口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪

ポリ-d、l-乳酸(PDLLA)注入により生じた頬のしこり

年齢 性別 相談日

 20代

  女性

2025年5月3日

質問1

こちらに相談して良い内容でなかったら申し訳ありません。また、専門外のご質問となることを承知の上ですが、ご回答頂けましたら幸いです。

去年、美容目的で左右ほうれい線付近と左右頬にジュベルックボリューム(レニスナ)というPDLLAという医療用に使用される吸収性糸と同じ成分といわれている製材を注入してしまいました。2ヶ月後には、しこりっぽくなってしまい、注入元の皮膚科にて診察してもらいましたが、触診されてこの程度なら通常だと言われてしまい終わってしまいました。しかし、一年以上たっても、硬い繊維?のようなしこりがあります。皮膚の見た目からは分かりませんが、口の中から歯肉付近の皮膚を触るとはっきりと分かります。この様な場合、形成外科では目に見えるような異常ではないため相手にしてもらえなかったのですが、口腔外科を受診したらどのような診察やアプローチの仕方が予想されますでしょうか…。

不躾な質問となり大変恐縮ですが、ご回答頂けましたら幸いです。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

下顎の移動に伴い、舌の位置も変化したようですね。現在息苦しさでお困りであれば、やはり耳鼻咽喉科での診察が必要でしょう。鼻炎や鼻中隔湾曲症、上咽頭炎など、舌の位置以外の息苦しさの原因が見つかる可能性があります。その場合は耳鼻咽喉科で治療を受けることになるはずです。

今後、加齢により息苦しさが悪化することを心配されていますが、年齢とともに舌の筋力が低下し、舌の位置が下方移動することが予想されるため、悪化する可能性は低いと推察します。

質問2

ポリ-d、l-乳酸(PDLLA)にはコラーゲンを合成する刺激や、組織を再生させる促進作用があり、皮膚の弾力性とハリを高めしわを減らす効果があります。コラーゲンを増やす前提として炎症反応が生じますが、この反応が強い場合は肉芽腫や非炎症性結節が生じる可能性もあります。

通常、上記の場合は摘出することを検討しますが、ほうれい線や頬のたるみに効果が生じている場合は効果の持続としこりの除去を天秤にかけ、どちらを選択するかを検討することになります。

Lee, Kar Wai Alvin, et al. "Poly-d, l-lactic Acid (PDLLA) Application in Dermatology: A Literature Review." Polymers 16.18 (2024): 2583.

pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11434839/pdf/polymers-16-02583.pdf