きを感じるようになりました。
・A先生は、一般的に歯の浮き感は歯周病を疑うが、私の場合はドライマウスがそうであったように、口の中の雑菌などによる反応が過敏になっているのではないか、しばらく様子を見ましょう、との見解でした。
・余りにも歯の浮き感が強いので、以前のかかりつけ歯科(B先生)はどのように思われるかと診ていただいたところ、歯の浮き感は歯周病(軽度ではあるが)が原因と考えられるとの診断で、その後2か月(8,9月)通院し歯と歯茎の掃除と薬によって歯周病は改善されましたが、歯の浮き感は残りました。
・B先生からさらに専門的に歯周病の治療を行うC先生への紹介を受け、C先生の診断では軽度の歯周病であるので、現在、さらなる歯と歯茎の掃除を行っています。
・C先生によりましたら、歯周病がなくなっても歯の浮き感がなくならないようであれば、歯ブラシによる擦過創、噛み合わせをチェックするとのことです。
・その間、11月に友人の神経内科医(D先生)に相談する機会があり、漢方薬(抑肝散加皮半夏)を2週間飲んでみましたが変わりません。
以上がこれまでの経過です。
歯の浮き感の一番の要因とされる歯周病の治療はC先生にしっかり診ていただこうと思いますが、これまでの治療で歯周病は改善されているのに、歯の浮き感が全く変わらないので、他の要因があるのではと感じています。ここ一年ほどで、衰えによる体のさまざまな変化を感じるようになり、はじめのA先生がおっしゃるような過敏が生じているのでは、体内の制御系が不調を起こしているのでは、などと思っていますが、これは素人の漠然とした考えで根拠はありません。
今の歯周病あるいは噛み合わせなどの治療は第一であると思っていますが、一方で他の要因もあるのではと思いますが、相談するあてもなくネットで調べるうちに、先生のサイトに行きつき、ご相談を差し上げる次第です。何かご見解をいただければと思います。私の説明に不足することがありましたら、お教えください。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
通常、上下の歯が噛み合っている限り「歯が浮く」という現象は起こりえないことなので、恐らく浮いたような感覚に陥っているのでしょう。歯は歯根膜(歯周靭帯の一種)を介して歯槽骨とつながり、噛む圧力が歯に加わると歯が沈下し、歯周靭帯が引き伸ばされます。この「引き伸ばされた」または「再収縮した」感覚が、「歯が浮いたような感覚」として知覚されていると推察します。
このような異常は感覚過敏か感覚鈍麻のいずれかに該当し、脳内で触覚(圧感覚)を伝える神経回路に余分な配線が加わっている、あるいは断線している可能性があります。
確定した治療法はありませんが、抗うつ薬や抗けいれん薬、抗精神病薬などの内服の他、系統的脱感作法で神経の状態を調整する方法があります。
質問2
神経レベルでの不具合で感覚が病的に生じている可能性があること、そしてそれに対しては、メンタル的な内服や療法による状態の調整が考えられるとのこと、歯科・口腔外科の先生からそのようなご見解をいただき、ありがたく思います。
抗うつ薬、抗精神病薬についてのお話がありましたが、私は仕事上のストレスを軽減するために10年ほど心療内科にかかり、薬を処方されておりました。数年前に仕事の環境が変わったことからストレスを感じなくなり、主治医の指示に従って徐々に薬の量を減らして、昨年2月に薬を飲むことを終えました。その後、3月から先のメールで申し上げた、口の中の異常を感じるようになり、今思えば、10年間飲み続けた薬を飲まなくなったことと、それ以降に生じた口の中の異常にもしかしたら因果関係があるのではと思いました。なお、現在メンタル的には全く問題なく、公私ともに安定した生活を送れています。
いただいたコメントの検討をもう少し進めてみたいと思うのですが、どのようにすればよいかご助言をいただければと思います。例えば、樋口先生に診ていただく、あるいは、心療内科を受診する、あるいは、他の適当な病院の心当たりがあればお教えいただく、などです。ちなみに、心療内科についてはこれまでに掛かった何人かの先生を知っていますが、今回のような病状にご対応いただけるものなのかは不明です。
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
前回の回答は、ご質問の文面から推測できる範囲でお答えしたもので、今後の治療の見通しを示すものではありません。従って、他の医療機関を紹介できるような状況ではなく、まずは診察や検査を行ったうえで現状を正確に把握する必要があります。その結果を踏まえ、試行錯誤しながら治療を進めていくことになるでしょう。