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口腔外科無料相談室



三か月前ぐらいから唾液がネバつきます

年齢 性別 相談日
50代 男性 2017年10月17日

【相談者】2017年10月17日 

質問

三か月前ぐらいから唾液がネバつきます。段々とひどくなって来て、今では固まりになるほどです。口内に刺激を与えるといけないようで、歯磨き・食事・飲酒をすると特に顕著です。アルコール度数の高い酒は口に含んだ瞬間に口の中の唾が固まります。寝起きなどは特にひどいです。何が原因でどうすれば治るのか教えて下さいますようお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

唾液のネバつきは口の乾燥、即ちドライマウスの症状として現れます。起床時は特に口が乾きやすいため、唾液がネバついていても問題ありません。

ドライマウスの有無については口腔粘膜の湿潤度を調べたり、唾液検査をすることによって判明します。

唾液にはサラサラした漿液性のものとネバネバした粘液性のものがあり、粘液性の唾液はストレスや緊張などで交感神経が優位になると出やすくなります。また、お酒に含まれるアルコールはタンパク質を凝固させる働きがあります。唾液にもタンパク質が含まれているため、アルコール度数が高くなれば凝固して乾燥しやすい状態になります。これらが原因になっているかもしれませんね。

いずれにしても、一度ドライマウスの検査を受けられることをお勧めします。

抜髄後に発症した神経障害性疼痛

年齢 性別 相談日
30代

女性

2017年10月10日

質問1

約1年程前に左上の奥歯から2つ目の歯に痛みがあり、虫歯の為神経を抜きました。その際一度目に神経を殺す薬を入れ痛みはなくなったものの、二度目リーマーで掃除をする際深くリーマーが入ったように感じ激痛がありました。その日から約1年程痛みが続いています。

何件もの歯医者で、不備はないか見てもらいましたが、打診痛はあまり感じられず、しみることもありません。ですが、頬骨の下あたりが、締め付けられるような痛みがあります。そして、痛みの原因がわからず我慢していると、他の歯も痛み出したので、大学病院に行き、神経障害性疼痛との診断を受けました。

トリプタノールを1日25g服用し、約一年が経ちました。一番痛かった頃に比べると10→3か4程には落ち着いていますが、すっきりはしません。そして、左の上の歯はまだじんじん痛み、時には首や肩、頭痛も起こします。

リーマーで神経が傷付くことはあるのでしょうか?また、傷ついた神経は時間とともに修復することがあるのでしょうか?同じような患者さんで、完治した方はいらっしゃるのでしょうか?大学病院の先生に尋ねてもはっきりとした答えやアドバイスはあまりなく、毎回薬を出されるだけで、今回尋ねさせていただきました。

痛みがない日もありますが、痛みがない日が何ヶ月も続くことはありません。今はトリプタノールの服用と、たまに鍼やお灸、スーパーライザーを首に当ててもらう治療をしています。この病気になる前までバリバリ仕事をしていた自分からは想像も出来ないような今の現状にとても辛いです。先が見えず少しでもアドバイスを頂けると有り難いです。

回答1

虫歯が進行して歯の中心にある神経(歯髄)が虫歯菌に侵されると、神経を抜く(抜髄)必要が生じます。

歯の内部にある歯髄は歯の根の先(根尖部)から顎の神経(三叉神経)につながり、最終的には脳に連絡しています。神経を抜くということは根尖部で神経を切断することを意味し、その後歯の内部にある歯髄組織をファイルなどの器具で除去します。

切断された神経の傷は、たいてい徐々に治っていきます。歯髄や抜歯の際には必ず三叉神経を傷付けてしまいますが、顎の中を走る三叉神経は他の神経と比べて治りやすいといわれています。

ところが正常に治らない場合もあります。これが持続的に痛みを脳に伝える神経障害性疼痛で、この病気に対しては三環系抗うつ薬であるトリプタノールが有効です。

トリプタノールにより痛みが抑えられれば、内服を中止しても痛みは再発しなくなります。このような経過で実際に痛みが完治するケースは少なくありません。

従って、トリプタノールで痛みを消失させる方法が最も望ましいといえますが、痛みを感じない状態を半年~1年間持続できれば、その時点でトリプタノールを終了しても痛まない可能性が高くなります。

現在トリプタノールを1日25mg.内服中で、部分的に効果がみられるようですね。増量によりさらに痛みの軽減が期待できるため、担当の先生と相談されてはいかがでしょうか。

質問2

ご丁寧に早速メールを送って頂いてありがとうございます。そうですね。まだ、痛む時が続いたり、痛まない日があったりと不安定な状態です。時には首の後ろに痛みがあったりで、仕事も復帰できていません。治療を始めてから1年が経ちますので、治る日がくるのか不安でした。初めは10mgの服用で痛みが少なくなりましたが、日が経つにつれて、また痛み出し15mg,20mg 25mgと増やしています。

どん底に落ちた気分でしたが、先生に説明をいただき少し光が見えてきました。トリプタノールの増量の件主治医の先生に相談してみます。トリプタノールを飲んでたまに動悸があったり、脈が早くなったりして増量に不安を感じていました。また一日中眠気があります。先生の所の患者様はどれくらいの量を服用されていらっしゃいますか?また、平行して取り組んでいる治療法などはありますでしょうか?質問ばかりで申し訳ありません。お時間のある時に返信頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願いします。

回答2

トリプタノールを服用すると心臓に副作用が現れる場合があります。動悸などと薬との関連性を含めて、担当の先生に相談されることをお勧めします。必要であれば心電図や心エコーなどの検査をしてもらえるでしょう。

副作用のためにトリプタノールの増量が難しい場合は、同じ三環系抗うつ薬のノリトレンに変えたり、サインバルタという別の種類の抗うつ薬に変えて増量するのも一案です。

抗うつ薬は効く量まで増量するのが原則です。トリプタノールであれば300㎎まで増量可能と記載されている文献もあります。

また、薬物療法と平行して認知行動療法などを行うと慢性疼痛に対して効果的です。

質問3

お返事ありがとうございます。トリプタノール以外の薬の併用も教えて頂き、ありがとうございます。動悸の事も含めて主治医と相談します。認知療法もインターネットでは知識がありますが、なかなか先生からアドバイスを頂けない為とても気になっていました。こうして、丁寧にご連絡頂き、相談にのって頂いて、本当に有り難いです。

歯根嚢胞摘出術後のジクジクする痛み

年齢 性別 相談日
40代 女性 2017年9月21日

【相談者】2017年9月21日 M

質問1

どうしても不安で ご相談させていただきます今年6月下旬頃 右上6番(昔神経を抜き銀歯)が浮く感じがしたので 掛かり付けの口腔外科へ。とても忙しい先生でレントゲンのみを撮り小さな嚢庖があるので 今後根官治療で行きますと 次回の治療まで三週間ほど待つことに。しかしその間に 大きい風邪を引き 必要以上にその歯も痛くなり 内科(個人クリニック)で抗生物質と鎮痛剤の点滴に毎日通い 予約までしのぎました。

風邪も落ち着き やっと予約の日を迎え 銀を外し短時間の根官治療 そしてまた二週間後の予約。気長にやるしかないと思いきや 治療から数日もしないうちに 七福神のように腫れと激痛 予約まで待てず直ぐに先生の元へ向かい総合病院の為 点滴を4~5日。腫れが引いたかと思えばまた二週間の間に腫れ上がり点滴。

その間 当時は無かった歯茎の上の粘膜と頬の間にしこりが出来ましたが痛みはさほど無く 先生には伝えましたが特別なことは言われませんでした。処方箋でロキソニンや抗生物質も出して貰っていましたが このあたりでCTを撮ることに。嚢庖自体は小さいけれどあまり保たない歯かもしれないので 抜歯してそのまま嚢庖を取り除くことになりました。

そして 一昨日9/19抜歯嚢庖摘出。嚢庖が小さかったので歯茎切開も無く縫うこともしませんでしたし 抜歯後痛みも腫れも楽に二日目を迎えたのですが、抜歯や嚢庖摘出の刺激からか しこりが気になって(少しジクジクする)一週間後の予約では不安になり 結局昨日先生の元へ。大丈夫だよ 二週間程度で吸収すると思いますと、安心して帰って来たつもりでしたが 三日目の今日もロキソニンが切れるとジクジクするし やっぱり不安です。

感覚としては「い~」とすると 右頬にパチンコ玉大がこつっと。直接優しく触れると 鈍い痛みが走ります 頬は少し突っ張ります。鎮痛剤が効いてくれるだけマシですが そもそもこのしこりは何故出来てしまったのか 本当に吸収してくれるのか。大事をとって 仕事は一週間休みにし 禁止事項は守り 勿論激しい動作はしていません。

何か 考えられることがありましたら 宜しくお願いいたします。長文失礼いたしました。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

右上6番の根尖部に歯根嚢胞が生じ、そこに感染が加わって痛みや腫れが出てきたようですね。嚢胞付近の頬粘膜や歯槽粘膜にも炎症が拡がったのでしょう。炎症が続くとその部分に線維素が増殖して硬くなりますが、これがしこりの正体ではないかと推察します。その場合は時間の経過とともに線維素が徐々に吸収され、しこりはなくなっていきます。

ただし、しこりのある部分に骨片や歯の破折片などの異物が残存する場合は、しこりが消えずに残る可能性があります。また、元々しこりの部分に腫瘍など別の病気が存在していた場合は治らないこともあります。

【相談者】2017年9月12日

質問2

この度は 親切ご丁寧かつ分かりやすい返信をいただきまして ありがとうございます。凄く感動いたしました。あまり ネットの使い方が判らず 直接メールしてしまった次第で 返信いただけると思ってなかったものですから、樋口先生の仰る通りだと思います

文字で表現するのに困っていましたが まさに繊維のようなものをパチンコ玉大にしたようなものが 約一ヶ月ほど居据わっています。抜歯から6日間ほど経ちますが 昨日今日辺りがピークだったのか 右頬粘膜全体から中央にかけて 黙っていてもヒリヒリからビリビリな痛みになり 常温の飲料も辛い感じで、時折 患部も脈打つような痛みが走ったり。

現在は 勿論違和感はかなり有りますが 当時のこつっと言うよりも じんわりと引いて行ってような気がします。二日前頃まではこめかみがズキンズキンしたりしましが今は有りません。これは 回復方向と考えてよろしいのでしょうか?

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

術後の痛みは徐々に軽減してきているようですね。術後の炎症に伴う痛みは日が経てば消失していくと予想されるため、嚢胞以外の問題がない場合はそのまま治癒を待たれるとよいでしょう。

【相談者】2017年9月29日

質問3

ご返事ありがとうございます。数日前 抜歯後初めての消毒で歯科へ行きました。主治医からも 2~3週間経過をみるよう言われました。傷口自体は順調で しこりの件も問題ないとのことで、まだ 時折ヒリヒリ感は有りますが 時間薬だと思うことにして、色々ご丁寧にありがとうございます。もしかしたら またご相談するか分かりませんが、宜しくお願いいたします。"

口の中に膿のような液体が出てくる

年齢 性別 相談日
女性 2017年9月11日

【相談者】2017年9月11日

質問1

初めまして宜しくお願いします。去年右上奥2,3番目の歯を根管治療し奥2番目は歯の根を切る手術もしましたが良くならず(根の奥まで詰め物が入っていなかった)今年2月から精密根幹治療(マイクロスコープ・ラバーバム・MTAセメント)をしましたが、治療した歯茎辺りから膿のような液体(液体を出すと白っぽい色なので唾液ではないと思います。)が出てきています。

MRIを撮ったところ「右上上顎洞炎で第二大臼歯の後方~硬口蓋の辺縁にかけて両側ですが右側優位に液体貯留があり歯根部の病変のようにも見えますが何らかの炎症が疑われます。右下顎骨体部にSTIRで高信号域が見られ骨髄炎等も否定はできません。」という結果でした。

あまりに口の中に膿のような液体が出てくるので気持ちが悪くなり総合病院の口腔外科に行きレントゲンを撮ったところ「根管治療はうまくできているし異常はない。」でした。

もしかしたら味覚障害でその症状があるのかもということでハリゾンシロップを服用しています。先日は3か月位前から微熱が続いていた怠いので内科を受診した先で紹介してもらった歯医者に行ったところ金属アレルギーだといわれました。いったいどうすれば良いのでしょうか?

  • 根管治療はうまくできているのか?それを調べることは出来るのか?
  • 根管治療の失敗だったとしたら一度歯の根を切る手術をしているがまた出来るのか?
  • 根管治療が成功だとしたら時間が経てば口の中に出てくる膿のような液体は出なくなるのか?
  • MTAセメントでアレルギーになるのか?
  • どんな病院に行けばいいのか?

数多くの質問で申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

治療した歯の歯肉から何らかの液体が出ているようですが、この液体は歯肉溝かフィステルから出てきていると推察します。

口の中に出てくる液体には唾液、歯肉溝浸出液、血液、リンパ液、炎症性浸出液、膿、皮脂があります。最初の2つは生理的なもので、残りは病的な状態から出てきます。

この中で歯肉を押して出てくる可能性が高いのは炎症性浸出液か血液、膿といったものです。これらの液体が出る理由として考えられるのは、何らかの細菌感染による炎症が持続している状態です。細菌感染の場所は根管内の可能性が高く、根尖部や歯根周囲の歯槽骨内に感染がある可能性もあります。

エックス線写真では根管治療に問題がないように見えるということは、根尖病変や明らかな破折はなく、やはり根管内に感染が残っている可能性が高いでしょう。

エックス線写真でうまく根管治療ができているように見えても、実は根管内に問題が残っているケースもあります。それだけ根管の走行は複雑で、最新の治療を行っても完全に感染源を取り除くことは難しいのです。

根管治療がうまくいっているかどうかを調べる方法はエックス線写真のみですが、CTを撮っていない場合はCTで隠れていた問題が見つかるかもしれません。あとは症状が治まるかどうか、経過をみていく以外に検査の方法はありません。

既に述べた通り根管の形態は複雑で、これが根管治療の難しい点です。特に根尖付近の治療が一番難しく、この部分に問題が残りやすいのです。症状が消失しない理由として根管壁の穿孔、マイクロクラック、歯根の外部吸収、セメント管剥離が生じている可能性も考えられるため、粘膜を切開して根面を露出させ、これらの問題に対応することで症状が消去する可能性はあります。

根管治療が成功しなかった場合、次の治療法として歯根端切除術があります。これは根尖の3mmを削り取り、切断面に露出した根管を形成して逆根管充填するという方法で、根管治療の一番難しい部分を取り除くことができ、さらに切断した根尖を封鎖することで根管内の問題が骨尖周囲に波及することを防止します。

ただし、歯根端切除術には歯根が短くなるという欠点があります。従って、歯根が短い歯にこの治療を行うと噛む力に耐えられなくなる恐れがあります。

根管治療が成功すれば、膿や炎症性浸出液は出てこなくなります。終了して日が経っているのであれば、現在出ている液体が今後出なくなることは期待できないでしょう。

一方、MTAセメントでアレルギーが生じるかどうかについては不明ですが、そのような例は珍しいといえるでしょう。

今後の治療については、再度の根管治療、歯痕端切除術、意図的再植術、トライセクション(抜根)を検討することになります。歯科保存学会や歯内療法学会の専門医に相談されることをお勧めします。

また、「気になる」ことが日常生活の障害となる側面もあるため、状況を改善するため薬物療法や心理療法を検討されてはいかがでしょうか。心療内科、精神科、カウンセリングルームで相談することができます。

昨年から治療を受けているのに問題が残っているという点から、そろそろ諦めて抜歯するというのが唯一の解決策かもしれません。

【相談者】2017年9月15日

質問2

詳しい説明をありがとうございます。早速専門医に相談に行ってきます。最悪、抜歯も覚悟ができました。

歯の表面を覆うペリクル

年齢 性別 相談日
50代 女性 2017年9月6日

【相談者】2017年9月6日 K

質問

先日、テレビで

■歯には薄い膜が全体を覆っていて歯を保護していて、この膜は歯磨きで取れてしまうが、十分な唾液があると再生されるだが、寝ている間は唾液が出にくいので、膜の再生が起きにくく、虫歯になりやすい。だから、就寝1時間前にはしっかりと歯磨きをしておくとよい。

■痛みというのはその時の刺激で起きるものだが、かなり緊張していると小さな痛みでも強く感じてしまう。14時くらいになると体の調子が安定してくるので、歯医者に行くには良い時間帯である。

上記の二つの内容が放送されていましたが、本当なのでしょうか

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

歯の表面はペリクルという唾液由来のタンパク質で覆われています。ペリクルは酸や虫歯菌から歯を守る働きがあるため、テレビ番組でもそのように解説されていたのでしょう。

一方でペリクルは細菌が付着しやすいという面があり、歯みがきが必要になります。細菌の塊であるプラークは唾液の働きが弱くなる就寝中に増加するため、寝るまでにきれいに歯磨きしておくことが大変重要なのです。

また、痛みには日内変動があり、夕方から夜にかけて強くなる傾向があります。そのため昼過ぎに歯科を受診することは理に適っているといえるでしょう。

舌先を切断し記憶力、思考力が低下しました

年齢 性別 相談日
20代 男性 2017年8月30日

【相談者】2017年8月30日 M

質問

舌先を切断したことによる記憶力、思考力の低下に悩んでおります。文章を読めば一行前のものを忘れ、会話にも困る日々です。さらに、重度の不眠や感覚異常もあります。何か良い治療法がございましたら、どうぞご教示下さい。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

舌先を切断したことによりさまざまな症状が生じてお困りのようですが、回答する前に整理しておく必要が何点かあります。

まずは、完全に舌先がなくなってしまったのでしょうか。それとも深く傷ついてその後傷が治り、元の舌の形に戻ったのでしょうか。

舌先が広い範囲で喪失し、舌が変形している場合は発言に悪影響が生じて会話に困る「構音障害」に陥る場合があります。舌が元の形にも戻ったとしても、その部分の神経が傷つけば感覚や動きに異常が出現します。

治療を始めるに当たり、まずは現在の舌の状態を調べてもらう必要があります。舌の変形や感覚障害、運動障害の有無と程度を明らかにしたうえで、問題に応じて構音障害の治療方法を検討することになります。

舌がんで舌を大きく切除したような場合には再建手術が必要となりますが、舌先が切断された程度であれば再建手術をしても大幅な改善は期待できません。むしろ手術の影響で逆に症状が悪化する可能性もあります。

従って、構音障害に対してはリハビリを行うことにより、元の発言に近付けるよう努めることをお勧めします。構音障害のリハビリに詳しい歯科医師や言語療法士に相談されるとよいでしょう。

また、記憶力や思考力の低下については舌先の切断との関係性は認められていません。今回のような症状は珍しいものですが、脳の外傷や腫瘍、感染症、梗塞によっても生じます。その他内分泌疾患や精神疾患の可能性もあるため、一度詳しく調べる必要があります。

舌尖が気になって記憶力や思考力に悪影響が生じている場合は、「気にしないで生活できるようにすること」が解決法となり、認知行動療法などの心理療法で身に付けることが可能です。不眠や感覚異常についても同様です。まずは何らかの問題が潜んでいないかを調べるため、薬物療法や心理療法を受けられることをお勧めします。

1年半に及ぶ根管治療後に痛みが悪化

年齢 性別 相談日
50代

女性

2017年8月7日

質問

はじめまして。よろしくお願いいたします。左側の顔の腫れぼったいジーンとした感覚と左側全体の違和感について教えてください。

左上6番の約1年半に及ぶ根管治療が2か月前に終わりました。その時点で外側・下から押すと鈍痛がありました。現在もあります。ただ長期に渡る治療の弊害かもと言われ仮歯で2か月様子を見て自発痛もないので充填し銀の被せをして完了しました。

その後は調子もよく安心していたのですが1か月ほど経つと弱い自発痛がおきました。
ツーンというかシィーと吸い上げたくなるような下で押したくなるような感覚です(分かりずらくてすみません)

ほぼ同時に左下の5,6連結冠の歯肉にも痛みがでました。この歯は歯肉も薄くなり銀の部分も透けて見え、下の骨も溶けています。ズキンズキンではなく、ジーーーーーンズーーンといった熱いような痛みです。

その症状がでてから数日して左頬、目辺り、鼻の下、口の横。左側全体になるのでしょうか。がボンワリした腫れぼったく、時にピリピリした感覚があります。見た目は腫れていません。先日CTを撮ってもらったのですが、上顎洞炎はないとのこと。

こういった場合どのような事が考えられますでしょうか。CTで膿など判断できるのでしょうか。耳鼻科や神経内科の受診も考えた方がよいのでしょうか。また、膿が溜まって広がっていた場合、痛みや腫れは伴いますか?勝手に排膿されることはありますか?一度に色々症状がでており困惑し質問が分かりずらくなり申し訳ありません。

回答

左上6番の痛みがなぜ生じているのかを突き止める必要があります。根管治療に1年半前後もかかったということから、この歯の状態がよくないことが予想されます。

歯根が強く彎曲している場合は、根管内を開いて形成することが難しいため細菌感染による汚染を除去できず、痛みが残る可能性があります。また、歯根内部の根管が複雑に分岐したり合流したりしている場合も根管治療が大変難しくなります。歯根にヒビが入っていると根管治療をしても治りません。

左上6番の痛みが根管や根管周囲組織の問題ではない可能性もあります。その一つである神経障害性疼痛は、抜髄などで神経が損傷された後に生じる痛みで、どんなに歯の治療をしても治癒しません。

また、神経障害性疼痛が長期化すると中枢感作が生じて痛みが周囲組織に拡大するため、さらに治療は困難となり、下顎の歯が痛くなる場合もあります。神経障害性疼痛に対しては三環系抗うつ薬のトリプタノールや抗けいれん薬のリリカの内服が効果的です。

歯に問題がないにもかかわらず歯が痛む原因としては、他に食いしばりや歯ぎしりによる筋・筋膜痛、疼痛性障害、三叉神経痛の前駆症状、ヘルペスウイルスによる疼痛などがあります。

 

含歯性嚢胞の摘出手術後のリンパ節の腫れ

年齢 性別 相談日
50代 女性 2017年8月5日

【相談者】2017年8月5日 M

質問

今年2月に含歯性嚢胞の摘出手術を受けました。術後、担当医からもかなりひどいと言われるほどのはれと痛みがありました。術後半年経過でCTにより骨の形成確認をし、順調に快復し問題ないといわれましたが、まだ若干治療患部口腔内の腫れと痛みがのこっており違和感があるのと、リンパに腫れがあり顎部分も腫れがあります。微熱などはありません。

担当医からは術後の後遺症で、リンパの腫れは今回の治療とは無関係と説明されていますが、他にそのような要因が起こる病気やケガはありません。このまま放置しても大丈夫なのか心配ですし、このまま我慢するしかないのでしょうか。アドバイスをお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

含歯性嚢胞は顎骨の内部にできる胞性歯嚢胞の一種で、嚢胞腔内部に歯冠が含まれることが特徴です。嚢胞の摘出後、順調に治る場合は嚢胞腔に骨が添加して顎骨に生じた空洞がなくなり完治します。術後半年が経過し、そのような状況が確認されたことは何よりですね。

さてリンパ節の腫れについてですが、術直後は相当な腫れと痛みが生じたようですね。同時にリンパ節も腫大しやすい時期ですが、通常は時間の経過とともにリンパ節の腫れがひき、元の正常な状態に戻るものです。

術後半年経ってもなおリンパ節が腫れているのは術後の治療によるものではなく、他に何らかの異常があると推察します。含歯性嚢胞はリンパ節の腫れの原因ではなさそうですね。

リンパ節が腫れる原因はさまざまですが、最も多いのは細菌感染による反応性のリンパ節炎です。口の中やのど、鼻、眼、顔面などに何らかの細菌感染があるのかもしれませんし、真菌やウイルス感染の可能性もあります。

それ以外ではリンパ上皮性嚢胞や亜急性壊死性リンパ節炎などがありますが、最も注意が必要なのは悪性リンパ腫やがんのリンパ節転移です。

脳梗塞後で物をうまく噛めない

年齢 性別 相談日
男性 2017年8月1日

【相談者】2017年8月1日 A

質問

7年前に脳梗塞を患い、口の中が引き攣って物をうまく噛むことができない状態が続いています。この症状を改善する方法はないのでしょうか?何か良い方法があれば教えてください。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

脳梗塞により脳の血管が詰まると脳の一部が壊死し、その部分の脳細胞は死んでしまいます。一度死んだ細胞は再生しないため、この部分の脳の機能が失われてしまい、運度神経や感覚神経の麻痺が生じるのです。

さて、口の中がひきつって食べ物をうまく噛めないということですが、この症状も脳梗塞による神経麻痺として説明できます。食べ物を噛む口の動きを司る運動神経が麻痺すれば噛めなくなり、口の中の感覚を司る神経が麻痺すれば、食べ物が口の中でどのような状態になっているかを感じ取れなくなるため、やはりうまく噛めません。

一度壊死した脳細胞が再生することはないとお伝えしましたが、時間が経てば壊死した脳神経の周囲の脳細胞が神経を延ばし、失われた機能をある程度は補ってくれるようになります。このような脳の仕組みを利用するのがリハビリの主目的です。

物を噛むには歯や歯肉、顎骨、顎関節を使いますが、顎を動かしているのは咬筋や側頭筋といった咀嚼筋です。一方、口の中の食べ物の位置を保つのは舌や頬、口唇の働きで、これらを動かすのは舌筋や顔面表情筋です。

物を噛みにくいという症状を改善するには、まずは歯や顎関節、咀嚼筋、舌筋、顔面表情筋のそれぞれにどのような問題が生じているのかを把握する必要があります。歯や顎関節に異常があれば治療する必要があり、筋肉の問題であればその動きや感覚を改善していく必要があります。

機能が失われた筋肉に対しては、アイスマッサージや針治療、赤外線照射など刺激を与える治療法が適しています。

左術後性上顎洞嚢胞の開放手術後の歯の痛み

年齢 性別 相談日
40代 男性 2017年7月18日

【相談者】2017年7月18日 A

質問

今月3日に左術後性上顎洞嚢胞の開放手術を内視鏡で受けました。12歳のときに蓄膿症の手術(左右)を受けており、これが原因とのことです。

20歳のときに歯痛(左奥歯付近上下)が起き、歯科を受診しても原因不明とのことでした(「術後性上顎洞嚢胞」を知ったのは、独学でここ数年のことです)。歯痛はほぼ毎年起きていたのですが、一時的なものだったため、最初の頃はバファリン、その後はロキソニン等を飲んで過ごしていました(効いていたかというと?ですが、我慢していればそのうち痛みが収まるので、そうゆうものだと思っていました)。

ここ数年は耳鼻科で点滴をしてもらっていました(こちらも効いていたかというと?です )。今年も5月中旬に歯痛が起き、例年になく痛いので総合病院に行き、CT/MRIを撮り、手術となりました。

現在術後2週間で歯痛は無いのですが、モノを噛むと歯にひびく?ようなかんじ(上のみ)と、1週間毎の診察の際に、開放した嚢胞への交通路を通して嚢胞内の掃除をするのですが、歯痛が起きます(2~3時間すると収まる)。

主治医にはその都度痛いと言うのですが、それと今回の手術は関係ないと言われ、鼻のほうが落ち着いたら歯科でCTでも撮ってみようとのことでした。手術前には口腔外科も受診し、パノラマのレントゲンだけでしたが、今回の痛みは歯由来ではないと判断されているのですが。

主治医については、元々の主治医が手術前に辞めており、現在の主治 医は手術以降担当になったので、そもそも歯痛があって受診していることすらよく知らないようです。個人的には、嚢胞が一時的な炎症等を起こし、それが歯の神経を圧迫し、結果歯痛となって現れていたのではないかと考えています。

現在の嚢胞内の掃除をする際も、吸引機?の先が嚢胞内底を押すことによって、歯の神経を一時的に圧迫し、歯痛となっているのではないかと考えています。

セカンドオピニオンではないですが、何か気になるところがあれば教えて頂きたいです。お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

術後性上顎洞嚢胞は、蓄膿症(副鼻腔炎)の術後10~20年で上顎洞に生じることがある嚢胞です。この嚢胞に細菌が感染すると痛みや腫れが起こるため、まるで歯が痛んでいるように感じることがあります。

口腔外科では、歯の問題が痛みの原因ではないと判断されたようですね。痛みが嚢胞への感染によって生じた場合は、歯の治療は必要ないでしょう。

手術を受けた耳鼻咽喉科の見解では、手術はうまく完了し、痛みの原因となる問題は取り除けたようですね。それにもかかわらず歯痛が生じているため、歯科で現状を診てもらうようにと説明されたのでしょう。

耳鼻咽喉科の先生の指示通り、一度歯科の診察を受け、結果として歯に問題がない確定すれば、上顎洞の回復を待つことになります。その間の痛みが辛い場合は、痛みを軽減するため薬物療法や心理療法を受けることをお勧めします。