年齢 | 性別 | 相談日 |
---|---|---|
代 |
女性 |
2016年4月24日 |
質問1
右顎下第一大臼歯についてお尋ねします。歯周ポケット7以上、虫歯とのことです。この大臼歯を二等分にして、最初の根を残して半分は抜くとのことです。
出来上がりはどうなるでしょうか。メリット、デメリットを教えてください。噛み合わせは大丈夫でしょうか。術後は安定するのでしょうか。現在第一大臼歯はグラグラしていないのですが。よろしくお願いします。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
虫歯が歯肉下方の深い位置にまで進行しているようですね。このような場合は抜歯後の根の部分が短くて薄いため、噛む力に耐えられるだけの強度を備えていません。また、歯肉下部まで詰め物や被せ物を入れると、治療後に清潔な状態を保つことが困難となります。
上記の理由により、歯肉縁下深くまで虫歯が進行した場合は抜歯が必要となります。歯周ポケットが7㎜以上と歯周病が深部まで進行している点からも、保存が難しい状態であると推察します。
問題の歯である下顎第一臼歯は根が前後に分かれているため、前か後ろのいずれかの歯に深刻な問題があったとしても、一方の根は比較的問題が少ない場合もあります。その場合は歯を真ん中から前後に分割して悪い方のみを抜き、良い方は残すことが可能です。この治療法をヘミセクションと言います。
ヘミセクション後に残った根は隣歯と連結してブリッジを被せることにより、半分歯が無くなった空洞をなくすことが可能です。抜歯では不可能ですが、半分残すことによりブリッジで元のように噛める状態を復元することができます。
ヘミセクションの利点は負担を最小限に抑え、可能な限り自分の歯を残せる点ですが、残った根が元の半分しかないため、通常の歯と比べると弱いという欠点もあります。また、歯ぎしりや食いしばりの癖があると根が割れてしまう場合があることから、ヘミセクションで残した根にはどうしても不安が残ります。
上記の問題を避け、ヘミセクションを行わずに抜歯すると歯は無くなってしまいますが、弱い部分をなくすことは可能です。
抜歯後はそのままにしておく、入れ歯を使用する、前後の歯を削ってブリッジを被せるの3つの選択肢があります。いずれの方法にも一長一短がありますが、いずれを選択しても第1大臼歯の前後に加わる負担が大きくなる点は避けられません。
前後の歯にかかる負担を抑えることができる唯一の方法は、インプラントを入れて噛めるようにすることですが、保険が適応されないため治療費は高くなります。以上の点を考慮のうえ、ご検討されることをお勧めします。
質問2
有難うございました。長いメールでしたが 何回か読みヘミセクションとは検索画面で色つき画像を見て成程と思いました。大臼歯を二つに分けて半分ペンチのような道具で抜かれるのは怖いです。もしレントゲンで根が映らなくてきずがあった場合は又、半分も抜くのでしょうか。
歯医者さんから第一大臼歯を二つに分け、手前の根だけを残し半分は抜くと言われました。ポケット7以上、虫歯と聞きました。歯は低くして根幹治療してある歯です。延命処置で半分だけ抜くのであれば、一本抜いた方が痛い思いは一回ですむと思いました。
右上顎の繊維腫の手術を二年前にしていますが、予後の痛みの時も樋口先生から長いメールをいただき有難うございました。高齢ですのでしばらく三か月休憩することにしました。有難うございました。