口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

口腔内の違和感や噛み合わせが合わない事から鬱病になりました

年齢 性別 相談日

  40代

  女性

2025年12月5日

質問1

はじめまして。歯科心身症についてお伺いします。5年前に左上奥歯のブリッジ治療にあたり、口腔内の違和感や噛み合わせが合わない事から鬱病になり、仮歯のまま治療を中断しました。その後、投薬により鬱は改善されましたが、不安神経症と強迫性障害になり、投薬を続けていました。

最近になり、ブリッジが外れてしまい、とりあえずは近くの歯医者さんで付けてもらったのですが、それがなぜかまた合わずに、違和感と異物感でまた鬱症状が出てきました。
新しいジルコニアブリッジを装着しようかと思いましたが、とにかく身体に異物をつけているという観念がとても辛く、しんどいです。できればブリッジはつけたく無いです。インプラントも無理です。でも、両端の歯は削っているのでブリッジを外す事ができません。神経は残っています。もう、いっその事、抜歯をして入れ歯にしたら楽なのかなとか考えますが、先生には反対されます。

とにかく、このままでは精神がもちません…。何か良いアドバイスなどありましたら教えて頂けると幸いです。また、私の状況は、歯科心身症でよいのでしょうか?歯科と精神科と一緒にサポートして頂ける病院などありますか?長文で失礼しました。よろしくお願いします。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

口腔内の違和感や噛み合わせの不適合により悩まされる病気を「咬合異常感症」と言います。噛み合わせの調整により症状が改善されることもありますが、逆にますます悪化してしまう場合もあります。

口の内外の感覚をつかさどる三叉神経に異常が生じ、脳に誤った信号が送られ続けることから咬合異常感症が生じると考えられています。このような神経の誤作動に対しては、抗うつ薬などによる薬物療法や認知行動療法をはじめとする心理療法が効果を発揮する可能性があります。噛み合わせの違和感に由来する生活上の支障の改善に対して有効で、違和感そのものが解消する場合もあります。

ご質問の歯科心身症とは、発症や経過に心理社会的ストレスの影響が想起される機能的(器質的)な障害を伴った歯科疾患群を指します。噛み合わせの異常感が発症した時期に心理社会的ストレスが大きかった場合は、歯科心身症と言えるでしょう。うつ病により噛み合わせの異常感が生じた場合も広義の歯科心身症であると言えます。

噛み合わせは歯科の領域になりますが、抗うつ薬は精神科や心療内科でないと処方してもらえない可能性があります。当院では抗うつ薬や抗けいれん薬、抗精神病薬、漢方薬、抗不安薬などによる薬物療法、認知行動療法、噛み合わせの治療などを組み合わせた方法を行っています。同様の治療法を取り入れた歯科がお近くにない場合は、複数の診療科を受診していただく必要があります。