口腔外科総合研究所 l 口腔外科 大阪
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口腔外科無料相談室



骨隆起除去術後の歯肉退縮

年齢 性別 相談日
30代 女性 2018年3月13日

【相談者】2018年3月13日 P

質問1

上の歯茎の外側に大きな骨隆起があり、見た目の問題から手術したいと思っています。近くの口腔外科2箇所で診て頂いたのですが、よく分からない点がありお聞きしたいです。1つ目の病院では、術後に歯茎の後退の可能性があるとのことでした。

歯根に近い骨を削った場合は根が露出してしまう可能性があるとか。2つ目の病院でこれについて尋ねたところ、歯茎が後退しないような上のほうを切開をします、とのことでした。矛盾を感じているのは下記の点です。

最初の病院の先生が仰っているのは歯茎を切開するから云々ではなく、骨を削る過程で歯根が露出してしまうリスクのことのように受け取りましたが、2番目の先生が仰っているのは切開する場所、つまり開く場所のようです。専門的なことが分からないのですが、両先生の見解はそもそもの趣旨が違うような気がして、決めかねています。

歯茎の後退というと歯周病で歯茎が下がってしまうイメージがあるのですが、骨隆起の手術でそれが生じる可能性があるのはなぜなのでしょうか。きちんと理解した上で治療に望みたいと思いご相談させて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

骨隆起は下顎小臼歯部の舌側や口蓋正中部に生じやすい骨の膨らみです。食いしばりや歯ぎしりによって歯に持続的な強い力が加わると、歯を守ろうと骨が増殖して生じます。上顎歯肉の外側(頬側)に骨隆起が生じたようですが、確かに骨隆起が生じやすい部分であるといえます。

骨隆起自体はそのまま放置しておいても問題はありませんが、「見た目が悪い」「歯が磨きにくい」「入れ歯を作るのに邪魔になる」といった場合は除去することになります。手術法は骨隆起の表面の粘膜を切開し、骨をラウンドバーや骨ノミなどで削除した後で縫合します。

一方、歯肉退縮は歯周病が進行することにより骨が溶けてなくなると、次第に歯肉も退縮します。癌以外にも歯磨きの力が強すぎて傷つけてしまったり、歯ぎしりや食いしばりがあると生じます。

骨隆起除去術のために歯肉退縮が生じることはないでしょう。歯周病の際に歯肉退縮が生じるのは骨がなくなるためで、歯のすぐ近くまで骨隆起があるなら歯肉退縮は生じません。歯磨きや食いしばりによる歯肉退縮は、歯の周囲の骨が薄い部分に生じやすいものですが、分厚い骨隆起があればその心配はありません。

【相談者】2018年3月15日 P

質問2

とても分かりやすいご説明ありがとうございました。最後に一つだけ伺ってもよろしいでしょうか。

骨隆起は上顎の歯茎に沿ってかなり大きく範囲も広いです。(口を閉じていても盛り上がりが分かる程です)親不知の抜歯で少し骨を削っただけでも痛みが強かったのを考えると、その量を削れば痛みもかなり大きくなるのかなと思っています。

1つめの医院のほうでは、自費でピエゾサージェリーでの手術が選択できると言われました。通常の処置より痛みや腫れがかなり軽減されるとのことで気になっています。一般的な手法で削るのと比べてピエゾサージェリーは痛みや腫れは格段にちがうのでしょうか?

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

親知らず抜歯後の痛みは、骨を削ったことにより生じたものではありません。抜歯後の痛みは骨削除以外にもいろいろな要因が関与しており、骨削除そのものは術後の痛みにそれほど影響しないと推察します。

ピエゾサージェリー は超音波を用いて骨を繊細に削ることができる方法です。ラウンドバーを用いてドリルで骨を削る通常の方法と比べ、痛みは軽減されそうですが、腫れが軽くなるとは限りません。また「格段にちがう」か否かについては、感じ方に個人差があるでしょう。

顎骨嚢胞開窓術後の治りが心配です

年齢 性別 相談日
40代 女性 2018年2月20日

【相談者】2018年2月20日 C

質問

顎骨嚢胞開窓術で右下奥歯を二週間前に手術しまだ 右頬と顎の辺りが少し腫れがあり、開口悪く、口腔内は歯茎がはれその上にガーゼが溢れ出てきていて都度入れ込んで気持ち悪い状態でとにかく臭くて膿の味?血?かわかりませんが違和感でしっかり眠れずだいぶストレスになってきました。きちんとブラッシングや軽いうがい等で衛生面は気をつけているのですが‥

口腔外科の先生にこの状態はどの位具体的に続くのか?これで完治していくのか?また手術をしないといけないか?不安なので尋ねても、私としては分かりやすく、ある程度の期間とガーゼの交換時期

気持ちが悪いのは我慢しかないのか、現在の経過等説明して欲しいのですが忙しいのかわかりませんが「後少し」しか言ってくれません。先々不安でたまりません この二週間で二回ガーゼ交換してもらいましたが、状態説明は質問しましたがなくわかりません。そこで、先生のご意見をいただきたく質問させていただきました。宜しくお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

顎骨嚢胞開窓術は嚢胞が大きく、下顎骨の中を走行する下歯槽神経に接している場合に選択される手術法です。嚢胞を全て摘出すると神経が傷つき麻痺が生じる可能性があるため、嚢胞を全摘することなく表面部分の嚢胞壁のみを切り取り、残った嚢胞壁を周囲の口腔粘膜と縫合し、骨に穴が開いた状態にします。

嚢胞は内部に液体が貯まり、その水圧により周囲の骨を溶かして大きくなるため、嚢胞に穴を開ければ内部に液体が貯まらず、圧が抜けて徐々に小さくなります。そして最終的には空洞がなくなり、正常な骨で埋まって治ります。

小さくなった嚢胞が骨の中に残存する場合はその時点で嚢胞摘出術が必要となりますが、既に嚢胞が小さくなっているため、神経が麻痺する可能性はないといえるでしょう。

開窓術により生じた空洞には、抗生物質が入った軟膏を塗ったガーゼの塊を詰めておきます。ガーゼの不足で外れたり一部が出てきた状態であれば、詰めるガーゼの量を増やしてもらいましょう。

また、細菌感染により化膿している場合は臭いが発生するため、感染していないかどうかを調べてもらい、必要であれば治療を受けましょう。ただし、化膿していなくても多少は傷の臭いが生じるものです。術後2週間ということですが、日が経てば徐々に臭いはなくなっていきます。詰めているガーゼにも浸出液や血液、食物などの臭いが付着して臭うでしょうが、頻発に交換してもらえばある程度は防ぐことができます。

ガーゼではなく、シリコンなどで空洞にふたをすれば臭いは軽減できます。別の材料が使えるかどうか相談されることをお勧めします。

空洞がなくなる時期は大きさによって異なりますが、一般的には数か月かかるとされていいます。一か月ほどで塞がる場合もあるので、当面は我慢して待っていただくしかありません。

口内が常にしょっぱく、喉の奥から変な味がします

年齢 性別 相談日
40代 女性 2018年2月7日

【相談者】2018年2月7日 T.M

質問1

よろしくお願いします。二年ほど前から口内が常にしょっぱく、最近ではさらに酷くなり酸味も加わり24時間気が狂いそうな程です。常に喉の奥から変な味がします。

耳鼻科でカメラでみてもらったり味覚検査等もしてもらい、プロマックを数ヶ月服用しましたが変化なし。酸味に関して逆流性の薬を服用しましたが関係ない様子。喉の奥~舌が塩味と酸味でたまりません。

六年前から一型糖尿病、自己免疫疾患、癌を患っており薬は服用しておりますか薬害副作用ではないように感じます。ドライマウスかとジェル等も試しましたが効果なし。神経内科や耳鼻科、他の歯科ではほぼ相手にして貰えず日々辛い症状に耐え難い思いです。このような症状で検査やお薬での治療は可能でしょうか?よろしくお願い致します。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

味覚の問題という点からは「味覚障害」、口やのどの違和感という点からは「口腔異常感症」と「咽喉頭異常感症」、これらの問題で気が狂いそうだという点からは「身体症状症」が疑われます。味覚障害に対しては味覚検査や亜鉛製剤であるプロマックの投与が一般的に行われますが、既に試したが改善がみられないということであれば、何か別の対応が必要となるでしょう。

味覚障害の原因としては薬の副作用、ドライマウス、唾液腺疾患などがあり、これらの問題について詳しく検討する必要があるでしょう。糖尿病も味覚障害を起こす場合があるので、糖尿病の改善とともに味覚障害もなくなるかもしれません。

味覚障害に対してメイラックス(一般名:ロフラゼプ酸エチル)という抗不安薬が効く場合があり、プロマックよりも治療成績がよいという報告もあります。また、漢方(中医学)では腎に異常があると塩辛く感じるとされ、肝に異常があると酸っぱく感じることがあるとされているため、漢方薬で腎や肝の異常を改善することにより味覚が正常化する可能性があります。その他にも抗うつ薬の内服により、味覚が改善する場合があります。

【相談者】2018年2月9日 T.M

謝辞

お忙しい中、詳しくご説明頂きましてありがとうございます。色々な可能性をご提示して頂き、これから調べていこうと思います。今回はメールで失礼致しました。本当にありがとうございました。

歯の治療が終わっても痛みがなくならないのです

年齢 性別 相談日
60代

男性

2018年1月31日

質問

私は中学校で英語を教えています。昨年末、マスクをしないで学校のエアコンの掃除をしていてほこりをたくさんすってしまいました。それが原因の1つだと思っていますが、咳がよく出てその咳がなかなか治まりませんでした。痰もよく出ました。私は20年ほど前から糖尿病を患っています。糖尿病の治療は内科に通っていますが、インシュリン注射をしています。春先は毎年花粉症に悩まされています。今回は花粉症の症状はまだでていませんが、咳が止まらなくなったので耳鼻科にも行きました。咳はなんとか治まりましたが、歯が痛くなり歯科医院に行きました。歯の治療が終わりましたが、痛みはまったく治まらずここ2日ほどは全く夜も熟睡できません。

歯科医院で歯の治療が終わっても痛みがなくならないので、大きな病院で診察をするようにという事で、紹介状を書いてもらい昨日、大学付属病院の口腔外科の診察を受けました。しかし、痛みの原因もまだよくわかりません。薬もたくさん処方してもらいましたが、鎮痛剤のカロナールは効き目があまりなく、困っています。耳鼻科で処方してもらったアセトアミノフェンの鎮痛剤の方が効き目がありました。昨日は大学付属病院に行きましたが、説明もなく、痛みがとれないので、仕事にも支障があります。早く治したいので、インターネットで探したところ、貴クリニックのページにたどりつきました。また、食事をしても味を感じません。私の症状を説明しましたが、貴クリニックで診察していただけますか。またすぐになおりますか。お願いします。

回答

歯の痛みがあり、味を感じないということですね。もちろん診察いたします。すぐに治るかどうかについては、お話だけでは判断できません。すぐ治る場合も時間がかかる場合もあります。

歯の痛みに対する治療を受けたが、治療後も痛みが全く改善しないということですね。痛みの原因となる異常がなくても歯が痛むことは珍しいことではなく、「非歯原性歯痛」や「非定型歯痛」などがそれに該当します。

このような痛みに対しては歯の治療を繰り返しても効果が期待できないばかりか、痛みのある歯を抜いたとしても痛みがなくなるとは限りません。却って悪化する恐れすらあります。

非歯原性歯痛に対しては、原因の究明より痛みの緩和に重点を置くことになります。とはいえ原因が無いわけではなく、筋・筋膜性疼痛や神経障害性疼痛、ヘルペスウィルスに関係する痛み、頭蓋内の病変に由来する痛み、身体症状症などが挙げられます。ただし、中には原因不明の本態性疼痛もあります。

治療法としては、スプリント療法や薬物療法、心理療法で痛みの改善をはかります。アセトアミノフェン(商品名カロナール)は痛みに有効な薬のひとつではありますが、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、麻薬系鎮痛薬、漢方薬、局所麻酔薬、抗ウィルス薬が効果的であるとされています。

味を感じないという症状については亜鉛不足、ドライマウス、薬の副作用など幾つかの原因が考えられます。痛みの件も含めて、どのような問題が関連しているのかを調べたうえで、治療を進めていく必要があります。

慢性疼痛と噛み合わせや顎関節症の関与

年齢 性別 相談日
女性 2017年12月22日

【相談者】2017年12月22日 M

質問1

現在、線維筋痛症を発症して約15年になります。以前より、慢性疼痛と噛み合わせや顎関節症の関与について様々な読み物を読んでおりましたが、樋口先生はそのような治療は行なってらっしゃいますでしょうか。もしくは、実際の事例などはございますでしょうか。

お忙しいところ、このようなメールで恐縮ですが、お時間が許す時にお返事いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

線維筋痛症などの慢性疼痛を患うと、口腔内外にさまざまな二次的症状が現れる可能性があります。痛みを我慢して食いしばる癖がつくと、顎関節の痛みや雑音、咀嚼筋の痛みが生じやすくなりますが、これらはいずれも顎関節症の一症状で、延いては噛み合わせの異常につながることもあります。

また、これらの病気や症状は相互に関連している場合が多いため、併せて診察と治療を行う必要があります。当院にもこのような患者さんが時折来られますが、それぞれの問題に対して適宜治療を行っています。

【相談者】2017年12月27日 M

質問2

こんにちは。お忙しいところ、ご回答いただきありがとうございます。実際、私も噛み締めがひどいようで、夜はマウスピースをして寝るようにと他歯科で言われました。

しかし、マウスピースをはめると、線維筋痛症からか足がむずむずしてしまい、眠れなくなることがしばしばあり、線維筋痛症の主治医から、調子を見て使うようにと言われました。また、昼間も気づくと奥歯を噛み締めていたり、前歯同士を噛み締めでしまっていたりで、癖になってしまっているような状態です。

近日中にクリニックへお伺いさせていただき、実際に診ていただければありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。この度は本当にありがとうございました。

痛みの原因となる異常が見当たらない

年齢 性別 相談日
70代 女性 2017年12月1日

【相談者】2017年12月1日 Y

質問

一番奥の上の歯の神経はなく歯根もレントゲンでないとわかっていますが、根元を触るととても痛いです。痛み止めと抗生物質を飲むだけで治療法はないのでしょうか?宜しくご指導お願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

一番奥の上の歯の歯根がないようですが、歯自体が既にないという意味でしょうか。それとも歯はあるが神経はないため、歯根には異常が見当たらないということでしょうか。

いずれにしても、痛みの原因となる異常が見当たらないにもかかわらず、痛みが続いている状態なのでしょう。このような痛みは「非定型歯痛」あるいは「口腔顔面痛」かもしれません。

これらは抜髄や抜歯後の神経障害の他、食いしばりや歯ぎしりによっても生じます。また、副鼻腔炎や骨髄炎、心理的・社会的な問題によるストレスが関与する身体症状症の可能性も考えられます。

どのような問題が痛みに関係しているのかについて、詳しく調べることをお勧めします。万一原因不明でも薬物療法やスプリント療法、心理療法などの対症療法が痛みの緩和に役立つ可能性があります。

三か月前ぐらいから唾液がネバつきます

年齢 性別 相談日
50代 男性 2017年10月17日

【相談者】2017年10月17日 

質問

三か月前ぐらいから唾液がネバつきます。段々とひどくなって来て、今では固まりになるほどです。口内に刺激を与えるといけないようで、歯磨き・食事・飲酒をすると特に顕著です。アルコール度数の高い酒は口に含んだ瞬間に口の中の唾が固まります。寝起きなどは特にひどいです。何が原因でどうすれば治るのか教えて下さいますようお願いします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

唾液のネバつきは口の乾燥、即ちドライマウスの症状として現れます。起床時は特に口が乾きやすいため、唾液がネバついていても問題ありません。

ドライマウスの有無については口腔粘膜の湿潤度を調べたり、唾液検査をすることによって判明します。

唾液にはサラサラした漿液性のものとネバネバした粘液性のものがあり、粘液性の唾液はストレスや緊張などで交感神経が優位になると出やすくなります。また、お酒に含まれるアルコールはタンパク質を凝固させる働きがあります。唾液にもタンパク質が含まれているため、アルコール度数が高くなれば凝固して乾燥しやすい状態になります。これらが原因になっているかもしれませんね。

いずれにしても、一度ドライマウスの検査を受けられることをお勧めします。

抜髄後に発症した神経障害性疼痛

年齢 性別 相談日
30代

女性

2017年10月10日

質問1

約1年程前に左上の奥歯から2つ目の歯に痛みがあり、虫歯の為神経を抜きました。その際一度目に神経を殺す薬を入れ痛みはなくなったものの、二度目リーマーで掃除をする際深くリーマーが入ったように感じ激痛がありました。その日から約1年程痛みが続いています。

何件もの歯医者で、不備はないか見てもらいましたが、打診痛はあまり感じられず、しみることもありません。ですが、頬骨の下あたりが、締め付けられるような痛みがあります。そして、痛みの原因がわからず我慢していると、他の歯も痛み出したので、大学病院に行き、神経障害性疼痛との診断を受けました。

トリプタノールを1日25g服用し、約一年が経ちました。一番痛かった頃に比べると10→3か4程には落ち着いていますが、すっきりはしません。そして、左の上の歯はまだじんじん痛み、時には首や肩、頭痛も起こします。

リーマーで神経が傷付くことはあるのでしょうか?また、傷ついた神経は時間とともに修復することがあるのでしょうか?同じような患者さんで、完治した方はいらっしゃるのでしょうか?大学病院の先生に尋ねてもはっきりとした答えやアドバイスはあまりなく、毎回薬を出されるだけで、今回尋ねさせていただきました。

痛みがない日もありますが、痛みがない日が何ヶ月も続くことはありません。今はトリプタノールの服用と、たまに鍼やお灸、スーパーライザーを首に当ててもらう治療をしています。この病気になる前までバリバリ仕事をしていた自分からは想像も出来ないような今の現状にとても辛いです。先が見えず少しでもアドバイスを頂けると有り難いです。

回答1

虫歯が進行して歯の中心にある神経(歯髄)が虫歯菌に侵されると、神経を抜く(抜髄)必要が生じます。

歯の内部にある歯髄は歯の根の先(根尖部)から顎の神経(三叉神経)につながり、最終的には脳に連絡しています。神経を抜くということは根尖部で神経を切断することを意味し、その後歯の内部にある歯髄組織をファイルなどの器具で除去します。

切断された神経の傷は、たいてい徐々に治っていきます。歯髄や抜歯の際には必ず三叉神経を傷付けてしまいますが、顎の中を走る三叉神経は他の神経と比べて治りやすいといわれています。

ところが正常に治らない場合もあります。これが持続的に痛みを脳に伝える神経障害性疼痛で、この病気に対しては三環系抗うつ薬であるトリプタノールが有効です。

トリプタノールにより痛みが抑えられれば、内服を中止しても痛みは再発しなくなります。このような経過で実際に痛みが完治するケースは少なくありません。

従って、トリプタノールで痛みを消失させる方法が最も望ましいといえますが、痛みを感じない状態を半年~1年間持続できれば、その時点でトリプタノールを終了しても痛まない可能性が高くなります。

現在トリプタノールを1日25mg.内服中で、部分的に効果がみられるようですね。増量によりさらに痛みの軽減が期待できるため、担当の先生と相談されてはいかがでしょうか。

質問2

ご丁寧に早速メールを送って頂いてありがとうございます。そうですね。まだ、痛む時が続いたり、痛まない日があったりと不安定な状態です。時には首の後ろに痛みがあったりで、仕事も復帰できていません。治療を始めてから1年が経ちますので、治る日がくるのか不安でした。初めは10mgの服用で痛みが少なくなりましたが、日が経つにつれて、また痛み出し15mg,20mg 25mgと増やしています。

どん底に落ちた気分でしたが、先生に説明をいただき少し光が見えてきました。トリプタノールの増量の件主治医の先生に相談してみます。トリプタノールを飲んでたまに動悸があったり、脈が早くなったりして増量に不安を感じていました。また一日中眠気があります。先生の所の患者様はどれくらいの量を服用されていらっしゃいますか?また、平行して取り組んでいる治療法などはありますでしょうか?質問ばかりで申し訳ありません。お時間のある時に返信頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願いします。

回答2

トリプタノールを服用すると心臓に副作用が現れる場合があります。動悸などと薬との関連性を含めて、担当の先生に相談されることをお勧めします。必要であれば心電図や心エコーなどの検査をしてもらえるでしょう。

副作用のためにトリプタノールの増量が難しい場合は、同じ三環系抗うつ薬のノリトレンに変えたり、サインバルタという別の種類の抗うつ薬に変えて増量するのも一案です。

抗うつ薬は効く量まで増量するのが原則です。トリプタノールであれば300㎎まで増量可能と記載されている文献もあります。

また、薬物療法と平行して認知行動療法などを行うと慢性疼痛に対して効果的です。

質問3

お返事ありがとうございます。トリプタノール以外の薬の併用も教えて頂き、ありがとうございます。動悸の事も含めて主治医と相談します。認知療法もインターネットでは知識がありますが、なかなか先生からアドバイスを頂けない為とても気になっていました。こうして、丁寧にご連絡頂き、相談にのって頂いて、本当に有り難いです。

歯根嚢胞摘出術後のジクジクする痛み

年齢 性別 相談日
40代 女性 2017年9月21日

【相談者】2017年9月21日 M

質問1

どうしても不安で ご相談させていただきます今年6月下旬頃 右上6番(昔神経を抜き銀歯)が浮く感じがしたので 掛かり付けの口腔外科へ。とても忙しい先生でレントゲンのみを撮り小さな嚢庖があるので 今後根官治療で行きますと 次回の治療まで三週間ほど待つことに。しかしその間に 大きい風邪を引き 必要以上にその歯も痛くなり 内科(個人クリニック)で抗生物質と鎮痛剤の点滴に毎日通い 予約までしのぎました。

風邪も落ち着き やっと予約の日を迎え 銀を外し短時間の根官治療 そしてまた二週間後の予約。気長にやるしかないと思いきや 治療から数日もしないうちに 七福神のように腫れと激痛 予約まで待てず直ぐに先生の元へ向かい総合病院の為 点滴を4~5日。腫れが引いたかと思えばまた二週間の間に腫れ上がり点滴。

その間 当時は無かった歯茎の上の粘膜と頬の間にしこりが出来ましたが痛みはさほど無く 先生には伝えましたが特別なことは言われませんでした。処方箋でロキソニンや抗生物質も出して貰っていましたが このあたりでCTを撮ることに。嚢庖自体は小さいけれどあまり保たない歯かもしれないので 抜歯してそのまま嚢庖を取り除くことになりました。

そして 一昨日9/19抜歯嚢庖摘出。嚢庖が小さかったので歯茎切開も無く縫うこともしませんでしたし 抜歯後痛みも腫れも楽に二日目を迎えたのですが、抜歯や嚢庖摘出の刺激からか しこりが気になって(少しジクジクする)一週間後の予約では不安になり 結局昨日先生の元へ。大丈夫だよ 二週間程度で吸収すると思いますと、安心して帰って来たつもりでしたが 三日目の今日もロキソニンが切れるとジクジクするし やっぱり不安です。

感覚としては「い~」とすると 右頬にパチンコ玉大がこつっと。直接優しく触れると 鈍い痛みが走ります 頬は少し突っ張ります。鎮痛剤が効いてくれるだけマシですが そもそもこのしこりは何故出来てしまったのか 本当に吸収してくれるのか。大事をとって 仕事は一週間休みにし 禁止事項は守り 勿論激しい動作はしていません。

何か 考えられることがありましたら 宜しくお願いいたします。長文失礼いたしました。

【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也

右上6番の根尖部に歯根嚢胞が生じ、そこに感染が加わって痛みや腫れが出てきたようですね。嚢胞付近の頬粘膜や歯槽粘膜にも炎症が拡がったのでしょう。炎症が続くとその部分に線維素が増殖して硬くなりますが、これがしこりの正体ではないかと推察します。その場合は時間の経過とともに線維素が徐々に吸収され、しこりはなくなっていきます。

ただし、しこりのある部分に骨片や歯の破折片などの異物が残存する場合は、しこりが消えずに残る可能性があります。また、元々しこりの部分に腫瘍など別の病気が存在していた場合は治らないこともあります。

【相談者】2017年9月12日

質問2

この度は 親切ご丁寧かつ分かりやすい返信をいただきまして ありがとうございます。凄く感動いたしました。あまり ネットの使い方が判らず 直接メールしてしまった次第で 返信いただけると思ってなかったものですから、樋口先生の仰る通りだと思います

文字で表現するのに困っていましたが まさに繊維のようなものをパチンコ玉大にしたようなものが 約一ヶ月ほど居据わっています。抜歯から6日間ほど経ちますが 昨日今日辺りがピークだったのか 右頬粘膜全体から中央にかけて 黙っていてもヒリヒリからビリビリな痛みになり 常温の飲料も辛い感じで、時折 患部も脈打つような痛みが走ったり。

現在は 勿論違和感はかなり有りますが 当時のこつっと言うよりも じんわりと引いて行ってような気がします。二日前頃まではこめかみがズキンズキンしたりしましが今は有りません。これは 回復方向と考えてよろしいのでしょうか?

【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也

術後の痛みは徐々に軽減してきているようですね。術後の炎症に伴う痛みは日が経てば消失していくと予想されるため、嚢胞以外の問題がない場合はそのまま治癒を待たれるとよいでしょう。

【相談者】2017年9月29日

質問3

ご返事ありがとうございます。数日前 抜歯後初めての消毒で歯科へ行きました。主治医からも 2~3週間経過をみるよう言われました。傷口自体は順調で しこりの件も問題ないとのことで、まだ 時折ヒリヒリ感は有りますが 時間薬だと思うことにして、色々ご丁寧にありがとうございます。もしかしたら またご相談するか分かりませんが、宜しくお願いいたします。"

口の中に膿のような液体が出てくる

年齢 性別 相談日
女性 2017年9月11日

【相談者】2017年9月11日

質問1

初めまして宜しくお願いします。去年右上奥2,3番目の歯を根管治療し奥2番目は歯の根を切る手術もしましたが良くならず(根の奥まで詰め物が入っていなかった)今年2月から精密根幹治療(マイクロスコープ・ラバーバム・MTAセメント)をしましたが、治療した歯茎辺りから膿のような液体(液体を出すと白っぽい色なので唾液ではないと思います。)が出てきています。

MRIを撮ったところ「右上上顎洞炎で第二大臼歯の後方~硬口蓋の辺縁にかけて両側ですが右側優位に液体貯留があり歯根部の病変のようにも見えますが何らかの炎症が疑われます。右下顎骨体部にSTIRで高信号域が見られ骨髄炎等も否定はできません。」という結果でした。

あまりに口の中に膿のような液体が出てくるので気持ちが悪くなり総合病院の口腔外科に行きレントゲンを撮ったところ「根管治療はうまくできているし異常はない。」でした。

もしかしたら味覚障害でその症状があるのかもということでハリゾンシロップを服用しています。先日は3か月位前から微熱が続いていた怠いので内科を受診した先で紹介してもらった歯医者に行ったところ金属アレルギーだといわれました。いったいどうすれば良いのでしょうか?

  • 根管治療はうまくできているのか?それを調べることは出来るのか?
  • 根管治療の失敗だったとしたら一度歯の根を切る手術をしているがまた出来るのか?
  • 根管治療が成功だとしたら時間が経てば口の中に出てくる膿のような液体は出なくなるのか?
  • MTAセメントでアレルギーになるのか?
  • どんな病院に行けばいいのか?

数多くの質問で申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。

【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也

治療した歯の歯肉から何らかの液体が出ているようですが、この液体は歯肉溝かフィステルから出てきていると推察します。

口の中に出てくる液体には唾液、歯肉溝浸出液、血液、リンパ液、炎症性浸出液、膿、皮脂があります。最初の2つは生理的なもので、残りは病的な状態から出てきます。

この中で歯肉を押して出てくる可能性が高いのは炎症性浸出液か血液、膿といったものです。これらの液体が出る理由として考えられるのは、何らかの細菌感染による炎症が持続している状態です。細菌感染の場所は根管内の可能性が高く、根尖部や歯根周囲の歯槽骨内に感染がある可能性もあります。

エックス線写真では根管治療に問題がないように見えるということは、根尖病変や明らかな破折はなく、やはり根管内に感染が残っている可能性が高いでしょう。

エックス線写真でうまく根管治療ができているように見えても、実は根管内に問題が残っているケースもあります。それだけ根管の走行は複雑で、最新の治療を行っても完全に感染源を取り除くことは難しいのです。

根管治療がうまくいっているかどうかを調べる方法はエックス線写真のみですが、CTを撮っていない場合はCTで隠れていた問題が見つかるかもしれません。あとは症状が治まるかどうか、経過をみていく以外に検査の方法はありません。

既に述べた通り根管の形態は複雑で、これが根管治療の難しい点です。特に根尖付近の治療が一番難しく、この部分に問題が残りやすいのです。症状が消失しない理由として根管壁の穿孔、マイクロクラック、歯根の外部吸収、セメント管剥離が生じている可能性も考えられるため、粘膜を切開して根面を露出させ、これらの問題に対応することで症状が消去する可能性はあります。

根管治療が成功しなかった場合、次の治療法として歯根端切除術があります。これは根尖の3mmを削り取り、切断面に露出した根管を形成して逆根管充填するという方法で、根管治療の一番難しい部分を取り除くことができ、さらに切断した根尖を封鎖することで根管内の問題が骨尖周囲に波及することを防止します。

ただし、歯根端切除術には歯根が短くなるという欠点があります。従って、歯根が短い歯にこの治療を行うと噛む力に耐えられなくなる恐れがあります。

根管治療が成功すれば、膿や炎症性浸出液は出てこなくなります。終了して日が経っているのであれば、現在出ている液体が今後出なくなることは期待できないでしょう。

一方、MTAセメントでアレルギーが生じるかどうかについては不明ですが、そのような例は珍しいといえるでしょう。

今後の治療については、再度の根管治療、歯痕端切除術、意図的再植術、トライセクション(抜根)を検討することになります。歯科保存学会や歯内療法学会の専門医に相談されることをお勧めします。

また、「気になる」ことが日常生活の障害となる側面もあるため、状況を改善するため薬物療法や心理療法を検討されてはいかがでしょうか。心療内科、精神科、カウンセリングルームで相談することができます。

昨年から治療を受けているのに問題が残っているという点から、そろそろ諦めて抜歯するというのが唯一の解決策かもしれません。

【相談者】2017年9月15日

質問2

詳しい説明をありがとうございます。早速専門医に相談に行ってきます。最悪、抜歯も覚悟ができました。