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年齢 |
性別 |
相談日 |
20代 |
女性 |
2011年3月5日 |
【相談者】2011年3月5日 20代 女性 IM
質問1
半年前から下唇に5ミリ程度の小さい粘液のう胞が出来てしまいました。大学病院に行ったところ、再発、下唇麻痺の可能性があると言われました。のう胞はまだ小さいのですが、気になって仕方がありません。麻痺の可能性は、どの位ありますか?
出来れば関東で、症例を数こなしている所でかかりたいと思っています。そのような歯科医院がありましたら紹介していただけませんか?宜しくお願いいたします。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
粘液のう胞は、唇の粘膜下にある口唇腺という唾液腺が傷つくことによって生じます。周囲に漏れ出した唾液が溜まって風船状に膨らんだ結果、のう胞ができるのです。治療法は粘膜を切開し、のう胞と傷ついた口唇腺を摘出するというものです。
再発および下唇麻痺の可能性について説明を受けられ、手術への不安が募っているようですが、実際に再発するケースはほとんどないため、あまり心配する必要はありません。粘膜を切開すれば周囲の感覚(知覚)が鈍くなる場合もありますが、限られた範囲のことであり、時間がかかったとしてもいずれは元に戻ります。
粘液のう胞の摘出手術は比較的簡単なので、幾度か手術経験のある先生なら問題ないでしょう。医院のホームページ上に手術についての記載があれば、電話かメールで問い合わせることをお勧めします。日本口腔外科学会が認定する専門医や認定医、指定医、また日本臨床口腔外科医会に所属する先生であれば安心です。
【相談者】2011年3月11日 20代 女性 IM
質問2
ネットで千葉の市川の方で日本口腔外科学会専門医の資格ある先生がのっていて、相談のページがあったのでそれから決めようと思います。 樋口先生、ありがとうございましたm(_ _)m
【相談者】2011年3月11日 20代 女性 IM
粘液のう胞の手術を2週間前にしてもらいました。抜糸は一週間前にしてもらいました。 傷は見た感じはきれいですが、少し赤く、しこりのように感じてしまいます。縫ってもらったので多少は仕方ないですが、このしこりの感じはもう少しよくなるのでしょいか? 食べ物など、自分で出来る事があったら教えて下さい。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
のう胞と小唾液腺の摘出手術を受けられたのでしょうね。おそらく、下唇の粘膜に粘液のう胞があったのでしょう。口の中の傷は治りやすいといわれますが、術後の数週間は傷の範囲が硬くなってしこりができるものです。しかし徐々にしこりは柔らかくなり、いずれは消失するのでそれまでお待ちください。
ただ一つ注意すべき点は、粘液のう胞の再発です。のう胞だけを取り除き小唾液腺を残すと、再発する可能性がありますが、その場合は再度摘出する必要があります。また食物などに関して、ご自身で心掛けるべき事項は特にありません。
【相談者】2011年3月16日 20代 女性 IM
質問3
ありがとうございます。今のままなのかなと思っていたので、少し安心しました。先生が教えて下さった、口腔外科専門医の先生にやっていただいたので、今のところ再発していません。ありがとうございました。
年齢 |
性別 |
相談日 |
40代 |
女性 |
2011年2月25日 |
【相談者】2011年2月25日 40代 女性 A
質問1
左耳の外耳道癌ならびに悪性腫瘍の耳下腺、リンパ節転移のため、昨年12月9日に手術を行い、外耳中耳耳下腺リンパ節、顔面神経、顎のちょうつがい部分の摘出を行いました。
その際にかみ合わせがずれ、マウスピースで矯正していますがまだ左右にずれています。また噛む力が極端に弱く、しかも右側でしか噛めません。左側でかむのは諦めろと医師からは言われています。
左側の顔面神経を全切除しているため、口の半分が開かないのはしょうがないと思っていますが、正常に噛む機能を回復する方法はありませんでしょうか。ちょうつがい部分を人工のものを入れるなどの方法があればうれしいのですが。以上、ご回答いただけるようお願いいたします。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
外耳道癌の手術により顎関節や咀嚼筋、皮膚、口腔粘膜を切除されたのですね。これらそれぞれの組織が口の動きに関与しているため、手術によって機能が相当失われたことでしょう。残念ながら、完全に回復することは困難です。
ご質問の人工顎関節ですが、耳下腺癌の術後の開口障害に関しては入院などの治療費も含めて全てが保険適用外であるため、費用が高額となります。
一般的には、地道に機能訓練を続けることになります。また、同時に皮膚や口腔粘膜の欠損を回復させる手術を行うと咀嚼機能の向上に役立つでしょう。
【相談者】2011年2月28日 40代 女性 A
質問2
樋口先生、ご回答ありがとうございました。もう少しだけお聞きしてもよろしいでしょうか。人工顎関節ですが、顔面神経を切除してしまった状態で動かすことは可能なのでしょうか。また高額ということなのですが、どのくらいの金額を見込めばよろしいでしょうか。
私が住む地域で人工顎関節手術に実績のある施設をご存知でしたら、お知らせいただけないでしょうか。一縷の希望を見る思いです。以上、お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
人工顎関節については厚生労働省が承認している製品がないため、健康保険が適応されません。外国製のものとしてはTMJ Joint Replacement System が米国やヨーロッパで使用を認められ、米国では年間約1000症例で使用されています。
この人工顎関節はわが国では未認可であり、今後も認可が下りる見込みはありません。対象となる症例が少ないこともあり適応申請しても採算が見込めないため、医療機器業者が申請の動きを起こさないのです。また、日本人の体格に合うか否かも不明です。厚生労働省が認可していない機材を医療機器業者が販売することは法的に禁止されているため、日本の医療機関が入手することも困難です。さらに、製品に欠陥があった場合などに個々の医療機関が全責任を負わねばならない状況を考慮すると、人工顎関節の手術を引き受ける施設を探すのはとても難しいでしょう。
また、治療費については100万円以上はかかると推測しますが、自由診療は医療機関によって金額がまちまちなので明確にはお答えできません。前述の通り、人工顎関節自体が保険適応外であるため、入院や手術に関する全ての治療費が自己負担となり、相当な出費を覚悟する必要があります。健康保険の範囲内での治療は、高額療養費制度によって一定金額以上の自己負担を免れることができますが、自由診療の場合には負担に上限がありません。
かつて大阪大学歯学部口腔外科に在籍していた当時、人工顎関節の開発と臨床応用に少し関係しましたが、研究は現在中止されています。他の大学で研究が行われている可能性はありますが、詳細は不明です。
外耳道は側頭骨の下面および下顎骨の下顎突起後方に位置しています。顎関節は側頭骨の下顎窩と下顎突起の下顎頭で構成されています。外耳道癌を切除する際に周辺の側頭骨と下顎骨も併せて切除されたのだと思います。このうち下顎突起のみをチタン製の人工顎関節インプラントとそれを下顎に固定するプレートは日本でも使用が認められており保険適応です。
側頭骨の欠損状態にもよりますが、下顎骨だけでも再建すれば顔面の非対称や噛み合わせのズレは改善可能だと思います。口が開くようになるには側頭筋や咬筋、皮膚、口腔粘膜の再建や機能訓練も必要となります。顔面の筋肉の動きを司る顔面神経が切除されていますが、他の神経が支配する下顎周囲の筋肉の働きにより開口運動は可能です。
治療については歯学部のある大学の付属病院の口腔外科で相談されるのがよいかと思います。下顎の形態的再建だけでなく噛み合わせや咀嚼機能の回復も望まれます。口腔外科以外に補綴科などの協力も必要と思われます。
年齢 |
性別 |
相談日 |
40代 |
女性 |
2011年2月16日 |
【相談者】2011年2月16日 40代 女性 HY
質問1
何科の病院に行けばよいかわからずご相談いたします。最近頻繁に唇の裏側の粘膜(上下とも)の皮が剥けます。白くなって自然に剥け、ひりひりとした痛みもありま す。ビタミン剤を飲んでみましたが改善されません。これはどこか悪いのでしょうか?病院へ行く場合、口腔外科のある病院じゃないとわからないでしょうか?
また下の側面に歯痕があるのですが、舌癌が心配です。このまま放っておいてよいものでしょうか?よろしくお願いいたします。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
お話のように唇の粘膜が剥げる病気を「剥離性口唇炎」といい、空気が乾燥するこの時期に生じやすい病気です。ストレスやホルモンとの関係が疑われるものの、はっきりとした原因は現在までわかっていません。
治療法はまずビタミンを摂取すること、そして乾燥を防ぐことです。気になるからといって繰り返し舐めていると、悪化するので注意が必要です。
また、舌の側面の歯痕について舌ガンへの移行を心配されていますが、そのような心配は無用です。舌ガンの危険因子の第一は喫煙ですが、飲酒やスパイスの過度な摂取もガンとの関連が疑われています。
ただし、舌痕とは舌の側面に歯型がついてギザギザした状態をいい、しこりや潰瘍を伴う場合は舌痕ではなく舌ガンの可能性があるため要注意です。
【相談者】2011年2月19日 40代 女性 HY
質問2
早速のご回答ありがとうございました。的確なご診断をいただき、とてもよくわかりました。歯痕ですが、単なる歯の痕だけではなくしこりとまではいかないのですが、少しだけ白く固くなっている部分があります。喫煙・飲酒はまったくありませんが、これは1度受診をした方がよいでしょうか?またその場合は口腔外科に行った方はよいですか?よろしくお願いいたします。
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
硬くなっている部分について、ガンの可能性がないとは言い切れません。やはりメールでは判断できないため、口腔外科を受診されることをお勧めします。
【相談者】2011年2月21日 40代 女性 HY
質問3
ご回答ありがとうございました。子供の時に歯科矯正したのですが、大人になって元に戻ってしまいどうしても気になる部分があって、よく舌で押してしまうのです。その為舌に浅いですが傷ができる事がよくあって、舌癌を心配していました。浅い傷でも舌癌の原因になる可能性はやはりあるのですよね?舌癌の診断は一般の歯科でもできるのでしょうか?度々で申し訳ありません。
【回答3】口腔外科総合研究所 樋口均也
浅い傷が舌ガンになる可能性はほとんどありません。進行した舌ガンの場合は特徴があるため歯科医なら誰でも診断できると思いますが、初期の舌ガンは見慣れていないとわかりにくく、経験のある口腔外科医にかかる方がよいと思います。
【相談者】2011年2月22日 40代 女性 HY
質問4
度々のご回答ありがとうございました。大変恐縮なのですが、もう一つだけ質問させてください。
子供の頃に矯正で治した歯(上の前歯から2本目の歯)が何度治しても元に戻ってしまいます。具体的には捻転して内側に入ってきてしまうのです。矯正時に永久歯を2本抜いているので隙間があり、どうしても元に戻ってしまうようです。歯にかぶせ物をして大きくし隙間を無くせば入らないと言われ、数年前にそれもしたのですがやはりだんだんと動いているのがわかります。その為にとても気になり、ついいつも舌で押してしまいます。
こういった歯の場合どうすればよいでしょうか?また矯正をしてもその歯だけは元に戻ってしまうと思うのです。戻る為に軽い痛みがあるのと舌癌の心配があるので悩んでいます。 よろしくお願いいたします。
【回答4】口腔外科総合研究所 樋口均也
矯正治療できれいに歯並びが直ったのに、装置を外すと後戻りしてしまうことがあります。唇や舌、頬の筋力のバランス、上下の歯の接触の具合などで後戻りが起こると考えられます。これらの点を改善するか、隣の歯と何らかの方法で連結することが必要だと思います。
舌で歯を押し続けたとしても舌ガンになることはないと考えられています。心配しなくても大丈夫です。
年齢 |
性別 |
相談日 |
70代 |
女性 |
2011年2月15日 |
【相談者】2011年2月15日 70代 女性 P
質問
脳腫瘍で放射線治療とステロイドを服用しています。治療を始めて5日目程から歯茎が痛み、舌の裏全体に血豆の様なものが多数出来ています。担当医に相談したのですがはっきりとした返答はもらえず 同病院内耳鼻科の受診日まで長いので不安です。何かしら情報を頂けると 少しは不安も和らぐと思うので お願い致します。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
歯肉や舌に現れた症状は、ステロイドによる副作用との関連が疑われます。ステロイドは頭蓋内圧を下げるために投与されるのでしょうが、免疫力を下げることになるため、細菌感染を起こしやすくなるのです。歯周病もまた、歯周病関連細菌群による感染症であるため、ステロイドによって歯周病が悪化した結果、歯周部に痛みが出たのでしょう。
歯周病はきちんと治療を受けることにより、症状をなくすことが可能な病気です。歯科を受診して適切な診療を受けましょう。
同様に、舌の裏の血豆もステロイドの影響が疑われます。ステロイドは血管壁を弱くさせたり、毛細血管を拡張させたりする働きがあるため、血豆(血腫)が多発するのでしょう。
年齢 |
性別 |
相談日 |
60代 |
女性 |
2011年2月12日 |
【相談者】2011年2月12日 60代 女性 C
質問
数日前にきがついたのですが、上顎の真ん中より少し左の方がじりじり痛いのでみたら腫れていてその真ん中がすこしふくらみがあります。怖いからそのあとみてませんが今もいたいです。あついものを食べてやけどをした感じではないです。なんでしょうか?
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
上顎の粘膜の部分(口蓋粘膜)にふくらみと痛みがあるようですね。やけどや傷ではないとすれば、虫歯の進行によって症状が現れた可能性があります。虫歯が歯の神経を侵すと、虫歯菌が歯の奥にある顎骨までを蝕み、膿が溜まって粘膜が腫れてくることがあります。このような場合は、歯の根の中の治療が必要です。
また、虫歯以外にも線維腫や唾液腺腫瘍によって粘膜がふくらみ、その部分に細菌感染が生じて炎症を起こし、痛む場合があります。たとえば唾液腺の悪性腫瘍である腺様のう胞ガンの場合には、ガンが神経を侵して痛みが出ることがあります。また、粘膜のふくらみは口蓋隆起という骨の出っ張りであるだけで、異常とはいえない可能性もあります。この場合は、痛みの原因は口内炎とは別に存在することが疑われます。
年齢 |
性別 |
相談日 |
20代 |
女性 |
2011年2月10日 |
【相談者】2011年2月10日 20代 女性 N
質問1
3日ほど前から口内に出来物(腫れ)ができ、日を追うごとに痛みを伴うようになってきたため、ご相談させていただきます。
出来物の場所は口腔底で、舌の根元に幅2cm、厚み5mm程度の柔らかめの塊があります。初期は赤色でしたが、痛みが増すにつれて表面に白い斑点(口内炎のような見た目)のものが多数出現しました。その斑点は下唇の裏側にも複数出現し、痛みを伴っています。現在は食事も痛みをこらえながら食べ、日常会話でも口の動きによって痛みを感じるようになりました。
念のため初診の耳鼻咽喉科で診察を受けましたが「メイアクトMS」という抗生物質と「イソジン」を処方され経過観察となりました。何か改善に向けてご指導いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
口底部のできもの(腫瘤)と口底、下唇粘膜に多発した白斑の二つの問題があるようです。まず口底部の腫瘤については、痛みがあることから腫瘍ではなく炎症が生じていると推測します。たとえば細菌や真菌、ウイルスによる感染や異物の迷入による炎症、口内炎などが該当します。
一方、口底と下唇粘膜の白斑は痛みがあることから、口内炎の可能性があります。多発性アフタやヘルペスウイルス、あるいは結核や梅毒、エイズに伴う口内炎の場合もあります。
耳鼻咽喉科で抗生物質のメイアウトが処方されていることから、細菌感染を第一に疑われているようですね。薬を飲みきっても改善しない場合は、他の可能性についても検討を加えていく予定なのでしょう。何より口腔内をできるだけ清潔に保つことが肝心です。また、ウイルス感染の場合は有効な治療薬が少ないため、十分な栄養摂取と休養に努めることが症状改善への近道といえます。
【相談者】2011年2月13日 20代 女性 N
質問2
早速のご回答を頂き、誠にありがとうございます。口内炎程度しか経験がなく、見た目のインパクトが大きかったため心配しておりましたが、ご指導をいただいて安心いたしました。おかげさまで、その後の経過は良く、腫れが少しずつ引き、斑点の数も減ってきました。今ではほとんど痛みも感じないようになっております。
このまま油断せず、完治に向けて体調管理に励みたいと思います。本当にありがとうございました。
年齢 |
性別 |
相談日 |
30代 |
女性 |
2011年2月9日 |
【相談者】2011年2月9日 30代 女性 H
質問
はじめまして。こんばんわ。8歳の息子についてご相談いたします。左上2番の永久歯が生えてこず、近くの口腔外科に見てもらいました。(レントゲン・CT・3D)
形がいびつなまま大きくなっており、全身麻酔の手術で抜歯します。過剰歯では無い為抜いてしまうと一本少ない状態になります。抜いた後は経過観察です。と言われました。やはりこの方法しかないのでしょうか?親子共々不安でしかたありません。よろしくお願いいたします。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
左上2番が埋伏したまま生えてこないということですが、歯が曲がるなどで生えてこない状態になっているのでしょうね。生えてこないまま放置しても抜歯しても、歯が1本少ない状態の歯並びであることに違いはありません。
このままにしておいて生えて来る可能性は低いと考えられますが、その点について担当の先生の意見を聞かれましたか。たとえば、矯正装置を取り付けて引っ張り出すことも不可能であるといわれたのでしょうか。また、このまま放置しておくと歯並びが悪くなることが予想される状態なのでしょうか。
上記の点について、詳しく相談されることをお勧めします。その上で、抜歯するメリットの方が大きいという判断が下された場合には従うべきでしょう。
年齢 |
性別 |
相談日 |
40代 |
男性 |
2011年2月5日 |
【相談者】2011年2月5日 40代 男性 H
質問
宜しくお願いいたします。私は約3年前に中咽頭ガンで72グレイの放射線治療(手術もあり)を受けています。又、心筋梗塞(ステント治療)の既往症もありです。去年の年末に歯が痛くなり、近くの開業医に受診しましたが、前記の既往症、又重度の歯周病により複数本、抜歯の必要が有るとの診断で治療不可能との事でした。その後放射線科、循環器内科に連絡し、歯科治療について聞くと心臓は特に問題なし。大学病院の放射線科は問題有りのようで、歯科大学に紹介状を書くと言われました。
しかし私の場合、歯科治療の為に仕事を休む事が不可能で悩んでいます。教えていただきたいのですが、私のような場合、先生の所のような専門の口腔外科の医院であれば対応可能でしょうか?又、一般の総合病院の口腔外科等で対応可能でしょうか?大変お忙しい所恐縮ですが、ご回答いただければ幸いです。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
咽頭部に放射線を照射すると、咽頭粘膜のみならず口腔粘膜にも放射線粘膜炎が生じます。その結果、粘膜の抵抗力が落ちて細菌感染が生じやすくなります。また、耳下腺や顎下腺など唾液腺が傷害されることによって唾液が出にくくなり、ドライマウスも起こるのです。唾液には細菌感染から身を守るという役割がありますが、ドライマウスになると細菌感染が生じやすくなるということです。
上記の通り、放射線治療によって口腔内の環境が悪化すると、虫歯や歯周病が重症化しやすくなります。現状としては、治療が不可能なほど歯の状態が重症化し、抜く以外に方法がないということなのでしょうね。
ところが、抜歯するしかない歯であるとしても、放射線治療後は簡単に抜歯できるわけではありません。放射線の影響で顎の骨の回復が低下しているため、抜歯後の傷がいつまでも治らず、骨が懐死して痛みが続く場合があるからです。このような抜歯窩治療不全や放射線顎骨壊死を起こすかどうかは、放射線の照射線量によって左右されるものです。
従って、線量が多い場合には抜歯を諦めて歯の温存に努めます。すなわちできるだけ痛みなく噛めるような状態に改善させ、その状態を維持することが治療の目標となります。
年齢 |
性別 |
相談日 |
60代 |
男性 |
2011年2月4日 |
【相談者】2011年2月4日 60代 男性 S
質問1
壊疽性口内炎(舌の壊疽化)と思われます。ベロには潰瘍がぽつぽつ出るようになって三ヶ月たちます。いまや症状は舌の裏側全体にいくつもの潰瘍ができ、食物を噛むたびに舌の潰瘍に歯が当たって痛み、食べられなくなったのです。食べ物をすり潰したり流動食にして飲み込むようにしてきました。
近隣の大学病院では(耳鼻咽喉科と皮膚科)天疱瘡ではない(自己抗体症によるものでない)ということだけがわかり、病気の正体はわからないでいます。今では潰瘍から血が出てこれまでにない痛みが生じるようになりました。自分としては金属アレルギーも疑っています。年齢は69歳になろうとしています。どうすべきかお教えください。よろしくお願いします。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
天疱瘡や類天疱瘡は自己免疫疾患(膠原病)の一種です。口腔粘膜の症状は水膨れ(水疱)が多数生じ、それが破れて痛むというものですが、舌の裏側(舌下面)の病変はこれに該当しないようですね。
他に舌下面に多数の潰瘍ができる病気としては、ウィルス性の口内炎や多形性侵出性紅斑が考えられます。また、金属アレルギーの場合には粘膜が赤くなる程度のケースが多いのですが、重症に至っては潰瘍を形成する場合もあります。
ウィルス性潰瘍の中で代表的なものは、ヘルペスウィルスの感染による口内炎です。その場合は抗ヘルペスウィルス薬の内服が効果的ですが、通常は2週間程度で自然に治癒することから、3か月も続くケースでは当てはまらないでしょう。
また、多形性侵出性紅斑は口腔粘膜に水疱やびらん(ただれ)が生じる原因不明の病気ですが、全身の皮膚や粘膜に症状が出る場合は入院し、ステロイドを中心とした薬物療法を受ける必要があります。
まずは治療に先立ち、どのような病気であるのかを診断することが何より重要となります。しかし、大学病院の耳鼻咽喉科と皮膚科を受診されたにもかかわらず診断がつかないということから、おそらく原因の特定は難しいでしょう。
そのような場合には、痛みなどの症状を緩和させる対症療法を中心に行います。お口の中を清潔に保ち、口内炎用のうがい薬やステロイド軟膏を用いるのが基本ですが、局所麻酔薬のゼリーやビスカスも有効です。その他、鎮痛剤やビタミン剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、ステロイド剤、抗アレルギ―剤などの内服も効果が期待できるかもしれません。
【相談者】2011年2月9日 60代 男性 S
質問2
丁寧なご回答に感謝申し上げます。ありがとうございました。
年齢 |
性別 |
相談日 |
50代 |
女性 |
2011年2月3日 |
【相談者】2011年2月3日 50代 女性 KT
質問
どこの病院へ行ったらいいのか、わからないので教えて下さい。
昨年春に舌の先にしびれがときどき感じていましたがそれ以上のことはなかったし、通常かかりつけの医師に聞いても大丈夫とのことでしたが、今年の夏に紫外線により皮膚が痒くなったので皮膚科で薬をもらっていたのですが、その頃からか右の目の下から頬・唇にかけて違和感が出てきました。食事をしても味覚は変わらないのですが、食事がおいしくありません。
皮膚科の先生に言うと神経内科に相談したらという事だったのですが、この間テレビを見ていて口腔外科を知りインターネットでこのサイトを知りご相談したくメールをしました。よろしくお願いします。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
舌の先の感覚(知覚)を司る「舌神経」に麻痺が生じたことにより、食事がおいしく感じなくなったのでしょう。舌神経の麻痺は、親知らずの抜歯やインプラントの埋め込み手術によって生じるものですが、この部分に麻酔の注射を打つだけでも舌神経の麻痺が起こるケースが稀にあります。麻痺は短期間で回復する場合と長期間持続する場合があり、中には治らないケースもあります。
今年の夏以降に麻痺の範囲が顔面に拡がったということから、歯の治療や外傷による舌神経の損傷ではないようですね。麻痺が三又神経の第2枝と第3枝の支配領域に拡がっていることから、顔面深部の脳の近くで腫瘍や炎症などの問題が生じている可能性が疑われます。また脳内に問題がある場合もあり、脳梗塞や脳腫瘍、多発性硬化症、ギランバレー症候群などによって麻痺が生じることがありますが、これらは神経内科の病気です。
また、ウイルス感染やうつが原因で神経麻痺が生じる場合もありますし、舌と顔面麻痺の原因がそれぞれ別にあるのかもしれません。従って、口腔外科か神経内科のいずれかを受診されることをお勧めします。