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年齢 |
性別 |
相談日 |
50代 |
男性 |
2015年5月31日 |
【相談者】2015年5月31日 M
質問1
4年前ぐらい前から口蓋(上あご内壁の前歯の根本の少し奥の左右1つずつ少し窪んだあたり(小唾液腺があると聞いてます)から、かなりしょっぱい唾液と思われる液体が出だし、最近 からりひどくなり、そのじゅるじゅる感としょっぱさに思考を束縛されつらい思いをしています。睡眠にも入りにくくなってきました。
痛みやただれなどは全くなく、味覚や舌、前歯自体には何の異常も見られません。歯科医や口腔外科に何軒も行きましたが、いずれも何の異常も見られないとのこと。とはいえ、口蓋の唾液量などを測定したり調べてくれた医者はなく、外観だけで異常なしと言われたものです。何かアドバイスを頂ければ幸いです。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
上顎前歯裏側(口蓋側)の粘膜の凸凹した部分を切歯乳頭といいますが、この部分には小唾液腺がなく唾液が出てくることはありません。従って、唾液分泌量を測定することもないはずです。
味覚や舌、粘膜に異常がない場合は、唾液や味覚そのものの問題ではなく、感覚の障害が疑われます。このような病気を口腔異常感症といいます。
口腔異常感症に対しては抗うつ薬を中心とした薬物療法が有効です。医療機関で診察を受けられることをお勧めします。
【相談者】2015年6月1日 M
質問2
早速のご回答ありがとうございます。口腔異常感症の可能性があることは存じていました。ただ、実際に液状のものが出てきているのは指で触っても感じているので何らかの液体が出ているとしか思えないのです。
①唾液かは分かりませんが、液体成分を調べてもらうことは意味があるでしょうか?②それと、ネッ トを調べると、あちこちに、口蓋腺:軟口蓋及び硬口蓋の粘膜中にある粘液腺。と書いてあります。これは口蓋に小唾液腺があるということではないのでしょうか?であれば、口蓋腺とは何の事なのでしょうか?
お手数おかけして申し訳ございませんが、この2点について、もう一度、コメント頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
口蓋腺は硬口蓋、軟口蓋の左右に分布しますが、真ん中の部分にはないため、気にされている部分である切歯乳頭付近にはないのです。
何らかの液体が出ているとすれば、歯肉溝から出て来る浸出液や血液の可能性が高く、繰り返し刺激を加えることによって切歯乳頭付近の粘膜が傷つき、浸出液が出ている可能性はあるでしょう。
口の中の唾液全部を採取して調べることは可能ですが、一部の液体成分だけを採取することは技術的に難しいと推察します。
年齢 |
性別 |
相談日 |
60代 |
女性 |
2015年5月28日 |
【相談者】2015年5月28日 h
質問
2年前、耳下腺の粘表皮癌になり、手術、放射線をし抗がん剤を服用しています。術後から口の開きが悪くなり、今では指一本も開かないような状況になってしまいました。食事もできなくなるのでは、と不安になり、担当医にリハビリはないのかなど質問すると、「手術でとってしまっているし、もう手術はできない。リハビリもない。マッサージも効果があるとは思えない。流動食を出そうか」と言われてしまいました。
ネットで調べてみても、顎関節症のことばかりで、癌の術後のリハビリなどは見あたりません。このまま何もできないのでしょうか。リハビリなどあれば教えていただきたいです。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
粘表皮癌は腺様嚢胞癌と並ぶ、代表的な唾液腺の悪性腫瘍です。組織学的に分化度が低いものは周囲組織に浸潤しやすく、手術を行っても周辺部に癌細胞が残存し再発しやすいため、悪性度が高いとされています。
手術に加えて放射線治療や抗癌剤を用いた化学療法を受けられたということは、このような問題が懸念されたためでしょう。放射線治療により、開口が困難になったのではないかと推察します。
耳下腺を切除した部分の周囲、下顎から頸部にかけて放射線を照射すると軟組織が委縮して固くなり、動きにくくなります。特に咬筋、側頭筋、内側翼突筋など口を開ける動きを担う筋肉が委縮すると、開口が困難になってしまうのです。
残念ながら、現状を簡単に解決する方法はないでしょう。近赤外線やレーザー、ホットパックなどで血行を良好に保ちながら地道に開口訓練を重ねると、多少は開口量が増加すると考えられます。従って、上記のようなリハビリを受けられる医療機関を探すことをお勧めします。
年齢 |
性別 |
相談日 |
40代 |
女性
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2015年5月22日 |
質問
はじめまして。長年の痺れ、痛みで先生のホームページを拝見し、質問させて頂きます。13年前に1人目を出産し背中が痛くて体調不良になりました。約4年前から首がいたくなり、接骨院へ通う事になりました。背中の痛みは取れたのですが、突然朝起きると口の中、主に下顎が痺れだし、痛みがないのでそのままにしていましたが、だんだんと痛みが増して背中まで痛む様になってきました。そして内科、神経内科、心療内科、ペインクリニック、整形外科、針治療、マッサージ、カイロプラクティック等にも通いましたが治る気配がありません。
大学病院の歯科口腔外科で上歯につけて寝るマウスピースを作って貰ったのですが外すと下顎が痺れが強くなるのでやめました。昨日10時からの仕事だったのですが、あまりの痛さに1時間で帰ってきました。通院中の精神科でトリプタノールを車を運転する理由で出してもらえず、元々通っていた診療内科でトリプタノールを出して貰うようお願いしたら快く出してくれました。痛みはなくなるのですが、痺れはずっとそのままです。矯正も考えてたのですが、数件歯周病の為断られ、1件は痺れが酷くなったり歯が折れたら撤退すると告げられました。
正直、トリプタノールで痺れが改善するか不安です。現在、3ヵ月に1回歯石を取って貰ってます。虫歯はないと思います。そちらに通うのも四国なので遠いです。どこか宿泊し徹底的に診て貰おうかとも考えています。一番悩んでいるのは痺れです。お忙しいとは存知ますがご回答を宜しくお願いします。
回答
外傷や腫瘍など何らかの原因によって神経がダメージを受けると麻痺が生じます。また、しばしば神経障害性疼痛という痛みも生じます。
この痛みに対しては三環抗うつ剤であるトリプタノールが有効ですが、実際に服用されて痛みがなくなったようですね。
痛みはなくなっても痺れは残っているようですね。痺れは痛みよりも改善が難しいですが、トリプタノールを増量していけば軽減する可能性はあります。一度試してみてはいかがでしょうか。
年齢 |
性別 |
相談日 |
30代 |
女性 |
2015年5月10日 |
【相談者】2015年5月10日 KY
質問
65歳になる父の事ですが1~2ヶ月程前から左耳横の骨が出てきています。掛かりつけの歯科医では歯の噛み合わせが悪くて筋肉が硬くなっていると言われ噛み合わせの調節で様子を見ています。段々大きくなっている様ですが噛み合わせが原因でしょうか?
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
左耳付近の皮下や筋肉に腫瘍かのう胞が生じている可能性があり、手術で取り除く必要があります。また、側頭骨や下顎骨の下顎突起に生じた骨腫や軟骨腫の場合も、摘出手術が必要となります。
一方、筋肉の凝りが原因である場合は、噛み合わせよりも食いしばりに注意が必要で、対策としてスプリント療法を行います。
下顎突起の動きによっては開口時に突出した状態になることもありますが、治療の必要はありません。 また、顎関節や皮下組織が細菌感染による炎症のため腫れている可能性もありますが、局所を清潔に保ち、抗生物質を服用すれば治癒するでしょう。
年齢 |
性別 |
相談日 |
40代 |
女性 |
2015年4月26日 |
【相談者】2015年4月26日 D
質問1
17歳男の息子のことです。4月18日にレントゲンを撮ったところ、右下7番の下に黒い透過画像がありました。6番目にも少しかかっています。生活歯です。写真上は縦横2センチくらいで丸く、歯根吸収はないように見えます。親不知はありません。歯科用CTを撮ったところ、7番と6番の歯根にかかるように、もこもこした塊が見えました。神経を包みこんでいるとのことでした。
単純性嚢胞だと思うがエナメル上皮腫の可能性もある、と言われました。5ヶ月前にもレントゲンを撮ったのですがその時は何もなかったです。先生も、半年で?みたいな感じでした。その後口腔外科を紹介受診し、造影剤の検査結果待ちです。
半年もしないうちにこここまで成長する嚢胞、腫瘍はあるんでしょうか?嚢胞か腫瘍か心配でなりません。また、手術をすると、骨を削る必要があるのか、麻痺などはどの程度なのか、抜歯は必要なのか。早く知りたいので相談させていただきました。
【回答1】口腔外科総合研究所 樋口均也
画像で下顎骨の下半分に直径2㎝の空洞がある場合は、のう胞か良性腫瘍の可能性が高いでしょう。
単純性骨嚢胞は外傷性骨嚢胞ともいい、打撲による出血で骨に空洞が生じるとされています。5ケ月前以降に発生したことを考えると、まずこの嚢胞が疑われます。
治療方法は手術となり、のう胞がある部分の粘膜を切開して表面の骨を削り、顎骨内部ののう胞腔の内容物を掻爬して骨面から出血させた後、傷を縫合します。内部に溜まった血液がやがて骨となって治癒するため、抜歯する必要はなく、下歯槽神経の損傷により麻痺が生じる可能性も少ないでしょう。
エナメル上皮腫は良性腫瘍ですが再発しやすく、治療に注意を要する病気です。隣接する歯も一緒に抜歯する場合があり、特に腫瘍が大きい場合は腫瘍がある部分の下顎骨を切り取ってしまう(区域切除)こともあります。
しかしながら、腫瘍が直径2cmと比較的小さく年齢が17歳と若いことを考慮し、大掛かりな手術は避けると推察します。腫瘍を取らない開窓療法や下歯槽神経に隣接する腫瘍は残し、一部を摘出して開窓する治療法を選択するのではないでしょうか。順調に回復すれば腫瘍は小さくなっていくため、術後は定期的にエックス線検査を行い、縮小した腫瘍を摘出することになります。ただし経過観察中に再発が認められれば再手術が必要で、万一腫瘍が大きくなる場合は、区別切除などの手術が必要となります。
また、手術の際の病理組織検査が悪性であればさらに広範囲の手術が必要となり、放射線照射や抗がん剤による化学療法を併用する場合もあります。
【相談者】2015年5月10日 D
質問2
先日相談させていただきました17歳の息子の顎骨嚢胞のことです。造影剤検査で単純性顎骨嚢胞との診断を受け、全身麻酔で摘出手術する予定です。右下7番目の顎骨あたりです。2センチくらいと思われます。主治医は夏休みでもいいよと言ってくれていますが、心配です。
7番目の歯が駄目になるかも、と言われているので、一月伸ばしたことで歯が駄目になる可能性が高くなるのではないかと心配です。半年前に撮ったレントゲンでは何も写らなかったのに半年で2センチの嚢胞ができるというのは息子の嚢胞は発育が早いのではないかと思ってしまいます。主治医は、レントゲンだと大きくならないと写らないことがあるから、と言います。学校のことを考えれば夏休みにしてもらえれぼ有難いですが、2ヶ月先延ばしにしたことでリスクが増えるのは嫌です。発育が早い嚢胞は本当にないのでしょうか?
あと、左下に水平埋伏智歯があるので、一緒に摘出してもらおうと思っていますが、大丈夫でしょうか?日にちを変えた方がいいですか?
【回答2】口腔外科総合研究所 樋口均也
前回もお答えした通り、単純性骨嚢胞に隣接する歯を抜かなくてはならないということはありません。嚢胞の圧迫によって骨が溶ける場合など、その歯の状態が悪ければ抜歯が必要となる場合もあるというだけです。
5ヶ月以内に急に出現した嚢胞が今後そのまま大きくなっていくことを心配されていますが、その可能性は低いでしょう。外傷による出血などで単純性骨嚢が突然出現することがあっても、その後はほとんど変化しないと考えます。
とはいえ、手術を先延ばしすることで多少は大きくなる可能性があるため、ご心配であれば早期に手術を受けられることをお勧めします。また手術の際、左下の親知らずを抜くことは可能です。
年齢 |
性別 |
相談日 |
30代 |
男性 |
2015年4月19日 |
【相談者】2015年4月19日 M
質問
歯医者で誤って舌の裏を切られました。回復してますが、どうしてもしこりがとれません。先生は1ヶ月位でしこりも完治すると言ってますが、不安です。回答お待ちしてます。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
粘膜の傷は徐々に回復しますが、当分の間は傷の部分が硬化するものです。ご心配でしょうが、通常は時間の経過とともに治癒します。
ただし傷口に異物が入り込んでいる場合は、異物が自然に排泄されずいつまでも粘膜下に残っている可能性があります。その場合はしこりはなくなりません。また、ケロイド体質を持つ方はなかなか傷が治らず、時間とともに悪化する場合もあります。
上記のように異物や体質の問題がある場合は、当然ながら追加治療が必要となります。即時治療するのか、それとも当分の間様子をみるのかについては、傷ついた時の状況や経過、現在の体調、治療に対する希望などから総合的に判断することになるでしょう。
年齢 |
性別 |
相談日 |
50代 |
女性
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2015年4月19日 |
質問
よろしくお願いします。3月の終わりに右下にある親不知を切開して抜きました。傷口はほぼ良くなってきましたが、奥歯が痛くて何も食べられません。医者は筋肉痛だから両方の歯で食べるようにと言うのですが、とても痛く筋肉痛だとは思えません。なぜこんなに痛いのか考えられることを教えてください。
回答
抜歯した親知らずの手前の奥歯(臼歯)が痛いということですが、抜歯との関連については両方が考えられます。抜歯と関連している可能性とは、抜歯の際手前の歯に無理な力が加わり、歯周靭帯を損傷してしまったケースです。その場合は自然治癒を待つしか方法はないでしょう。また、神経まで損傷が及んでいる場合は、神経を抜かないと痛みが治まらないかもしれません。
抜歯によって手前の歯の根がむき出しの状態となり、刺激を受けてしみて痛んでいる場合もまた、神経を抜く必要があります。仮に顎骨腫瘍や顎骨のう胞、顎骨骨髄炎のために親知らずを抜歯された場合は、その病変が残存している以上は痛みが持続しても不思議ではありません。
親知らずと関連しない痛みについても、さまざまな可能性が考えられます。歯が痛くなる理由には虫歯や歯周病、歯の破折、根尖病変、詰め物やかぶせ物の壊れや外れなどがあります。これらに該当する問題があるのかもしれません。
一方、歯に問題がなくても歯が痛む場合があります。歯ぎしりや食いしばりからくる筋・筋膜痛、神経障害性疼痛、三叉神経痛、副鼻腔炎、ヘルペスウィルスの感染、狭心症や心筋梗塞から生じる痛み、頭痛、脳卒中や脳腫瘍による痛みの他、ストレスなど心理的な問題から生じる痛みもあります。
年齢 |
性別 |
相談日 |
40代 |
女性 |
2015年4月16日 |
【相談者】2015年4月16日 T
質問1
樋口 先生、はじめまして。2015年4月10日に右側下唇の下部分に出来た粘液嚢胞の除去手術を受けました。事前の説明で、部位が普通よりもかなり下の方で神経に近いため、術後に麻痺や痺れが残るかもしれないとのことでした。
摘出した組織を見せていただきましたが、1-2cmくらいはあり、担当しくださった先生によると幾つかの唾液腺を巻き込んでいる状態だったとの事でした。(部位が下だったこともあり、嚢胞が出来たことになかなか気付かず、出来てから恐らく5ヶ月くらいは経過していたと思います。そのためサイズ的にも大きくなってしまっていたようです。)また、細かな神経を切断したが、それは私のケースに限ったことではなく、他の患者でもやっていることであり、嚢胞摘出には避けられないことだったとも。
術後1週間経過した今現在でも除去した部位の上にあたる下唇の部分(下唇の1/4くらい)と、その下あたりが完全に麻痺・鈍麻状態です。見た目もぶよぶよした感じです。未だ麻酔がきれていないような感覚で、指で触れても・氷があたっても・熱湯があたっても、何も感じません。恐らく針で刺しても何も感じないと思います。この部位だけがずっと麻酔がきれないまま残っているという感じです。
術後の翌日にこの部分が内出血で真っ黒になり、その3,4日後からは唇の下部分にも内出血が出ました。手術翌日の消毒の際、先生は内出血は1週間くらいで消えるとの事だったのですが、今も下唇1/4とその下部分が内出血状態です。
術前の説明の際、先生は自らの唇と顎の間の部位を指差しながらおっしゃっていた為、感覚異常が残るのはその辺りなのだと解釈していました。なので、自分では予想していなかった唇が未だに鈍麻していること、そして1週間で消えると説明された内出血が依然残っていることにものすごく不安を感じています。
消毒の際に麻痺状態を伝えたところ、ビタミンB12を処方され服用しています。感覚の戻り方としては、術後3-6ヶ月くらいですすみ、その後はものすごくゆっくりになるとの事でしたが、「1週間程度で内出血が消えるだろう」が外れていたこともあって、3-6ヶ月で本当に回復するのかどうか不安でたまりません。
もう、ある程度の感覚の異常が残るのはしょうがないと諦めています。ただ、この状態が100%続くのは辛すぎます。唇はぶよぶよした感じで、動かすと嫌な感じがあるのに、触ってもそれを知覚出来ない…
感覚の鈍麻や内出血、ぶよぶよした外見はいずれ治るのでしょうか?鈍麻は今の状態が100とするならどの程度まで軽減される可能性があるのでしょうか?どうかご教示宜しくお願いいたします。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
粘液のう胞は、唾液腺が何らかの理由のため傷ついて唾液が周囲に漏れ出して溜まると発症し、手術でのう胞と傷ついた唾液腺を摘出する必要があります。
手術を行うと腫れと麻痺が必ず出ますが、腫れに伴って内出血斑が生じる場合もあります。ただしそれらは一過性であり、1~2週間で消失します。お話から、腫れはその程度の期間で消失し、内出血斑が長く残ってしまったのでしょう。
内出血皮下が起こると血液が溜まり、その血液が徐々に壊れてなくなっていきますが、血液中の赤い色素成分であるヘモグロビンがヘモジテリンやヘマトイジンに変化し、紫色や黄色に変わります。これが内出血斑です。
内出血斑は手術後1週間経過した頃が最も目立ち、2週間程度で消失しますが、何らかの理由から手術した部分の血行が悪いと長く残るケースがあります。
血行が悪いということは微少な循環障害があることを意味するので、対応策は血行をよくすることです。まず入浴時もしくは入浴後、下唇の辺りをよくマッサージしてください。毎日続けていくと効果が現れるはずです。
微少循環障害の改善には漢方薬やはり治療、お灸、ホットパック、近赤外線照射、レーザー照射、ストレッチ、食事療法、ハーブティー、カプサイシンクリームなど、マッサージ以外にもさまざまな治療法があります。
摘出手術によってその部分の神経が切断されると下唇の麻痺は必ず起こり、傷ついた神経が再生するには長い時間を要します。3~6ヶ月で回復すると説明を受けたようですが、おそらくその程度の月日は必要でしょう。場合によっては、さらに時間がかかる可能性もあります。
神経麻痺についてはいつか治りますが、回復を早める方策としてビタミン剤やATP製剤の内服、また星状神経節ブロックや先に前述の血行を促進する治療法が有効です。
【相談者】2015年4月20日 T
質問2
樋口 先生、お忙しいところ、詳しく丁寧なご回答ありがとうございます。
> 紫色や黄色に変わります。このような色を帯びるのが内出血斑です。おっしゃるとおりです。内出血で黒っぽくなっている周囲が黄色くなっていて、これについてもなぜなのか分かりませんでした。なので、ご説明いただいてとても安心しました。内出血がなかなか消えないことについても、血行がかなり悪いので、それが影響しているからだと腑におちました。
神経麻痺について、「いつか治る」とのお返事に、ものすごく安心しました。ネットで粘液嚢胞を除去された方の書き込み(ブログ)を見ても、殆どの人があっさり治癒している様子で、1週間以上経過しても相変わらず鈍麻状態なことにものすごく焦って不安になっていましたが、メチコバールを飲みながら気長に回復を待ちたいと思います。下唇部のマッサージも早速取り入れてみます。
起こる現象全てに不安が募ってきてしまいましたが、正常な反応だと分かり、気持ちが落ち着きました。本当にお忙しいところありがとうございました。
年齢 |
性別 |
相談日 |
60代 |
女性 |
2015年4月13日 |
【相談者】2015年4月13日 A
質問
口腔の上皮異形成で手術。癌ではなかったが、その後1年以上痛みがあり、今は唾液がドロドロで苦い味が常にあってガムを一日中かんで紛らわしています。4年間これらの状態が続いていますが、口腔外科の医師からはなにも問題は無いと言われました。
最近心療内科でエブリファイOD錠3mg,リーゼ5mg,デパス0.5mg1錠を服用しています。これで少し楽になった気がします。しかし口の中の状態は依然として良くなく辛いです。楽になる方法を教えてください。よろしくお願いいたします。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
「上皮異形成」とは白板症の一症状です。白板症とは皮膚や粘膜が白くなる病気のことで、中にはガン化するケースもありますが、白板症自体は痛みを起こす病気ではありません。
従って、痛みは別の理由で生じていると推察します。例えばドライマウスや口腔カンジダ症などの病気は粘膜の痛みを引き起こします。唾液がドロドロになったり、味覚が変化するのはドライマウスの症状であると考えられます。
また舌痛症や心因性の痛み、三叉神経痛の可能性も考えられます。非定型抗精神病薬であるエビリファイや抗不安薬のリーゼ、デパスはこれらの痛みに対して有効ですが、治療の前にまずはどのような問題があるのかを詳しく調べる必要があります。ドライマウスは唾液検査が一般的ですが、必要に応じて血液検査や唾液腺造影検査、口唇腺の病理組織検査なども追加します。
一方、カンジダ菌については顕微鏡による観察や培養、心因性の痛みについては心理テストや血液検査などで調べます。これらの検査を含めた総合的な診察で問題点を明らかにした上で、それぞれの問題に対して最適な治療法を選択することになります。
年齢 |
性別 |
相談日 |
30代 |
男性 |
2015年4月10日 |
【相談者】2015年4月10日 K
質問
初めましてよろしくお願い申し上げます。昨年9月に、下顎左側のエラの内側3cm位の部分と、下顎ほぼ中央の部分の2カ所を骨折してしまい、チタンプレートで繋ぐ手術を受けました。
骨折時にオトガイ神経が損傷してしまい、下唇左側から下顎にかけて、直径4cm位の範囲で麻痺があります。現在はメチコバールとアデホスの薬治療で経過を観察中ですが、今年中にプレート除去手術があるため、その際に神経再生手術は可能かと思い質問させて頂きました。
先生の診断では、触った感覚はあるため、神経は完全には切れていないので、手術は出来ないとの事でした。現在はレントゲン画像などで、オトガイ神経の状態を確認させて頂いてはいないのですが、画像などで判断できますでしょうか?また、薬以外の治療があれば教えて頂けると助かります。よろしくお願い申し上げます。
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
左側下顎角部(エラの部分)の骨折により、この部分の下顎骨内部を走行する下歯槽神経に傷がついた可能性があります。この神経は小臼歯の下方にあるオトガイ孔から骨の外に出る際オトガイ神経と名を変え、下唇を走行しています。
下歯槽神経の損傷により、オトガイ孔の知覚麻痺が生じているのでしょう。神経が完全に断裂している場合は、知覚が消失するため治る見込みはありません。その場合は足の神経などを切り取って移植する神経移植術が行われますが、手術後も多少の知覚麻痺が残ることは避けられません。現在の症状は完全麻痺ではなく部分麻痺のようですね。
現状と神経移植術後の状態には大きな違いがないと判断された結果、「手術は出来ない」という説明になったと推察します。手術をすれば神経を摂取した部分(足など)に知覚麻痺が生じるため、手術をするメリットがないのでしょう。
オトガイ神経や下歯槽神経の状態を画像で判断することはできません。オトガイ神経については触覚や温度覚を精密に検査する方法はありますが、一部の大学病院でしか実施されていません。
一方、神経麻痺に対しては薬以外に星状神経節ブロック、筋赤外線照射、低出力レーザー照射、はり治療がありますが、これらの治療が有効なのは受傷直後であり、7ヶ月が経過した今となっては、残念ながらほとんど効果は期待できません。従って、長期的に回復を待っていただくことになるでしょう。