口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

鼻口蓋管嚢胞を摘出について

年齢 性別 相談日

20代

男性

2022年12月1日

質問1

今年の10月頃に鼻口蓋管嚢胞と診断されました。現在、過去共に症状ま全くないのですが、放置しても治ることはないと言われ、摘出手術を行うか迷っています。ネットで調べたら手術の際に神経を損傷してしまい、術後麻痺が残ってしまうなどの記事を見かけたので、かなり不安です。病院の先生は恐らく問題はないと仰っているのですが、複数の方の意見を聞きたくてご質問させていただきました。

具体的な質問としましては、
①症状がない場合、鼻口蓋管嚢胞を放置するケースはあるのでしょうか。
②摘出手術を行った際に麻痺などの後遺症が残る場合は結構あるのでしょうか。
③手術自体は難しいものなのでしょうか。

嚢胞の位置や大きさにもよるとは思いますが、ご回答よろしくお願いいたします。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

鼻口蓋神経は上顎神経(三叉神経第Ⅱ枝)の枝の1つで、口蓋前方部に分布して口蓋粘膜の知覚を脳に伝える働きがあります。上顎神経は上顎の骨の中を通り、その枝である鼻口蓋神経は鼻口蓋管という管を通って口蓋の前方部の粘膜下に出てきますが、この鼻口蓋管に袋状の嚢胞ができるのが鼻口蓋管嚢胞です。

鼻口蓋管嚢胞は徐々に大きくなるため摘出手術を行いますが、大きくなるスピードには個人差があるため、症状がない場合は放置されることもあります。放置していても症状が現れない限りは問題ないでしょう。

鼻口蓋管嚢胞を摘出すると鼻口蓋神経が切断され、口蓋前方部の知覚が麻痺します。幸い鼻口蓋管嚢胞は口蓋の後方部から伸びてくる大口蓋神経と吻合(連絡)してループを形成しているため、鼻口蓋神経が切断されると、大口蓋神経が徐々に伸びて口蓋前方部の知覚が回復していきます。そのため、しばらく我慢することにより麻痺は改善されます。

鼻口蓋管嚢胞の手術については、口腔外科の手術の中では比較的容易な手術と言えるでしょう。

質問2

すごく丁寧に答えていただきありがとうございました。不安だったのですが、先生の意見を聞いて安心しました。本当にありがとうございます。