口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

非定型歯痛かどうか区別する方法

年齢 性別 相談日
30代

男性

2017年1月19日

質問1

非定型歯痛で大学病院のぺインクリニックに通院しています。状態は、下前歯の歯茎の痛み、奥歯は根幹治療ごの違和感や痛み等がある歯が4本あります。

質問 1 トリプタノール60ミリグラムを飲んだ時点て約4ヶ月は、前歯歯茎は8割、奥歯は6割位改善して喜んでいたのですが、先週から奥歯の一本が急に痛み出し、次々に他の奥歯も痛くなり、今は前歯歯茎も違和感が出て来ました。こういった事はよくあるのでしょうか?

質問2 痛み出した歯の数本は虫歯の可能性が高いのですが虫歯の悪化の痛みかもしれないと思うと不安です。非定型歯痛と虫歯の見分け方や治療する時の注意点等教えてください。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

非定型歯痛に対して三環系抗うつ薬のトリプタノールが効いているようですが、この種の痛みは変動しやすいため、一時的に痛むことも珍しくありません。

そもそも現在の痛みが非定型歯痛によるものとは限りません。根管治療後に痛みや違和感が続いていた4本の臼歯のいずれかの歯に虫歯や歯周病などの問題があり、悪化してきたケースや、歯痕破折や咬合性外傷など歯の問題が生じているケース、あるいは今まで無症状であった他の臼歯に何らかの問題が起こっている可能性もあります。

虫歯などの歯の問題が原因なのか、従来からの非定型歯痛が一時的に悪化したのかによっても治療法は異なります。虫歯を放置すると症状はますます悪化する恐れがある一方、非定型歯痛では歯を治そうすると逆に痛みが強くなる恐れもあります。従って、まずは痛みの原因を究明することが重要ですが、なかなか困難なのが実情です。

痛む歯の周辺に局所麻酔を打ち、痛みが治まれば非定型歯痛ではない可能性が高くなりますが、この結果だけでは断定できません。やはりさまざまな検査や所見、症状を総合して鑑別診断を下すことになります。

質問2

返信ありがとうございます。やはりむずかしいのですね。

また三環系より副作用が少ないといわれるサインバルタやトレドミンでも効果がありますか?また漢方薬はどうでしょうか。お返事よろしくお願いします。

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

抗うつ薬は少量から始めて徐々に増量し、十分な効果が得られた時点でその量をキープします。抗うつ薬の内服により痛みが治ったとしても、服用を中止すれば痛みが再発するため、継続することが肝心です。

痛みの消失から一定期間内服を続けると、内服を中止しても痛みは再発しにくくなります。一定期間とは6ヶ月から1年間とされています。6ヶ月後に中止してみて痛みが再発しなければ治療終了となり、再発する場合はさらに6ヶ月間内服を続けます。

抗うつ薬の内服を急に中断すると吐き気やめまいなどの離脱症状が生じやすいため、計画的に減量することにより離脱症状が生じないようにします。

三環系抗うつ薬は慢性疼痛に対して効果的ですが、眠気や便秘などの副作用が出やすいという一面もあります。一方、サインバルタなどのSNRIは効き目が劣るものの副作用も少ないため、痛みがそれほど強くない場合はSNRIを使用します。

また、漢方薬は痛みを抑える働きとともに、抗うつ薬の副作用を和らげる効果もあります。なお、当クリニックでは漢方薬や抗うつ薬を処方しています。