口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

ドライソケットの痛みに関して

年齢 性別 相談日

20代

女性

2023年8月22日

質問1

はじめまして。ドライソケットの痛みに関してお聞きしたいことがございます。8/1に左の親知らず上下を抜きました。下は歯茎に横向きに埋まっていたのですが、元々何度も智歯歯周炎を繰り返しており、膿が溜まるまで悪化したすぐあとに抜きました。

切開して削ったこともあってか痛みがひどく、抜歯後3日くらいで顎から耳〜こめかみまで痛みが広がり耐えられなかったため、受診したところドライソケットとの診断を受け、その後軟膏を詰めてもらったり抗生物質を飲んだりして経過観察中です。

しかし今日で丸20日経ちましたが、顎から耳にかけての痛みがほとんど軽減しない状態で困っております。むしろ舌の方や後頭部まで神経痛のようなものがあり、ドライソケットだけでこうも広範囲が痛くなるのかと不安です。横になると耳付近の痛みが増すのも困っております…。

これは通常の経過でしょうか?それとも細菌感染などの可能性があるのでしょうか。長文になってしまい大変申し訳ございませんが、治療法などもしご教授いただけましたら幸いです。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

抜歯部分の骨の空洞(抜歯窩)は血液で満たされ、しばらくすると血のり(血餅)に変化して骨がむき出しにならないように傷口が保護されます。何らかの理由から血餅ができなかったり、剥がれ落ちたりすると骨がむき出しの状態、すなわちドライソケットとなります。この状態が続くと、飲食物がとてもしみて強い痛みが生じて持続します。

通常、ドライソケットに対しては軟膏などを詰めて傷口を保護する処置を行います。これでほとんどの場合は痛みが和らぎますが、20日間くらい強い痛みが続くケースも中にはあります。痛みが持続すると周囲に拡がったり(末梢感作)、脳が痛みを記憶したりして(中枢感作)、治りにくくなってしまいます。このような悪循環から脱するためにはアセトアミノフェンや非ステロイド系消炎鎮痛薬、麻薬系鎮痛薬(トラマドールなど)を定期的に内服する必要があります。

細菌感染の有無については診察しないとわかりかねますが、従来から智歯周囲炎を繰り返していた点を考慮すると、抜歯前から骨髄炎が生じていた可能性も考えられます。骨髄炎は難治性であるため、抗生物質の点滴の他、慢性化すると手術が必要となる場合もあります。