口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

側頭部から耳、あご、喉にかけて痛みが慢性的にあります

年齢 性別 相談日

30代

女性

2023年4月27日

質問1

こんにちは。3年ほど前から、急に喉の違和感や痛みが出て、現在では側頭部から耳、あご、喉にかけてジンジン、チクチクといった痛みが慢性的にあります。ひどい時は食事を飲み込むのが辛いです。

病院には数え切れないほど行きましたが、原因不明です。痛みは波があり、悪くなるとひどい症状が数日続きます。顎関節症の症状が少しあり、かかりつけの歯科でマウスピースを処方してもらって毎日つけています。ですが、改善には至らず、今も慢性的に首から上の片側のみ痛みがあります。

何科に行ったらいいかもわからず、途方に暮れています。舌咽神経痛や、慢性上咽頭炎など色々な診断を受けましたが、薬を飲んだり治療もしましたが、改善しませんでした。口腔顔面痛というものを知り、少し似ているような気もするのですが、可能性はあるのでしょうか。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

喉から側頭部にかけての広い範囲で続く慢性的な痛みは、口腔顔面痛と表現することができます。口腔顔面痛とは口腔や顔面にかけての慢性的な痛みの総称で、のど、耳、顎、側頭部に及ぶ痛みは、口腔顔面の痛みといえるでしょう。

さて、喉から始まった痛みの原因については、上咽頭炎を含めて咽頭や喉頭の炎症、外傷、感染、腫瘍、アレルギーが考えられます。舌咽神経痛、三叉神経痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛、顎関節症、茎状突起過長症、側咽頭間隙の悪性腫瘍、側頭動脈炎(巨細胞動脈炎)、聴神経腫瘍、脳腫瘍、片頭痛、群発頭痛といった原因による痛みもあります。今まで受診した病院で異常がないことを確認していても、見落とされている可能性はあるでしょう。

いくら調べても原因が見つからない場合は本態性疼痛ということになり、原因の究明は諦めて痛みを軽減させることが治療目標となります。このような痛みに対しては抗うつ薬、抗けいれん薬、麻薬性鎮痛薬、抗精神病薬、アセトアミノフェン、抗不安薬などの薬物療法で改善する場合があります。また、認知行動療法などの心理療法も慢性的な痛みの緩和に効果的です。

中医学(漢方)においては、経絡疎滞、肝鬱気滞などが痛みの原因として挙げられます。漢方薬や針治療が効果を発揮する可能性もあるでしょう。

質問2

返信ありがとうございます。こんなに詳しく返答頂き、ありがとうございます。首から上の慢性的な痛みがある場合に、総称として口腔顔面痛と呼ぶのですね。

病院では舌咽神経痛、三叉神経痛、茎状突起過長症、聴神経腫瘍、脳腫瘍、慢性上咽頭炎、耳下腺腫瘍の検査はしました。どれも、特にこれといった病変は見当たりませんでした。舌咽神経痛は可能性としてあり得るということで、テグレトールやリリカを服用しました。

薬疹がでたりと、副作用で飲まずにそれっきり病院にはかかっていません。一度エコーで5ミリ程度の何かあるということだったので、耳下腺腫瘍の疑いでMRIも、もう一度撮りましたが正常の耳下腺という結果に終わりました。

どのみち、原因不明であれば薬での対症療法になるとのことですね。漢方内科にはかかっており、漢方は服用しております。鍼灸や、整体も試しました。テグレトールやリリカは副作用が出てしまい、これから妊娠も希望しており、飲める薬もあるのでしょうか。口腔顔面痛であれば、専門外来にいくべきなのでしょうか?今のかかりつけの歯科は一応口腔外科も兼ねているのですが、こんなに複雑な症状は理解してもらえない気がします。

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

原因不明の場合は薬物療法や心理療法、理学療法などで痛みや支障を緩和する治療を行うことになります。痛みが病気の主症状であることから、対症療法というよりは根治的な治療といえるでしょう。一定期間で痛みが軽減したり消失したりする場合は、治療を終了しても痛みの再発や再燃が起こらないケースが多くみられるからです。

治療薬については、副作用が出にくい薬(内服薬、外用薬、注射薬)が見つかるでしょう。現状、慢性疼痛に対する治療は限られた医療機関でしか受けられないため、調べたうえで受診されることをお勧めします。