年齢 | 性別 | 相談日 |
---|---|---|
60代 |
男性 |
2023年3月23日 |
質問1
樋口先生、1年ほど前からドライマウスになりまして、耳鼻咽喉科で麦門冬を処方されましたが改善はせず、内科の血液検査ではシェーグレンでは無いと診断頂き、歯科にも行き唾液腺マッサージを推奨されましたが、マッサージをしている時だけしか唾液が出ません。
半年程前から溝状舌にもなり、熱い食べ物は痛く、舌の側面に乳頭が尖って出来、3ヶ月前に口腔外科でレーザーで取ってもらいました。
内服しておりますリフレックスの副作用かとも思い、期間をかけて2錠から0.5錠迄減薬しましたが改善しませんでした。又亜鉛不足かとも思い、1年近くサプリメントを飲んでおりますが改善しません。
こんな場合、次はどうしたら良いのか分からず困っております。どうぞよろしくお願い致します。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
耳鼻咽喉科、内科、歯科、口腔外科と医療機関を受診しても改善しないということは、大変難しい状態であると推察します。抗精神薬のリフレックスを内服されている点も考慮して、再度検査や診断に立ち返って問題を検討する必要がありそうです。
ドライマウスは2つの類型に大別できます。1つは実際に口の中が乾燥している場合で、もう1つは口が乾いているという感覚があっても実際には乾燥していない場合です。実際に乾燥しているかどうかは、口腔水分計による計測や唾液の分泌量から判断することが可能ですが、検査は受けられたでしょうか。いずれのドライマウスかでその後の治療内容が変わってきます。
実際に口が乾いている場合は、その原因をさらに調べる必要があります。口腔乾燥の原因には薬の副作用、唾液腺疾患、筋力低下、口呼吸、水分摂取量不足、消耗性疾患、ストレス、噛みしめ癖など、さまざまなものがあり、原因に応じて対処法も異なります。
溝状舌になって熱い食べ物が痛く感じるとのことですが、こちらについても舌粘膜と舌神経について調べる必要があります。粘膜の異常か、神経の異常かによってその後の治療方法が異なります。
シェーグレン症候群に関しては、血液検査で異常がなくても、唾液分泌量の著しい低下や口唇生検の異常により、シェーグレン症候群であると判断される場合もあります。亜鉛については、血液検査で血清亜鉛値が低下しているかどうかを調べる必要があります。鉄分の不足やカンジダ症という真菌感染症でも舌に痛みが生じます。
上記の点について詳しい検査を受ける必要があります。ドライマウス研究会のホームページに掲載されている医療機関で相談されることをお勧めします。
質問2
ご丁寧な返信を頂きまして、ありがとうございます。ドライマウスの口腔水分計での計測や、唾液分泌量を調べた事はありませんが耳鼻咽喉科では唾液が少ない事や、舌圧子が舌にひっつく事でドライマウスと診断されました。
日中は常時、飴かガムか水を口に入れておかないと乾燥してしまいますので、良くない事だとは思いますが、いつも何かを口にしてます。何か口にした時に少し出る唾液は、泡状となってしまいます。寝る時は口にテープをして、さらにマスクをして少しでも乾燥するのを防ぐ様にしています。それでも乾燥しますので、夜中に何度か起きて水を口にしています。
溝状舌ですが、昨年の夏から舌の先端が食べ物でしみる様になり、見ると舌の先に縦に割れるような溝が4~5本出来ておりまして月日の経過とともに、徐々に舌の中心から奥の方迄溝が出来るようになり今では舌全体に15箇所程に溝(割れの様な)が出来てしまいました。ドライマウスか改善しないと、溝状舌も治らないのでしょうか。
亜鉛は、3月25日(土)に内科病院に行ってきまして血液検査をした結果、標準値80~130に対して61で、亜鉛不足の様でしたのでプロマックを処方して貰いました。次回4月15日に再度血液検査をして、亜鉛が増えているか確認する事になりましたので、その時の血液検査で鉄不足も調べる様にしたいと思います。実は10年ほど前に亜鉛不足の時がありまして、その時もプロマックを処方されましたが、数値が改善するのに2年以上かかりましたが、亜鉛不足の改善には数年かかると考えた方が良いのでしょうか。
ドライマウス研究会のご案内ありがとうございます。ホームページに記載の医療機関への診察も考えてみようと思います。どうぞよろしくお願い致します。
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
溝状舌については、ドライマウスとともに改善する場合もありますが、どちらか一方しか改善しない可能性もあります。中医学(漢方)では、溝状舌のように舌に裂紋がある原因を「陰虚」「血虚」という概念でとらえます。陰虚や血虚に効く漢方薬を試されることをお勧めします。
ドライマウスに対しては漢方薬や唾液腺マッサージなど、多種多様な治療法があります。お口の周りの筋力が低下している場合は、口腔筋機能療法とよばれる筋力をアップさせるトレーニングが必要となるため、唾液分泌量の測定や口唇生検も受けられた方がよいでしょう。