口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

上前歯の裏側から唾液とも違う水のようなものが吹き出して来ます

年齢 性別 相談日

70代

女性

2024年3月17日

質問1

口腔内異常で20年苦しんでいます。始めは拍動性耳鳴りで就寝すると酷い頭鳴りが左側から起こり色々耳鼻科、脳外科など受診しましたが分からなかったので精神科にかかり、いろいろ薬を試されているうち、上前歯の裏側から唾液とも違う水のようなものが吹き出して来る感覚が年々ひどくなりました。向精神薬を服用したせいでしょうか?長年の苦しみでどうしたら善いか分かりません。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

唾液とは違う液体で歯の近くから出てくるものは血液、浸出液、膿が挙げられますが、これらはいずれも細菌感染や傷などが原因で生じる炎症により排泄されます。従って、まずは細菌感染(歯周病など)や傷(歯磨きや入れ歯による擦過傷など)の有無について歯科で検査を受ける必要があります。

特に異常はなく、唾液とは違う液体が出ていることが確認できない場合は、感覚の異常が疑われます。実際には液体が出てきていないのに、あたかも出てきているように感じるという感覚の異常です。このような症状は「体感異常症」「口腔異常感症」「口腔セネストパチー」と表現されます。

口腔セネストパチーは原因不明の病気で、向精神薬の副作用が原因であるかどうかも判明していません。向精神薬を服用してしなくても口腔セネストパチーが生じる患者さんは存在し、むしろそちらの方が多いでしょう。

残念ながら、口腔セネストパチーに対する確立された治療法は存在しません。抗精神病薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不安薬といった向精神薬を試していく他、漢方薬や針治療もあります。食事中や会話中は気にならない傾向があるため、ガムを噛む、マウスピースのような口腔内装置を使用するという対処法もあります。運動や睡眠の改善により症状が和らぐ場合もあります。上記を踏まえ、症状との付き合い方を模索する認知行動療法をお勧めします。